表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13階段  作者: WAIai
21/29

3話の③

ドンドン。

何か物音がして起きれば、時計は2時を知らせていた。

「誰だ、こんな時間に」

まだ誰かがドアを叩いているので、洋介は立ち上がり近づく。外を見る穴から覗くと、男1人ずつだった。男は人相が悪く、派手なシャツを着ている。チンピラみたいだった。そして、女のほうはひとみで、具合でも悪いのか男にもたれかかって、支えてもらっていた。

ーお母さん。

洋介は急いでドアを開ける。すると、アルコールの匂いが凄かった。無理して強い酒でも飲んだのかと心配する。

「たらいま。おやしゅみ」

ろれつの回らない声で言い、ひとみはその場に倒れ込む。洋介が起こそうとするが、力が足りず、持ち上がらない。

「ーおい、ガキ」

ひとみと一緒に居た男が話しかけてきた。毎回、ひとみを送ってくる人は違かった。洋介がひとみを守ろうと睨むと、男も睨み返してくる。

「金を寄越せ。運び賃だ」

「…金なんかない」

無機質な声で言うと、男は差し出した手を引っ込め、ひとみを見下ろす。金がないのは本当だった。あったら、苦労なんかしていない。

男は舌打ちをすると、ひとみのバッグを拾う。

「あっ、それは」

洋介が慌てて、取り返そうとしたが、腕のリーチの差で負けてしまう。

男はバッグから財布を取り出し、物色する。

「ちっ。しけてやがる」

2、3万円引き抜き、財布を捨てる。大事な生活費だった。

「返せよ」

淡々とした声で言うと、男は洋介を無視し、大声でひとみに言う。

「また来るからな」

「はーい」

ひとみはキャハハと笑い、また寝てしまった。男が立ち去ろうと背中を向けたので、洋介は必死になって言う。

「お金、返してってば」

「嫌だね」

ドアが閉まる。洋介は唇を噛んだ。何で、自分だけこんな思いをするのだろうか。家にも学校にも居場所がない。無視された存在なのだ。なぜ生まれてきたのか分からなかった。泣きたい気分だったが、我慢をする。泣いても何も変わらないし、ひとみから慰めの言葉なんかなかった。

ー死のうかなぁ。

ふと思ったが、ひとみを残すのは躊躇われた。それよりもお金を返してもらおうと、キッチンから包丁を持ってくる。男と対峙するには、武器を持つしかなかった。

玄関を出、男を追う。パジャマ姿だが、構わなかった。

「ちょっと待て」

そう言い、包丁を男に向ける。あんな母親でも守るつもりだったし、自分のためでもあった。

「二度と来るな」

「何だと、クソガキ」

男に向かい、包丁を差し出す。子どもの力で、男にかなうわけなく、手を押さえつけられる。2人は取っ組みあう形になった。

「コノヤロウ」

男は包丁を奪いさり、代わりに刺そうとしてくる。まずい、と思ったが遅かった。男の一撃が腹に刺さる。一瞬強い痛みがあったが、興奮状態にあるせいか、熱く感じるだけだった。

「ふざけるな」

男がもう一度刺してくる。今度は心臓だった。洋介は「うっ」と小さい声で悲鳴をあげると、その場に倒れ込んだ。






 

















 



















 








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ