翡翠の森③
ぜひ最後まで読んでください
2階層を突破して、現在3階層。
結局女王蟻らしき奴は出てこなかった。
量こそ多かったが、1匹1匹は弱かったためダメージはほとんど喰らっていない。
喰らっていないのだが、とにかく疲れた。休む暇もなく、ひたすら剣を振り続けた。
今回ばかりはほんとに無詠唱か同時に魔法が使いたいと思った。
3階層はというと
「ディセンズ!!」
強引に上から下に短剣を切り下げる。
(くそっっ!硬ったい!!)
短剣が悲鳴をあげ、とうとう折れてしまった。
マジックバックから新しい短剣を取り出す。
(これ斬るの無理だ)
カブトやクワガタに似た昆虫類であった。
背中の甲羅?の所が硬すぎて剣が通らない。
シュウの方もかなり苦戦しているようだったが結局、俺が遠距離から「ファイヤーボール」を打ち続けて、倒すという方向で行くことになった。
続く4階層。4階層に来た瞬間に何が来るかを察した。
((あっ、これ蜂だ))
少し先にある一際大きな木に巨大な蜂の巣が付いており、そのまわりには蜂が飛び回っている。
さらに5階層への扉はあの木の根元にあるらしいので行くしかないが、自分たちのテリトリーに入ってくる侵入者を放っておく蜂たちではない。
もちろん、集団で攻撃してくる。
まず向かってくる蜂を「ファイヤーボール」や「サンダーボルト」などで数を減らすだけ減らしたあと、地上に近づいてきたやつをシュウが倒していく。
相手の数が多い時やっぱりパーティーを組んでいた方が効率がいいし、1人あたりの負担も減らせる。
とそんな感じで進んでいき、5階層には行かずそのままダンジョンを出る。
今回はここまでだ。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ダンジョンから出で、仮設テントに行くと上原さんがいた。
ブレスレットを渡され、腕につける。
「お疲れ様。大丈夫そう?」
「はい、数は多いですが1個体1個体はそこまで強くないので今のところは大丈夫です」
「パーティーとしては?」
「問題ないと思います。相手の数が多いとやっぱりパーティーを組んでる方が楽ですし。これからもこのパーティーでやっていきたいと思っているんですけど...」
「僕もこのままパーティーでやっていきたいと思っています」
「了解。ちなみに今回何階層まで行ったの?」
「4階層までです」
「...さすがね」
今日はこのまま家に送ってもらう。
車に乗りこみ、今後について色々と話し合う。
とりあえず日本にあるダンジョンの位置は全て把握しているが、だいたい何階層ぐらいでどんなモンスターが出るかなどは全く知らない。
とりあえず日本のダンジョンを全て攻略するのを目標としている。
話がひと段落着いたところでシュウに「ファイヤーボール」のスクロールを渡す。
「良かったらこれ使って」
「スクロール!?いいの?売れば下手したら数億円いや、数十億円ぐらいはすると思うんだけど?」
「いや、これはシュウが使って。少しでも戦力は高い方がいいしね。中身はファイヤーボールって言う魔法だ」
「これがなんのスクロールか分かるの?」
「俺はもうファイヤーボールを習得しているから、習得している人はスクロールを開いても使用されずに手元に残るんだ。」
「なるほど。だから中身が分かるのか」
「それに、売る分はこっちにあるからね。」
「それは?」
「こっちのスクロールはパライシスって言う魔法なんだけど、あんまり使いどころがないから売るつもり。実際、俺も今日初めて使ったし」
「そっか、わかった。ありがたく使わせて貰うよ」
それから車で数時間、無事家に着き解散する。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
自宅に到着し、荷物を整理する。
まるで家に帰ってきたのを見計らったようなタイミングで電話がかかってくる。
「はい、シュウです」
「どうだ?ちゃんとパーティーは組めたか?」
「はい、問題なく組めました。」
「我らが目的のためにあの小僧は利用出来る、だが邪魔になった時は消せ。そのために今は小僧から信頼されておくように」
「わかっています。任せてください。」
「それと、あのスキルはまだ使うなよ。自分の命が危なくなった時か、小僧を始末する時だけ使え」
「分かりました」
「では、これからも引き続きダンジョン攻略頼むぞ」
「はい、失礼します」
(時が来ればカイトを殺さなくてはならないかもしれない。その時、躊躇しないようにある程度距離を保ちながら、信頼を勝ち取っていこう。)
それとあのスキルはしばらくは封印だね...
ありがとうございました