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神様としての勤めを果たしたい

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自分を神だというほどおれは前髪を伸ばしていない。また、死を救済だとかほざくほどこの世界を「ウツシヨ」みたいな呼び方をしてもない。おれは神様とかいうのをおれなりに嫌いだった。


ある聖書では、熱心の信者の人生を剥げるだけ剥ぎこそすれ、そのかけがえのない人生を返しはしなかった。

ある物語では、気まぐれに地獄に糸を垂らし、それをため息をついて眺めた。


ふざけてるだろ


なんでこんなに神について特筆するかと言うと、単に

「ウツシヨの上司サマと変わらんよな」

という愚痴である。むしろ権力が底抜けに強いため、最も嫌な上司の形と言っても過言ではない。自分の美学を押し付けやがる…


ただ、この現代において、神様ってそれだけじゃない、と思う。だいたい2つに分けられるんじゃないか。1つ目は、こういう、「弱いもののための神様」だ。おれはこの神様が心底嫌いなわけだけれど、これが大好きな人もいる。おれは正直ばかだと思うけど、弱いものの救いになるなら、それは神様の形として間違ってないと思うので口出しはできない。


そして2つ目が、「強いもののための神様」である。こっちのがよっぽど滑稽で、中身のない………例えば、おれのクラスの渡辺が1学期末のテストで学年一位だったとき。そのとき絶対おれにはあいさつもしてくれない女の子たちが、渡辺の目を必死に追って、トイレで死ぬほど整えた前髪を気にしながら「すごーい、神じゃん」などというのだ。ふざけてる。しかし、そのペラペラの神というのは、憧れになる。



おれだって、できるならそういう上っ面の神になりたかったよ。強い人に強いねって言われたいよ。でもさあ、できないじゃん。なのでこうやって必死に神へのわるくちをA4サイズにまとめてるんだ。


青空が眩しい。

カバンの中の教科書と小説が、おれの背負うもの全てなら良かったのに。


おれんち、自慢じゃないけど優秀な人間が多かったから、みんなたくさん神呼ばわりされてきたんだと思う。変な言い方をすれば「神様会議」みたいなのに出席するタイプ。真面目な言い方をすれば、頭が良くって、金と人脈がある。


もう察せるかな、おれはそうじゃなかった。バカにもなりきれない大バカだから、こうやってセミの声にさえ殺意が湧いちゃうわけ。


夏は、こうやって目を細めて、頭だけ冴えるので好きじゃない。


冴えた頭と末梢神経が間違えてショートし、全身が空っぽに、引っ張られる感覚。


そうやって茹だった頭で、おれはホームから躍り出たのだ。

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