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裏で起きたこと ~後編~

「これは? あー、大きいかー。あ、これはどう? あ、でも、これはきついな」


 魔王は衣裳部屋にセイカを連れてきた挙句、セイカの着替えを選んでいた。

 自分で選べるから出て行けと言っても聞いてくれない。セイカは一刻も早く、この部屋から出たかった。


 なぜならここは魔王夫人の衣装部屋だから。


「あ! これは? 入れ物したら丁度よさそう」


 黒のふわふわした綺麗なドレスを出してきた。胸もそんなに開いてなさそうだし、丈が長いしいいかもしれない。


「着替えるから出て行ってください」

「え? このドレス一人じゃ着れないよ」


 セイカはガーンと項垂れる。別のドレスを探そうと歩き出したとき、セイカの腕を魔王が掴んだ。


「離せよ」

「え? 着替えないの?」




「あー、疲れたー」


 セイカはやっと着替え終わり、魔王の部屋で休ませてもらっている。


「着替えるだけで疲れるとか……」


 魔王は誰かへの手紙を書きながらソファーにいるセイカを見る。セイカも魔王を見る。


「なんでお前って既婚者子持ちなのに、未成年にさっきみたいなことできるの?」


 セイカは魔王に二人の子供と愛妻がいることを知っていた。


「未成年だからだよー」


 魔王の放った言葉にセイカは結構ガチめに引く。


「あ、勘違いしないで。ぼくもね、娘がいたんだー。すっごい可愛くてー、すっごいぼくに懐いててー。でも、十歳になる前に暗殺されちゃった。魔王の娘だからってだけで。生きてたらちょうど十六歳」


 こいつにそんな過去があったのか、とセイカは考える。ん?生きていたら十六? それって……。


「もうすぐ時間だし行こうか」

「え? 行くって、どこに?」


 セイカが思考を放棄して尋ねる。魔王は書いていた手紙にシーリングスタンプを押した。


「王宮パーティーだよ。年に二回ある」


 魔界の社交事情なんて知らねーよと心の中で思いながら少し過去を振り返ってみる。


 確かお父様が月に何回か魔王城でパーティーがあるとか言って家を出て行ったな。何回かは不倫で、何回かはパーティーだったのか。


「ほらほらパーティー行っくよーん」

「え!? 俺も?」

「当然」



 その結果、王宮社交パーティーを黒いドレスで魔王夫人の隣で最初の何時間を過ごせた。


 魔王夫人は二十代後半で若い。魔王と十は離れているのではなかろうか。ぎりぎり犯罪の年で結婚したに違いない。

 肌が異様に白くて(メイクかな?)、目が大きくて(メイクかな?)、髪が綺麗だ(金持ちなりの威厳かな?)。きっと高級ブランドを通り越してオーダーメイドだろう。わたしが手に取るものは流行の一歩先だとでも思っているに違いない。

 え? 嫌味かって? ちがうよ?

ただただスタイルが良くて、メイクしないでも顔が可愛くて、服も最高級にかわいっくて、髪についているリボンまでも可愛い。



「セイカさん。お目当ての人は来られましたか?」


 魔王夫人は後ろにいるセイカに話しかける。


「いえまだです。きたら分かると思うんですけどね」


 セイカは扉を見ながら答えた。



 何十分か経った頃。扉からお父様のザックとお母様のエルとその彼氏のアールと豪華な服を着て格好良くなっているエスがいた。ジーは長旅が嫌いなのでお留守番だろうか。


「わたくしは少しの間席を外しますね」

「ああ」


 魔王夫人は魔王に許可を取った後、他の貴族たちとおしゃべりに行った。セイカはエスたちが気になるものの夫人について行った。

 貴族とのおしゃべりが一段落したところでセイカは夫人に向き直った。


「ザックさんたちの所に行かないのですか? ご婦人様」

「ウフフ。行きませんわよ。セイカだって夫と愛人の間に割って話をするほどわたくしは無謀じゃなくてよ」


 うっそ!? お父様の王宮にいる不倫相手、魔王夫人だった!

 やんばーい! もうお父様と話せなーい! あいつと目も合わせたくなーい!

 今まで顔がいいなとしか思ってなかったけど、やっぱ顔がいいやつはクズ!


「あの、魔王夫人様」

「なんです?」


 セイカは苦笑いで夫人を見た。


「ちょっとお手洗いに行きますね」




「やっほ。エスだよ」

「わたし……?」


 無事セイカ、いや、鋭利はエス。いや、セイカと再会できた。


 少し世間話をした後、視界にお父様が入った。鋭利はお父様が夫人の浮気相手だと思い出して少し吐き気を感じる。だんだん近づいてきてるし。あいつ。


「お友達かい? 十五歳ぐらいか。大きいお友達ができたね。さよならの挨拶しなさい」


 ……しゃべんな。

 セイカは鋭利の心の中も知らずに呑気に日本語で挨拶をする。


「ばいばいエス」

「また会おう、セイカ。お父様も」


 鋭利は顔を作って挨拶を返した。セイカはお父様を通り越してお母様とアールと話している。

 鋭利は自分を見ているお父様に気が付く。


「ねぇ、君、身内にメルって人いるか……」

「だまれ! この浮気者!」


 鋭利はドレスを持ち上げて助走をつけてお父様を蹴った。


「なにするんだ! 痛いじゃないか!」


 お父様は股間を押さえて床に寝転んでしまった。


 パーティーが終わったら鋭利はおとなしく人間界に戻してもらえた。


 ねえ、魔王、何が目的だったの?

テスト期間って一番小説が進む。次回明日投稿。

次回 なんでこなかったの?

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