ダンジョン省
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お風呂から上がると、父さんとダンジョン省の人がすでに来ていた。
「無事で何よりだ」
父さんが俺の肩に手を置いてそう言う。まあ父さんらしい。
「おう」
で、あれがダンジョン省の人か。男の人を想像してたけど女性だった。新しい省なのでお偉いさんしか所属してないイメージがあったが目の前のこの人はまだ若い。まだ二十代なのではないだろうか?黒髪のロングでいかにも仕事が出来そうな感じの人だ。
「すみません。せっかく息子さんが帰ってきた所にお邪魔して」
「いえいえ、構いませんよ。そちらも仕事ですからね」
「そう言っていただけると幸いです」
ダンジョン省の人がこちらを向く。
「初めましてカイトくん。私はダンジョン省の上原といいます。ダンジョンクリアおめでとう。」
「ありがとうございます」
「とりあえずこのブレスレットをつけて」
「これは?」
「探索者のステータスを抑えるものよ。探索者の方はこれをつける事を義務付けられているの」
ブレスレットを付ける。デザインはいたってシンプルな銀色だ。
ダンジョン外で魔法などを使いたくても、ステータスを抑えられた状態だったらこれを外すのは困難だろう。
「すみません、カイトくんがダンジョン発生に巻き込まれてからこの世界で何があったのか説明するので、二人にしていただけますか?一般公開されていない情報などもあるので」
「「分かりました」」
両親が部屋を退出する。
妹はすでに自室だ。
「じゃあ始めるわね」
「お願いします」
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「なるほど。そんなことが……」
「はい」
地球の重力がなくなってきているのか。あと7年…。
現在クリアされているのは日本ではまだ2つだけか。
「カイトくん。君がクリアしたダンジョンのことで少し質問してもいい?」
「はい」
「何階層だったか分かる?」
「僕がダンジョンに入った時にいた所が1階層だとすると、9階層です」
「今のステータスをここに書いてもらってもいい?」
「別に書かなくても見せますよ。ステータスオープン」
「そういえば言ってなかったですね。他人のステータスは見ることが出来ないんですよ」
「あっ、そうだったんですか。分かりました。書きます」
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「これは.......」
「どうかしたんですか?」
「ステータスが高すぎるのよ」
「そうなんですか?」
「世界では分からないけど、日本では文句なしで探索者ランキングトップ10以内よ」
「そんな大袈裟な」
「いいえ、これは大袈裟なんかじゃないわ。魔法にしても剣技にしても使える人はごく僅か、なのにカイトくんは使える上に複数取得しているのだから」
「その探索者ランキングって自衛隊の方も含まれているんですか?」
「ええ、自衛隊は探索者とは別の扱いだけど、ランキングだけは一緒よ」
「なるほど」
「外国人は含まれていないんですか?」
「一応、含まれてはいるけれど、外国の自衛隊みたいな組織の人のは含まれていないの。色々と隠しておきたいこともあるでしょうからね」
「で、今日はこのブレスレットを渡しに来ただけですか?」
「もうひとつ用事があって。一つ頼み事があるの」
「またダンジョンに潜って攻略してくれ、ですか?」
「そういうこと。さっき言った通りもう時間が無いの。今自衛隊はほとんど休みなしでダンジョン攻略しているけど、どこのダンジョンも5階層より下の階は銃がほとんど効かないの。
さらに、ボス部屋に入れるのは一度に5人までで、体に装備しているものでなくては持って入れないから、大型の武器は持って入れない。
毒とか使っているけど倒すまで莫大な時間が必要となるし、一番硬いって言われているウルツァイト窒化ホウ素を使った武器でさえ、切れ味が悪くて普通に徘徊しているモンスターでさえ手こずっているのよ」
「魔法とか剣技を使わないんですか?」
「さっきも言った通り、まず使える人が少ないのと、剣技を使えば剣の方がもたずに折れてしまうわ。魔法は無限に使えるわけではないし、現在攻略されている最下層ではもうほとんどダメージを与えられてないみたい。かといって派生の魔法や剣技を取ろうにもスキルポイントが足りない」
「なるほど。ちなみに皆さんの平均のレベルはどのくらいですか?」
「自衛隊の方は平均14ぐらいで探索者の方は平均9ぐらいかしら。攻略してて分かったんだけど、モンスターを倒した時の経験値って戦闘に参加していた人全員に均等に分けられるらしいの。自衛隊は死なないことを優先して、5人1組でダンジョンに入っているからレベルが上がりにくいのよね」
なるほど。だからレベルが低いのか。
俺はソロだったから魔法を複数取得しているが、集団となるとそうはいかないだろう。もともとスクロールの量も少ない上に集団となると、どうしても一人一つが限界だろう。
魔法や剣技を持っていればいい方だ。
しかも剣技は使えないときた。攻略がなかなか進まない訳だ。
自衛隊は高速攻略に向いていない。
早く攻略するのは探索者の方が向いているが、こちらは一般人だ。生き物を殺すのに慣れていなければ、戦闘訓練を受けたことも無い。たとえ探索者になったとしても、ダンジョンに行かなくなる人だって少なくはないだろう。
しかしまたあの地獄のような所に行くのか…
気乗りはしないけど、待っていたら無重力の世界になってしまう。無重力になっても住めるのだろうか?
どうせ、住めなくなるのなら誰かがダンジョンをクリアすることを願って待つよりも、自分でやってダメだった時の方が諦めがつく。
「分かりました。協力します」
「ありがとう。心強いわ。当面の間は日本にあるダンジョンをクリアするのを最優先事項と考えて。あと、パーティーどうする?」
「俺はこのままソロで行きたいと思っているんですけど…」
「それはやめておいて。あなたが死んだら比喩ではなくダンジョン攻略の進度が遅れてしまうから。5人ではなくても、せめて誰かもう一人とパーティーを組んでくれないかしら」
あまり大人数で行動するのは好きではないのだが、この際は仕方がないか。2人だったらまだ大丈夫だ。
命に関わることだしな。
「じゃあ、できるだけ人数を少なくして、少数精鋭って感じで、年齢は近い方がいいです」
「なら、カイトくんと同じ高校生でダンジョン発生に巻き込まれた人なんかはどう?今、彼は探索者になっているわよ。確かレベルは16だったはずよ」
16か。自衛隊の平均よりもレベルが高い。
なかなか頑張っているのだろう。
「とりあえず一度会ってみてそれから決めます」
「分かったわ。日程が決まったらまた連絡するわ」
「ありがとうございます」
どんな感じの高校生だろう?探索者のテストに受かっているので、人間性的には心配していないが、あとは相性だな。
ありがとうございました!




