対ダンジョン用パーティー結成①
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「起立!礼!」
(ついに明日か...)
金曜日の最後の授業が終わり、再びダンジョンに行くことが現実帯びていき、少なからず緊張してしまう。
事前情報としては、ダンジョンの内装は森のような感じらしい。木々が生い茂っており、モンスターも木が動くトレントや蟻や鉢など森に住んでいるような生き物ばかりだ。
地形を有効に使い、奇襲をかけてきたり、トレントは普通の木と見分けがつかないため相当厄介らしい。
トレントと普通の木の見分けがつかなければ、最悪「ファイヤーボール」で全て焼き払ってしまえばいいと思ってしまうが、そう簡単にいかないのはよくわかっている。
まあ方法の一つにそういう手があるという認識程度でいいだろう。
現在、自衛隊により4階層まで到達しているらしい。俺が巻き込まれたダンジョンのような迷路のようになっているのではなく、とてつもなく大きな部屋が1つあると言った形で、そのどこかに下に降りられる階段があるそうだ。
そして重要ことは既に5階層に繋がる階段...いや、聞いた話を正確に言うならば大きく豪華な扉を発見しているそうだ。
おそらくその先にはボスが待ち受けているのだと思う。
俺がいたダンジョンでもそうだった。
現存の武器は有効では無いため、まだその先に行かないそうだ。大量の死者を出した前例があるだけに慎重にならざるを得ない。4階層まで行くまでにも何人もの自衛隊員が犠牲となっている。
ダンジョンという言葉は今最も注目を浴びる言葉であり、対応を少しでも間違えたり、死者が出てしまうとたちまちマスコミの餌食となってしまう。
最後にダンジョンの深さに関して。ダンジョンが発生する際の地震の大きさとダンジョンの階層数が比例するという仮説が正しければ、10階層ぐらいだそうだ。なので現在は約半分攻略している形になる。
(そういえば、シュウがどんなスキルや剣技が使えるか全く知らないんだった。連絡しようにも連絡先分からないし。まあ、明日聞けばいいか。1階層、2階層ぐらいだったらレベルゴリ押しで行けると思うし...)
「.........、カイト、カイト!」
「うん?ああ、葵か。すまん、考え事してた」
帰る支度をしながら、明日のことを考えるのに集中するあまり呼ばれてるのに気づかなかった。
「明日のダンジョンのこと?」
葵が心配そうに尋ねてくる
「えっ?」
(葵に言ったっけ?)
「レイジくんに聞いたの」
「あぁ、レイジか。あんまり広めないでくれよ。もうあんなに囲まれるのは勘弁だ。」
「これ」
ポケットから取り出し、渡してきたのは紫色のお守りだった。
「えっ、あっ、ありがとう」
まさかお守りをくれるとは思わなかった。
「それと、この前お見舞い来てくれてありがとう。寝ちゃってて気づかなかったから。プリン美味しかったよ。まあそのお礼も込めてのお守りってことかな〜」
「そういうことか。大事にするよ」
「うん。明日、怪我しないように。間違えても死んじゃダメだよ?」
「...まあ、死なないように頑張る」
「間違えても死んじゃダメだよ?」のところだけ日頃の話し声からは想像できないほどの冷たく、そして低い声で、こちらに「あっ、これは本気だな」と、否応なしに認識させる程のものだった。
女の人が時々出すこの声程怖いものはない。
ありがとうございました!




