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第5話〜アイツらの襲来〜

投稿遅くなりました!

地獄の修行期間を終えアルスはついに旅立ちの時を迎えた。


今日で16歳になるアルスは旅に出る準備をするために荷物を整えていた。

最後の最後まで祖父グレアスに適うことは無かったものの自分の想いを果たすために精一杯頑張ると心に決め荷物袋を閉じた。


やけに今日の道場は静かだ。

いつもならグレアスが、

「おはよう!さあ修行だ!」

と言ってくるのにそれがない。

16歳を迎えたから恒例の挨拶がないのは当たり前。

だが、いつもいるはずのグレアスがいないのに少し違和感を感じた。悲しみの思いが混じった息をふぅと吐く。


アルスが顔を上げるとある物が目に映った。

それは真剣「光雲(こううん)」。

少し前にグレアスからアルスの物といって渡された物だ。

アルスはそれを手に取り道場の外へ出た。

向かった場所はランダムかかしのすぐ隣の竹林。

施設付近の竹は管理されていて竹と竹との間が丁度いいことに最近気がついたからだ。

鞘から刀を取り出し、竹の間からはみ出る陽の光を反射し綺麗に輝く刃を見て笑みがこぼれる。

刀を振り次から次へと竹を斬っていく。


普段から修行で使っている竹刀や木刀と違って真剣は重い。

グレアスとの修行でも使うことは少ないので慣れるのに少し時間がかかったが数分経ったあとには普通に扱える程度には慣れることができた。

バラバラになった竹はいつもグレアスが片付けてくれる。

でも今日は旅立ちの日。最後までこんなことをグレアスにさせる訳にはいかない。

そう思ったアルスは光雲を鞘にしまい、竹を集めようとした。

その時アルスの目に嫌なものが映る。それは黒い煙だ。

「あっちは街の方だよな。火の手が上がった煙の量じゃないよな。おいおいまさか……!」


もしかするとアイツら、アマティアスが来ているかもしれない。そう思ったアルスは光雲を手に取り走り始める。

街に近付くにつれ感じ取れる魔力が強くなってきた。

間違いない。アイツらついにここにも来てしまったのだ。

竹林を抜けアルスが見たもの、それは、地獄だ。


家やお店など街を飾る様々なものが破壊されその上燃えている。それも普通の炎ではない。汚染されたかのようなドス黒い炎だ。

アルスが先程見た煙はこの炎によるものだったのだ。

「くそっ!どうなんなってんだよ……!」


…………戦え…………

アルスに何かが語りかける。

「誰だ!どこから話しかけてるんだ?!」

返事は返ってこなかった。

その者が一体誰なのか、聞いたこともない声だった。

「いやいや!今はこんなこと考えてる場合じゃないだろ!」

無駄なことを考えることは時間の無駄だと考えたアルスは街を走り、逃げ遅れてる人、まだ生存してる人を助けることにした。

だがしかし、そんな人はどこにも見当たらなかった。

少なくとも敵はうじゃうじゃいるはずだが気配すら感じない。

もうアマティアスは破壊を終え帰ってしまったのか。

確かにこれほどの規模の破壊をすればどれだけ耳が悪くても音が聞こえるはずだ。しかし音は全く聞こえなかった。


だがそれでも必ず助けを求める人はいるはずとアルスは考えまた走り始めた。

すると直ぐに人影を見つけることができた。

何やら建物の中から出てきたようだ。

敵かもしれないの警戒しつつ人影へと近づいた。

そこには老婆と少年が立っていた。

警戒を解きアルスは老婆に現状を聞くことにした。

「なあ、婆さん今ここで……」

口を動かすと同時に建物が崩れてきた。

「危ない!」

アルスはすぐに動き、培ってきた閃光流の足使いで2人を助けた。

「危なかった、ありがとう!速いお兄ちゃん!」


「あぁ、どういたしまして。ところでどうしてここに?」

アルスが老婆に質問する。

「今この国は襲撃を受けております。ほとんど人はこの街の製鉄所に避難しております。」


「婆さんはどうしてここに?」


「先程白髪の男の人がここにいた娘を連れていきました。『ここで待っていろ』と言われていてそろそろ頃合いだと思い家を出てきました。」


白髪の男、アルスはそんな男を知っている。

とそんなことを考えていると何かが近づいて来る音が聞こえた。

アルスは2人を守れる位置につき光雲を構えた。


「心配するな、ワシじゃグレアスじゃよ!ってアルスじゃないか!」


「白髪の男ってやっぱりじいちゃんかよ!朝やけに道場が静かだと思ったら〜!」


「お二人は御家族で?」


「そうなんじゃよ!ん?アルス『光雲』はどうした?」


「あれ!?ない!」

アルスが自分の身の回りのものを探し回るが一向に見つからない。

「せっかくお前のために用意したのになあ。」

アルスは深く頭をさげグレアスに謝った。

するとグレアスが自分の持っていた刀を取り出しながら

「いいんじゃよ。本当はこの刀をアルスが受け継いで使ってもらうつもりだったからな。」

と言い刀を渡してきた。


この刀の名は「千雷駆走(せんらいかけばしり)」。

閃光流に代々伝わる業物。深く雷の魔力が込められており一振の威力は大木を真っ二つにするほど。

故に並大抵の雷の魔力使いには扱えない。

ましてや雷の魔力を持たぬものには刀としての効力さえも示さない。

その刀を受け取る前からとてつもない魔力が放たれている。


いざ受け取ろうとアルスは千雷駆走に手を伸ばす。

その時製鉄所の方向から爆音がなり響く。


「なんだこの音!!?」


「しまった!目を離しすぎた、まだ新手がいたなんて!アルスよコレわや渡すのはもう少し先じゃ!」


グレアスの言葉を理解したアルスは頷き周囲の警戒を始めた。するとまた、あの声が聞こえる。


……しろ……戦え……。


アルスがその声の場所を探していると老婆が急に立ち上がり刀を構える。


「それは、光雲!!?」


笑いながらその刀を振り下ろす。

その瞬間アルスは暗闇にとらわれた……


第5話〜アイツらの襲来〜


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