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転生した俺は魔王となり魔物の理想郷を作ります  作者: 鈴木颯手
第1章奴隷編~スヴィニア国家弁務官区~
1/12

001

 俺は今、テンプレのような状況に陥っている。トラックに引かれ気づいたら法廷のような場所にいた。

 こういうのってよく見る異世界への転生と言う奴だろう。俺は興奮する気持ちを抑えながら周囲を見渡す。周囲はまさに法廷と言う感じであり裁判官が座る場所には髭面のおっさんがいる。検察官が座る場所にはまさに神様という感じの人が座り弁護士が座る場所にはホストのような軽そうな男が座っている。後ろまでは見ることが出来ないが複数人の気配を感じる。全員が俺に視線を送っているのが分かる。流石にそれが良いものか悪いものかまではわからないがな。


ガンガン!


 裁判官の位置に座るおっさんが木槌を叩く。すると全員の表情が真剣な物となりこちらに向けられる視線がより一層強くなる。俺が立っている場所が中央部という事もあってまるで罪人のような気分になる。


「ではこれより第一回転生委員会を開催する。主審はこの儂ゼウスが務める」


 ゼウス!ギリシア神話の中で全知全能の神の名前を聞き自然と俺の口角は上がるがそれを必死に抑え込む。正直今の状況でニヤけるのは得策ではないと思うからな。そう思った俺は黙って事の成り行きを見守る。


「皆も知っての通りアポロンの提案である人間の転生を行う事になった。そしてこれはその最初の転生の儀式である。……とは言え我らの箱庭に異物を混入させるのである。大なり小なり混乱が起きよう。変革も起きよう。その為最初の転生者であるFile.01が転生させるにふさわしいか否かを決議する。意見があるものは遠慮なく答えよ」

「では私が」


 ゼウスの言葉に俺は少し苛立ちを感じる。最初から俺を見ていないし気にもしていない。まるで製造業における製品の試作の如き扱いだ。そこで俺は思った。四方八方から感じる視線がどれも同じ事に。そりゃ良いも悪いもないな。


「ヘパイストスか。なんだ?」

「私はこの転生の儀式自体に反対します。この01が送られる箱庭には少し刺激が強すぎます。送るのであればもっと過酷な世界がふさわしいかと」

「それは無理じゃない?こいつの世界の人間は大分脆弱だから」


 ヘパイストスと呼ばれた男は検察官の座る位置より手を上げて反対意見を出したが直ぐに弁護士の位置に座るホスト風の男がそれに反対する。というか人の事を番号で呼びあがって……。俺には神崎龍馬というカッコいい名前があるのに。それに一言を脆弱って……。


「01は思想的に過激な面もあるけど問題ないと思うよ。それに、今回送るのは僕が管理する世界だ。僕に最終決定権があるのを忘れないでね」

「それは転生の儀式が成立する場合だろう。私は儀式を中止し01はこのまま規定通りに魂の消滅を行うべきだ」

「そればっかりしていてもつまらないからこうして儀式の話を持ち上げたのに何言ってるの?」


 神々の話し合いには大分聞き捨てならない事が含まれている。どうやら俺は次がなく消滅するはずだったのをこうして転生の儀式とやらを行うために保留になっているだけのようだな。……何処まで人を侮辱すれば気が済むんだと思うがなぜか体は会議が始まってから動かないし口も開かない。銅像の様に直立不動のまま立っている事しか出来ない。


「ヘパイストス。儀式は行う。これは決定事項だ。それに、我らが話し合っているのはこいつを転生させるに相応しいか否かだ。儀式に関してではない」

「……は」

「アポロン。01以降はお主に一任する事となっているがそれでも我らは見ているぞ。世界を破滅させるような人物を招き入れた場合、どうなるかは分かっておるな?」

「勿論ですよ。お父様」


 ホスト風の男、アポロンはうやうやしく頭を下げた。ゼウスが視線を全体に向ける。


「それで?他に意見はあるか?」


 ゼウスのその言葉に意見は出ない。それを確認したゼウスは木槌を再び打ち付けると声を張り上げて言った。


「では!転生の儀式を発動しFile.01を転生させる!転生先はハーン大陸中央部バーレンベルグ連邦帝国に併合されたばかりの地域に存在する鬼人族の里!」


 そう言うと俺の足元が光りだし俺の体は光に包まれた。


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