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13階段  作者: WAIai
25/29

3話の⑦

洋介が入院している最中、心の声が聞こえてくる。

ーくそ、誰も見舞いに来ない。

ー暇だな。病院ってやることがない。

年齢は洋介が一番若いようだった。やはり、階段は見えないらしく、誰も洋介に注目していなかった。ただ、逆に洋介が注目する人がいた。

ーくそ、また株が下がった。

隣の30代くらいの男性の声だった。スマホで何か見ている。洋介は株に興味をもった。なぜなら、彼はずっと数字をおっているようだった。

ー手軽に稼げるのかなぁ?

男を横目で眺める。今度は嬉しそうに口を上げる。

ーよし、回復した。しかも、こことここの会社は買いだな。

ゲームしているかのように楽しそうだった。お金のない洋介でもできるかもしれないと声をかける。

「あの…」

洋介の声は無視をされ、男はスマホをくいるように見つめる。周りの音を気にしていないようだった。

洋介は立ち上がると、男の腕を叩く。

「あのさ、お兄ちゃん」

「…何?」

 ようやく洋介に気づき、男は顔を向けてくる。どうやら、隣に自分が居るのも、今気づいたようだ。

洋介は単刀直入に言う。

「株ってどうやってやるの?」  

「…。何で知ってるんだよ!!」

顔をしかめられたが、洋介は動じなかった。ここは嘘を言う。

「お兄ちゃん、寝言で言っていたから」

「…ああ、そういうことか」

洋介の言ったことに納得したらしく、男はスマホを一旦、置く。

「子どもには無理だ」

「…何で?」

「口座が必要だからだよ」

「口座…」

お金を稼ぐチャンスだと思ったのだが、面倒くさいようだ。ひとみに頼んでも無理のような気がする。 

ー良い案だと思ったのに。

ここは諦めるしかなかった。悔しそうに唇を噛む。

「ほら、早くベッドに戻れ」 

シッシと手を振られ、洋介は元に戻った。男はスマホを持つとまた操作し始める。

ーよし、ここは買いだ。

男の声が聞こえてくる。教えてくれれば、洋介でもできそうなのだが、彼はケチなようだった。それにこれ以上聞くのは、怪しまれそうだった。

ー心の声聞こえると楽かも。

頭の上に触れる。重くもないし、鏡で覗くたび、無くなる心配はないらしい。

ーうーん。…まっ、いいっか。

洋介はベッドに横たわる。もう少し、お昼だった。病院生活は快適といえば、快適だった。3食ちゃんと栄養を考えた食事が出てくるし、何よりも美味しかった。

ー今日のメニューは何かなぁ?

楽しそうに口元に笑みを浮かべ、目を閉じたのだった。








 












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