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親子の休日 前半

 スクイブ宅にて、親子の休日。


「ねーね、スクイブ。こっちの部屋も開けていい?」


 わたしは廊下に続く何個もの扉から豪華な扉を見つけ、ドアノブに手をかける。


「全部の部屋を見て回ってもいいが……」スクイブは書斎から顔を出して眉を下げる。「エス、親子になって随分経つんだ。そろそろ父と呼んでくれないか?」


 確かに、と納得しながらわたしは部屋の扉をすぐに閉める。そしてスクイブの目を見て照れを紛らわして頭を搔きながら口を開く。


「お父さん……?」


 なぜかこの事件の調本にであるはずのスクイブの顔も赤くなる。


「エス……」

「なんですか、お父さん?」


 恥ずかしさからか、食い気味で返事をする。


「その部屋はザックの部屋だったから開けない方がいいかもしれん」


 そう言ってスクイブは書斎の扉を強く閉めた。


「わかりました……」


 エスはその場にしゃがんで誰にも聞こえない返事をした。



 ウァルティーニ邸にて、親子の休日。

 魔界の一国、ウァルティーニ。その国王と八歳の愛娘ビーの食卓。


「ねえ、お父様?」

「どうしたんだい、ビー」


 ウァルティーニ王はヒレ肉をナイフで切りながら返事をする。


「あたくし、婚約者は自分で決めていいんですわよね?」ビーは笑顔で続ける。「お父様この前そのようにおっしゃっていましたよね?」


 少しの沈黙の後、王が口を開いた。


「北西、北東、南西、南東……。どこがいいか?」


 北西はウァルティーニ。北東はリンカーン、南西はウィルディー、南東はアダーステルト。

 ビーは少し考えて顔と口角を上げる。


「真ん中がいいです」


 中央は魔王地。


「魔王には娘しかいないが……まさか?」


 ウァルティーニ王は何かに気付いたように顔を上げてビーの顔をまじまじと見る。やっとこっちを見たと言わんばかり眉を下げるビー。


「えぇ。あたくし、魔王様の……」

「レズビアンなのか?」

「え?」


 ビーは困惑する。ウァルティーニ王は何か察したように“わかった”を連呼し、席を立つ。


「今まで気づかなくてすまなかった。結婚の件は……法を整えてからにしよう」


 そう言って彼は部屋から出ていく。


「うそでしょ?」


 ビーは誰もいない部屋で一人悲鳴を上げた。

次回 親子の休日 後半

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