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13階段  作者: WAIai
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2話の⑧

「くるみ様、気持ちはどうですか?」

くるみの体を洗いながら、聞いてみる。くるみは相変わらず、輝いたままだった。シャワーが気持ちいいのか、「にゃお」と返してくる。

凛も嬉しくなって、よりキレイにしてやろうと手を動かす。

つい最近までは暗い雰囲気だったのに、今はバラ色の生活になった。

「扉の先には何があったの?」

聞いても答えてはくれない。甘えるように頬を寄せてきたので、撫でてやる。

「知らなくて良いこともあるか」

そう納得させると、凛はくるみの体を洗い続けた。



人間とは不可解なもので、慣れてくると地が出てくるものだった。

「ー駄目。やり直し」

冷めた声で言うと、相手が萎縮する。「すみません」そう言って、席へ戻っていった。

凛は興味なさそうにパソコンを眺める。

運が良いことに、部下をもつまで昇進し、毎日、ちやほやされていた。それというのも、心の声が聞こえるからだった。

ーあの人にはああ接しよう。

ーこの人にはあれがいい。

便利な力だった。ただ、悪口も聞こえたりするのだが、それは無視して、こっそりとやり返すことも可能だった。

唯一不便なのは、全ての人間の心の声が聞こえてしまうことだった。

ー仕方ない。

色んな情報を手に入れるほうがメリットが大きい。凛はそう自分を納得させ、変なメッセージは頭の中で消去することにした。

相変わらず、階段は頭の上にある。しかし、誰も気づかないようだった。

「ーあの子、使えませんね」

笑みを向けて、部下が小声で言ってくる。凛は気分良く答える。

「そうね。邪魔かもしれないわね」

その姿は、自分が嫌いだった友子にそっくりだった。慣れとは恐ろしいものである。

ー私が一番。生きていて良かった。

皆、優しい声をかけてくれる。もちろん、心の中は天邪鬼で意地悪なものもあったが、今の凛に怖いものはなかった。

凛は椅子の背もたれに、もたれかかる。傲慢になった自分に気づかずにいた。

やり直しを命じられた相手は、青い顔でパソコンに向かっている。ちょうど電話がかかってきたが、凛は無視して放っておく。誰かがやってくれるはずだった。

「ーこの書類、見てください」

「いいわよ」

手渡された書類を見る。部下の心の声が聞こえてきた。

ー完璧だから大丈夫。

その通り、書類は上手くできていて、凛は機嫌が良くなる。

「私の名前を入れておくわね」

「…え?」

部下は困惑したようだった。しかし、凛は流して、自分のハンコを押す。部下の仕事を取ってしまうつもりだった。取られた部下は面白くなさそうに、下を向く。

ーこのババア。俺の仕事を取りやがった。

聞こえた罵声は何の吹く風で飛ばし、書類を返す。

部下はすごすごと帰ろうとしたが、その前に持ち上げるのを忘れない。

「さすが、凛さん。これからもよろしくお願いいたします」

「分かったわ。よろしくね」

そう言うと、凛はパソコンのキーボードを打ち始めた。











































 







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