ダンジョン
短いです。
(次は芸術か…早めに行くか)
お昼休みが終わり午後の始まりの5時間目。
昼食を食べ、眠気が襲ってくるこの時間の授業は、どうしてもやる気になれない。
うちの高校では芸術・音楽・書道の中から自分の希望を第一希望から第三希望まで紙に書き提出し、先生たちが同じような人数になるように各教科に振り分けていくといった形で決められる。ちなみに俺は第一希望が書道、第二希望が音楽、第三希望が芸術といった感じで紙を提出したはずなのだが、なぜか第三希望が採用されている。
謎の闇を感じるのは気のせいだと信じたい。
なんでこの順番かというと消去法だ。芸術は1課題1課題だ大変そうなので一番最初に却下。そして音楽と書道なのだが正直どっちでもよかったがなんとなく書道の方が文字を書くだけで簡単に思えたため、そちらを第一希望にした。今どきの高校生なんてこんなもんだ。
願いも虚しく芸術に振り分けられてしまったものはしょうがない。就職などでも企業には入れたけど希望の部署に配属されなかったなどザラにあるし、それに対して不満があってもどうしようもないと聞く。
(まあ、やる気が出るかは別問題だけどな)
また芸術の授業がある教室は本館ではなく別館にあるため、ある程度の距離を歩かなければいけない。それもまたやる気の出ない理由の一つだったりする。
「うおっ!」
突然地面が揺れ、咄嗟に壁に手をつく。
(地震か)
日本は太平洋プレート、フィリピン海プレート、北アメリカプレート、ユーラシアプレートの4つのプレートが接している世界でも有数の地震大国なので、地震が起こること自体にはそれほど驚くことはない。
日本では地震が日常茶飯事で起こるため相当大きな地震が来ない限りさほどびっくりはしない。この別館の窓ガラス越しに見える本館にいる女子生徒も友達と笑い合いながら携帯をいじっている。おおよそSNSなどに『地震やばくない?w w w』などといった女子高校生ぽいことを書いているに違いない。
初期微動が終わり、主要動に入る。
(長いな)
だんだんと強くなっていき廊下の窓ガラスが割れてもおかしくないぐらい揺れている。地震に慣れている地面タイプの日本人といえど流石に不安になってくる強さだ。
(ガラスって案外割れないもんだな)
とフラグとも思える悠長なことを考えていると目の前の窓ガラスが割れた。
(やばい!)
とっさに目を瞑り、下を向く。
だがガラスが体に当たることはなかった。
「はあっ?」
目を開けるとそこは廊下ではなくなっていた。
まるで洞窟の中のようなところ。地面は乾いた土になっており、半径3メートルぐらいの空間が前にも後ろにも続いている。
(どこだ?ここは?)
次回からダンジョン編です!