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謎のイケメン

「落ち着きましたか?」

「はい。急に抱きついてすみませんでした。ジー」

「謝らなくていいですよ。エス様」


 そう言いながらジーは天幕を開けてベットから降りる。

 わたしはベットに座りながら天幕を捲る。


「うぅ、眩しいぃ」


 すると、椅子に座って分厚い本を読んでいたイケメンがこちらを睨む。


「わたしのベットは汚して無いだろうな?」

「え? イケ……じゃなくて、貴方のベットだったのですか?」

「ん? そうだが?」


 そのやり取りを聞いていたジーが、お茶を淹れている手を止めた。


「今から確認します。ザック様」


 ジーはすぐさまベットの天幕を全部留め具で留めて、シーツを触って確認する。


「汚れていないです。ですが、今夜までに洗いますね」


 ジーがザックと呼ばれたイケメンに笑顔を向ける。


「ご苦労」

「恐れ入ります、ザック様」


 なんか二人とも仲良くない? ジーとどういう関係なの??


「あの……貴方は誰なのですか? うちのジーと仲が良さそうですし…」


 すると二人は驚いた顔になったあと、ジーは笑って、イケメンは嫌みそうに笑う。


「この人はザック様で、私を引き取ってくれた義理の父親です。」

「……え? ジーのお父様? ですか?」

「はい。そうです」

「そんな……じゃあ、ザック様は五十代ぐらい、という事ですか」


 こんなイケメンがもう子持ちで高齢だなんて、と悲しんでいると頭に激痛が走った。


「私がいつ五十代と言った! ジーは引き取っただけで、実の親子ではない!」

「ひいっ! 離してっ!」


 わたしは頭をグリグリされていると気づいた時には、イケメンの手は離れていた。

 わたしはヒリヒリする頭押さえていると、ジーと目が合った。


「エス様、そのままでは不自由でしょうから魔術具を付けましょう。あと、寝巻きですからね、着替えましょう」

「はぁい」

「早く着替えろよ」


 そう言いながらイケメンは本を手に取って椅子に座る。

 あれ? この人、わたしの下着姿見るつもり?


「あの……出て行かないのですか?」

「はぁ? ふざけるな。ここは私の部屋だぞ? 何故出て行かなければならぬ」

「ザック様、周りの目が気になるお年頃なのです。一瞬で良いのでお願いします」


 そう言いながらジーはイケメンの前に跪く。


 イケメンは嫌そうな顔を私に向けた後、ジーの顔を覗き込む。


「一瞬、だからな」

「ありがとうございます。ザック様」


 ガチャン 扉が閉まる。



 カチャン カチャン

 魔術具が右腕、左腕、右足、左足と付けられる。


「はい、これで良いですよ」


 わたしは椅子から降りて、手足を振ってみせる。

 ブンブン ブンブン

 やっぱ、凄いな。魔術具。


「エス様、服を着替えますよ。手を広げて下さい」

「はぁい」


 ジーは机に置いていた子供用の赤い服を取る。そしてわたしに着せていく。


「はい、できましたよ。凄く似合っています」

「ジー、この服は誰の服ですか?」

「ザック様の服です。管理している服ですが」

「この服……かっこいいですね!」


 the ・魔界ってかんじで。


「……そう……ですね。はい。かっこいいと思います」


 反応悪っ!



 ガチャ ジーが扉を開ける。


「ザック様、ありがとうございます」

「もう良い」


 ……ん? イケメンさん、なんか服変わってない?

 イケメンさんは赤を基準とした和服のように袖が長い、the・閻魔みたいな服を着て居る。まぁ、閻魔らしさを出しているのは帽子だと思うけど。


「今から仕事ですか?」

「あぁ、面会予定が入っていてな。妹から」


 イケメンさんはジーの問いに答えた後、わたしを見る。


「其方も行くぞ。私の妹は其方の母親代わりをしているのだろう?」

「……え?」


 意味がわからない。エルお母様の事? 違う人? 母親代わりって本当の母親じゃないって事だよね?


「ザック様、小さい子供には理解できないと思います」


 ジーはイケメンさんを睨みつけた後、わたしの目の前にしゃがんで抱っこする。


「エス様、何も気にしないで良いですよ。エル様はエス様のお母様ですから」

「……分かりました。お母様はお母様ですもの」

「では行きましょうか。……ザック様、いつものお茶会室でよろしいでしょうか?」

「あぁ」


 イケメンさんは扉を開ける。

 ガチャ

 わたしはジーに抱っこされながらイケメンさんのお茶会室まで連れて行かれる。




「お、おぉ〜」


 お茶会室はびっしりと複雑な文様で刺繍された布が壁紙のように貼られ、絵画が富の証というようにたくさん飾られていた。家具には大理石のようなマーブル模様の石が使われている部分が多く見られ、一目でイケメンさんの権力の高いと分かる。

金持ちのお坊ちゃんかよ!


「凄いなぁ、金満家〜」

「うるさい。変な声出すな」

「すみません」


 ジーはわたしを降ろしながらイケメンのほうを見る。


「それでザック様、エル様との面会は何時ですか?」

「十一時だ」

「過ぎてますね。騎士から連絡が来ていないのでまだ館についていないと思うのですが」


 ジーとイケメンさんでどんどん話を進めていく。

 

「あのー……」

「どうしました?エス様」


 わたしはお腹をさする。


「おなかがすきました。ご飯はまだですか?」

「……面会が終わってからにしましょうか」

「えー、でも……」


 最終的にわたしはジーの可愛いニコニコ笑顔に負けた。



 ゴーン ゴーン

 十一時半になる。


 「ザック様、面会予約していたエル様がお着きになられました」


 扉の前に立っていた女性騎士がイケメンさんに声をかける。


「入れろ」


 ガチャ 

 女性騎士の手によって扉が開かれる。


 そこには赤い服のお母様とアールが居た。

次回 面会

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