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なんでしたっけ? あなたさんの所のお子さん……あ、エスちゃん! そう、そのエスちゃんが、三回くらい化け物に殺されてループしてるんですって。……なーにー!?

『To.ザック

 今獅子の銅像の前を通ったのはお前か?

 我輩はエスと中庭にいる。

 廊下を歩けばそのうち見えるだろう。

 From.スクイブ』


『To.スクイブ

 私は獅子の前になどいない。

 なぜエスと離れた?

 顔を上げたまえ。

 From.ザック』


 スクイブはマジックタイプライターから目を離し、顔を上げる。

 そこには手を振るザックがいた。



「私に似た物が学園内に?」

「あぁ。図書館前の獅子を眺めていたぞ」

「随分と呑気な。……見てくる」


 ザックが踵を返そうとしたが、スクイブがそれを止める。


「いや、我輩が行こう。エスを見ていてくれ」


 スクイブは右回りをして廊下を歩き出した。



「ザック、ここで何をしている」


 スクイブは獅子の前に着いた。

 そしてに話しかける。


「あ、獅子の目が気になってね。ほら、宝石でできているだろ?」


 スクイブも獅子の目を覗き込む。


「本当だ。ここに何年もいるが知らなかった」


 沈黙が続く。

 スクイブが横目でどこかを見た。彼の目は見開かれる。


「ザック!」


 そう言ってい彼は僕の前から走り去ってしまった。



 僕もスクイブを追って中庭に行く。

 どうやらスクイブはザックからエスを守っているようだ。

 しかしエスがザックを蹴ったためスクイブはザックの保護についた。


 僕は廊下の柱から動き、三人に近づく。


 ザックと目が合ってしまった。彼はすぐさましゃがみ、エスに向き直った。

 まるで僕をいないものとしたようだ。

 誰でも自分の姿をした人を見ればそうなる。


 急にエスが倒れた。


 まだ僕は何もしていないのに。

 近づくか。



「おいおい、ドッペルゲンガーはやめてくれよ」ザックは自分のコートを脱ぎ、エス頭の下に挟む。


「恐らく変身魔法だ。エスに近づくため、ザックになったのだろう」スクイブは腰から杖を取り、僕に向ける。


「気色悪い」ザックもどでかい宝石をつけた杖を構える。


「そこを退け、そいつ以外を傷つける気はない」


 僕も腰からシンプルな杖を出す。

 ザックが目を見開く。そしてすぐに杖を光らせた。


 ……無詠唱だと?

 驚いた時には遅かった。

 聞いたこともない爆発音で耳はやられ、夏の太陽よりも眩しい光で目もやられた。


「ザック! やりすぎだ! 生徒たちが集まってしまう!」


 スクイブはすぐに立ち上がり、ザックに馬乗りになる。


「やめてくれ。暴走しただけだ、もうしない」


 ザックは涙目でスクイブを退ける。


「もうしない? もうできないの間違いだろ」


 スクイブは真っ二つに割れた杖を指差した。


 ……杖が使えない? スクイブの杖も僕のそばにある。

 勝てるかもしれないな。今なら。


 僕は自分とスクイブの杖を取る。

 そして自分の杖を彼らに向ける。


 ……エスはどこに行った?


「おい、エスは……ウッ、臭っ!」


 臭いの原因は自分のブーツだった。

 いつのまにか黄色い液が付いている。


「あぁ、可哀想に。そこの奴が粗相をしたのだろう」


 スクイブは小馬鹿にしながら中庭に出ていこうとしている魔獣を指差す。


 僕は息を止める。一秒でもこの悪臭を体内に取り込まないために。

 そしてブーツを脱ごうとする。

 しかしブーツはズボン下のパンツと複雑に絡んでいてとても人前では脱げない。


「どうした? 露出に目覚めたか?」


 ザックが僕に近づく。

 ……まずい。接近戦は苦手だ。


 僕は急いでズボンを捲り上げ、ブーツの紐を解こうとする。

 だめだ。ザックの爪が長すぎる。


「あれあれあれあれあれあれあれ? もしかして、解けないのかなあ?」


 ザックが僕の前に座り込み、僕がブーツを脱ぐ様を眺める。鼻を塞ぎながら。


「紐、解けないかあ。

 じゃあ、変身、解くしかないよねえぇ?」


 スクイブまでも僕の前に座り込む。


 ……二人揃って何なのだ。


 僕はスクイブの杖を後ろに投げ、口を開く。


「ピーピー《変身を解く魔法》」


 僕は自分の姿に戻った。しかし悪臭は消えない。


「え、変身解いたらおしっこもなくなると思ったあ? 残念でしたー! 変身魔法にそんな効果あーりませーん!」


 ザックが半笑いで僕に自分のブーツを投げる。

 ザックは自分のブーツに慣れているようですぐに脱げたのだ。


 その様子を白い目でみるのは僕だけでは無かった。スクイブもだったのだ。

 ザックは彼の太ももを叩きながら涙目で言う。


「お前はこっち側だろ!!」


 それには僕も笑ってしまった。



 なんだか。学生時代に戻ったみたいだ。


 僕は彼の子供を殺しに来たのに。

 彼らと仲を戻してどうする。


 あれ? エスは誰の子供だったか?


 本にはザックと書いてあったが。

 あのザックに女性経験があるとは思えない。


 僕はスクイブを見る。


「お前の子供はどこだ?」


 一気に空気が重くなった。


 あぁ。快感だ。

 彼らの地雷を踏んでしまった。

次回 手下は怖いよ 〜いつ寝返るかわかんない〜

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