表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13階段  作者: WAIai
15/29

2話の⑥

「何よ、これ!!」

翌朝、会社に大声が響いた。声の主は友子である。自分の机に置かれた1枚の紙を手にしわななく。そこにはこう書かれていた。

ー部長と友子は不倫している。

文章はそれだけだったが、効果があったようだった。友子が真っ青な顔で全身を震わせている。作成したのは、もちろん凛だった。それも1枚だけでなく、コピーして皆の机の上にそっと置いといたのだ。誰にもバレることはなかった。

「誰!? 誰なのよ!!」

友子が叫んだ。しかし、誰も相手にしない。それよりも、

ーへぇ、部長とできていたのか、あの女。

ー良いことを聞いた。脅そうかなぁ。

友子に攻撃的だった。一緒に笑っていても、こんなものかと凛は呆れる。表面上の付き合いだけで、中身は何にもないのだ。人間関係とはそんなものかと凛は冷めた気持ちだった。もちろん、友子が取り乱すところが見れて、溜飲を下げる。

ーやった! やった! やった!

ざまあみろと口の中で毒づく。友子が紙を破く。ハラハラと舞ったのは彼女の人生が終わったような気がした。

「誰よ! 正直に言いなさいよ!!」

あまりの剣幕に不倫相手の部長が咳払いする。そこまでにしておけというサインのようだった。

「そんな…」

と友子の口が動いた気がした。周囲は表面上は冷静だったが、心の中は愉快そうに語っている。出世のライバルが減るかもしれないと思っているようだった。

ー馬鹿、馬鹿、馬鹿。

散々、いじめられたので、全員から無視されている姿は心地よかった。

凛は優雅にコーヒーを飲むと、自分が犯人だとバレないように、パソコンの画面を見ながら、平気なふりをした。



「聞いて、聞いて!!」

凛はアパートに帰ると、くるみに抱きつき、体を回転させる。こんなに嬉しい日はなかった。くるみも「にゃあ」ト鳴くと甘えるように頬を寄せてくる。相変わらず、くるみは黄金色のままだった。

ーもしかして、神様だったりして。

男性を思い出し、凛が困っているのを見かねて、力を与えてくれたのかもしれない。しかも、くるみにも力を与えてくれたみたいだった。

「お前…、何の力をもらったの?」

「にゃあお」

くるみは普通に鳴くだけで、何も喋らない。

友子にやり返しただけで、こんなにも嬉しいことはなかった。

ーそうだ。この力を利用しよう。

色んなことが聞こえることは不安だが、便利といえば便利だった。相手が何を考えているか分かるからだった。諦めていた出世も望めるかもしれない。

「私、頑張るね」

くるみの頬にキスをする。くすぐったかったのか、くるみは手でかいてきた。

「お前も私を幸せにしてくれるのかもしれない」

運気が上がったのかもしれない。階段の扉で何があったのかは知らなかったが、凛を幸せへと導くような気がした。

ーのろまな私は終わりだ。

ニヤリと笑うと、くるみを抱え直し、部屋に入った。























  








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ