011
「亜人は人間以外のある程度の知能を有し、人と同じように二足歩行、言語を話すことが出来る生物の総称だ」
「という事はこれの名づけは人間か」
「そうだな」
普通、そんな大雑把な線引きを亜人側が行うとは思えない。明らかに人間とそれ以外を別けているからな。
亜人はたくさんの種族があり俺の鬼人族もその一つ。エイザ=ルートも竜人族と言う種族で竜の末裔ともいわれているらしい。他にも地球でよく聞いていたエルフやドワーフと言った種族もいるらしい。そして、この二つの種族はかつてエルフ神聖王国とドワーフ鋼鉄王国と言う国家を持っていたがバーレンベルグ連邦帝国によって滅ぼされたらしい。と言うか周辺の亜人国家は全てこの国によって滅ぼされているようだ。
「俺も気付いた時には住んでいた国が滅びていたし最初は各地の収容所で暮らしていたけど9年前に出来たここに移送されたわけさ」
「という事はバーレンベルグ連邦帝国に亜人はもう住んでいないのか?」
「逃げたり隠れたりしている奴がいない限りそうだろうな。亜人は殺されるかここに送られて死ぬまで強制労働をさせられているからな」
という事はミラも強制労働をさせられているのだろうか?俺はミラの事に関しては全く知らないがこの体はミラの心配をしている。ミラは幼いが十分美少女と言える容姿をしている。亜人に人権がない以上凌辱の様な事をされている可能性がある。その場合を考えると、俺の体が深い怒りを表す。それも俺を侵食する勢いだ。流石に完全にやられる事はないがミラの為に行動しそうになって来る。少し鬱陶しくも感じるがミラを救いだせれば少しは落ち着くだろう。
「バーレンベルグ連邦帝国以外でも亜人の扱いは同じなのか?」
「国によって違うな。アルー王国やゼルビア帝国は亜人に寛容だ。と言うかゼルビア帝国は亜人の国家と婚姻関係を持っていた影響で亜人の血が混じっている。だから亜人は王族の血筋と関わりのある種族と言う認識だ」
「成程。将来的にはゼルビア帝国との関係強化は必須か……」
ゼルビア帝国と言う国がどれほどの国力を持っているのかは知らないが共闘できる時には共闘したいな。とは言ってもその前にこの状況を何とかするのが先決だけどな。
「あとは、亜人に分類すらされない化け物がいるな」
「化け物?」
「ああ、主に西方に生息する奴らでたいていが動物や人間以外の知能ある生物たちだ。こっちではほとんど見なくなったスライムやゴブリンも西方では数多く生息しているらしい」
「スライム、ゴブリン……」
ファンタジーでは定番のモンスターの名前が出て来たな。大体そう言ったやつらは魔物と言う風に分類されるがここではただの化け物のようだな。若しくは分類すらされていないだけかもしれないが。
「そいつらの知能はどのくらいだ?」
「個体によって変わって来るが……、ゴブリンは平均で子供程度、スライムは犬や猫より少しかしこいくらいだな。中には知能が高い者もいるがそう言った個体は全体的に少数だ」
「意思疎通は難しそうだな」
「そうだ。だから西方では駆除対象でそれを専門的に狩る組織もいるらしい」
ファンタジーで言う冒険者たちかと考えつつ俺は教えてもらった知識を頭に叩き込んでいく。こういった知識は今後活用する機会が出てくるだろう。その時に知らないでは不味いからな。
それにしても、エイザは色んな事を知っているな。竜人族らしいしやはり長命なのだろうか?
「ところでエイザは幾つなんだ?」
「俺か?俺は今年で39だ。竜人族では子供と大して変わらない年齢だな」
「そ、そうなのか。それにしてはいろいろな知識を持っているけど……」
「そりゃ俺は竜人族の代表の様なものだからな。これくらいは知っておかないと務まらないぞ」
「そうだったのか」
俺は改めて彼女の凄さに驚くのだった。




