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13階段  作者: WAIai
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1話の①

「人の心が聞こえるんです」

「は?」

聞き返されたので、もう一度、言い直す。

「だから人の心が聞こえるんです」

イラッとしながら言うと、精神科医も怒気を含んだ声で返してきた。

「そんなことはありません。と言うか、あり得ません」

「本当なんですって」

蒼井貴明は自分の頭に手をかざし、もう少し説明を試みる。

「頭の上に階段ができて、仙人が降りてきて、急に聞こえるようになったんです」

「妄想です。妄想。統合失調症かもしれません」

「は?」

今度は貴明が聞き返す番だった。嘘呼ばわりされた気がして怒り声で返す。

「だから、本当なんですってば。妄想なんかじゃありません」

「統合失調症です、統合失調症。人の心が聞こえると妄想するんですよ。分かります?」

貴明が怒ったのが分かっているので、精神科医は今度は柔らかげに返してきた。それで貴明も少し落ち着き直して言い返す。

「それじゃないんです。何と言うか、突然、人の心が聞こえるようになったんですよ」

「じゃあ私の心の声も聞こえますか?」

精神科医が試すように言ってきたので、貴明は真面目に言う。

「面倒くさいと思っているんでしょう? 違いますか?」

「違います」

精神科医も真面目に返したが、少し顔がこわばっていた。

「ほかに私が何を考えているのか分かりますか?」

「分かりますよ。早く終わらないかなとか、この患者から金は取れるのかとか。1番はこいつ、頭大丈夫かって思ってるんでしょう?」

「……」

精神科医は口をぱくつかせたが、言葉が出ないようだった。だから、貴明が強気に出る。

「どうにかして治せませんか?」

「…お薬を出しましょうか?」

無難な言葉に貴明は納得せず、必死で言う。

「本当に困ってるんです!! 薬なんかじゃ治らない!!」

体をずいっと前に出すと、精神科医が椅子をひいた。気持ちが悪いと思われたらしい。

「3日分、薬を出すので試して見てください」

「そんな!! こっちは必死なんだよ!!」

怒鳴ると、精神科医は無視してパソコンの画面を見ながら、勝手に何かを打ちこんだ。そして、それを看護師に渡す。

「よろしく」

「はい」

看護師は短く答えると、貴明に少しかために答える。

「廊下でお待ちください」

「だから〜〜〜!!」

椅子から立ち上がって、貴明は焦ったように言う。

「信じてくださいよ!!」

「…次の方」

そっけなく言われ、貴明は脱力して、椅子に座った。看護師が慌てたように言う。

「廊下でお待ちください」

同じ台詞に、貴明はのろのろと立ち上がり、診察室を後にする。さいごに舌打ちは忘れなかった。

「どうなっているんだ、一体」

独白すると、ドアを強めに閉める。

答えが知りたいのは、自分の方なのに。

「何でこうなったんだーーー」

頭を抱えて座ると、周りは遠巻きに視線を向けてくる。ひそひそ話も聞こえてきたが、貴明は無視をした。

「分からない…」

どうしてこうなったのか。


話は一ヶ月前に遡る。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 続きが気になります(^^) 早く読みたいです\(^o^)/
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