サイラスからの手紙 外伝
拝啓。
みんな元気かな?
ゼストは戦いまくっているんだろうな。
ケイリーは怪我してないかい?
デニスはきっと二人のお世話で大変なんだろうな。
任せてしまって申し訳ない。
リアーナが笑ってくれるようになった。
心配かけたね。
リアーナは、今までは魔物が出てもダンジョン程多くは滅多に出なかったし、みんなの影に隠れる事も出来た。
俺もシールド張ったりして。
デニスも側にいてくれていた。
ダンジョンも地下へもぐったすぐはリアーナでも倒せていた。
でも地下へ降りていく度に魔物は強くなっていき、数も増えていく。
デニスも側から離れる回数が増え、攻撃力のない俺を守ろうと必死だったのかもな。
俺はシールドで防げるし、サポートの魔術の数も少しだけど増えてきたし、仲間と強くなっていくのが楽しかった。
思い出すと護衛の依頼の時に、カガに襲われた頃から怖くなっていたんだろうな、リアーナは。
あいつの性格からして心配かけたくないのと一人だけ怖いとは言えなかったんだ。
それを分かっている俺は気がつかないふりをしてた。
みんなと別れる勇気がなくて。
反省してる。
ダンジョンにもぐる前だったら、新しいメンバーも見つけられたのかも。
ごめんな。
あれから落ち着ける場所を探して、あちらこちらの街を巡ったんだ。
結局ドラゴラの港街レイサスが俺達の故郷にも近く、獣人への偏見も薄いから、ここにした。
ミケイラの森も隣接していて海の幸が豊富で美味しいよ。
ケイリーがいくら爆食いしても安く食べられるんだ。
この街で家を借りたよ。
二階建てで広いリビングとキッチンがある。
仕事は回復魔術を活かして、自宅で診療所を開く事にしたんだ。
この街には今ちょうど回復術師がいなくて、初日から大繁盛。
怪我は薬草やポーション頼みだったんだって。
それまでいた回復術師はご高齢で、半年前に亡くなったらしい。
街の人達も優しくしてくれる。
リアーナは俺の助手らしき事をしてるよ。
三人が泊まれる部屋もある。
長い休暇を取って、是非遊びに来て。
待ってるから。
会えるのを楽しみにしています。
サイラスより。