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翡翠の森




「これがダンジョン...」



まるで大きな木のようだ。ダンジョンが幹の役割を果たし、そこから枝が無数に生え、葉までもついている。



(どういう仕組みで、枝とか葉が生えてんだよ...。木に擬態しているのか?)



擬態していると言ってもダンジョンが高すぎるため、遠くから見れば不自然に1本だけ突出している。

全然擬態できていない状況だが、これがもしアフリカやアマゾンなどの背の高い木の中にこれがあれば、パッと見分からないかもしれない。



(まるでダンジョンが意志を持って見つからないようにしているみたいだ)



上原さんが車から見た事のないような金属の輪っかを持ってくる。

あれでブレスレットを外すのだろうか?



「ここが今日行ってもらうダンジョンです。本来は右手にある仮設テントに行き、ブレスレットを外してダンジョンに入りますが、今回は私が外します。今日はお試しなので決して無理はしないように。少しでも危ないと思ったらダンジョンを出てください」



「「はい!」」



「お気をつけて」



(よし、行くか!)




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




「聞いてはいたけど本当に森だな…」



ダンジョンに入り、現在一階層。気温は初夏ぐらいだ。



「2階層に行くための階段の場所教えてもらってるから、とりあえずそこに向かって行く?」



「そうだね。途中でモンスターに会うと思うから、そこで連携の確認をしていこう」



「まあ、連携っていってもパターンとかコンビ技とかなんにもないけどな」



「まあね。でも、お互いがお互いの邪魔にならなければ、ある程度のところまでは勝てるでしょ?」



「だといいけどなっっ!」



二人同時に横に大きく跳ぶ。

さっきまでいた場所に剣で切りつけたような跡ができる。



(あれは...鳥?いやトンボか!)



しかし流石だな。俺は索敵があるから奇襲系はあんまり効かないが、シュウはそういうのがないはずなのに普通に躱している。

しかもあのトンボそこそこ早い。さらにサイズは普通のトンボよりもはるかに大きい。


おそらくあの地面の傷跡はトンボが地面と垂直に飛ぶことによって、その羽で切りつけたものだろう。



そのままシュウに向かって飛んでいく。



「ブースト」


もし危なかった時のためにすぐ助けられるようにスピードをあげる。



「部分硬化」



高速で飛んできたトンボの羽を左腕で受け止める。


まるで剣と剣がぶつかり合ったかのような音がなる。



「身体強化」



トンボを左腕で止めたまま、右で思いっきりトンボの腹を殴る。

殴られた衝撃でトンボは吹っ飛ぶと思ったが、想像以上に威力が強かったのか腹を貫通してしまっている。



トンボから右腕を抜いてこっちを向き笑顔になる。



「だいたいこんな感じかな」



「お、おう...」



(怖っ。ていうか貫通してたし。その後の笑顔とか恐怖でしかない。シュウ、絶対腹黒いわ)



そう確信した瞬間だった。








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