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とある戦闘

とりあえず戦闘シーンを描いてみました。


次の話からダンジョンの発生に巻き込まれた諸々のストーリーを描いていきたいと思います。


「ブースト」



自身の身体能力を上げるスキルを使用し、スピードがまた一段階早くなる。自分の想像している自分より強く、そしてより早く。


頭で考えると同時に・・・いや攻撃を目で捉えた瞬間に反射でどうすれば良いのかわかっているように身体が勝手に動き出す。相手からの攻撃を紙一重で避け、いなしていく。

攻撃自体をかわすのは簡単なことだが大袈裟に避けたら戦闘時間が長くなり、どんどん不利になっていくのは俺の方だ。

体力の消費も激しくなり、パフォーマンスも落ちてくる。


体力という概念を持っていない相手と戦うのはなかなかに辛いものがある。

一方的にこちら側のパフォーマンスが落ちていくだけなのだから。


突然モンスターの持っている大剣の柄から剣先にかけて幾何学的な模様とともにギリシャ文字のような文字の羅列が黄色に発光していく。


「・・っ!!こいつ剣技使えるのか!」


自分より二回り大きい相手のモンスターから強烈な一撃がくる。

当たらなくともかすりでもしたら戦闘を継続できないような攻撃。



だがどんなに強い攻撃でも()()()()()()()()()()()()



上段からの強力な振り下ろし。自分の身長ほどの大きさはあるのではないかと疑うほどの大剣を容赦なく叩きつけてくる。

通常の攻撃より数段速い。

大剣が目の前に迫ってくる。死が近づいてくるのと同時に思考が加速していき、時間が引き延ばされる。


ブーストで強化された身体を左半身を後ろに引くことで半身になり大剣を紙一重のところで避ける。

鼻先を大剣が通過していき、少し遅れて風が到達する。


(意識してないとやっぱり左を動かしちゃうな)


人間、転びそうになった時やものを落としそうになった時など反射的に動かしてしまうのはどうしても自分の使い慣れている利き手側になってしまう。今はいいがこの先より知性の高いモンスターとの戦闘になったときにそういう無意識的な行動や癖というものは利用されてしまう可能性がある。頭の中で理解はしていても咄嗟にやってしまうことなので治すのがなかなか難しい。


ちょっとした反省を頭の片隅で考えながら次の行動を考える。

時間にして一秒未満の刹那の時間。だが約2ヶ月もの間、24時間ダンジョンの中でモンスターの相手をしてきた人間が思考するには十分すぎる時間。


それに剣技などの強力な攻撃の後はスキが大きい。クールタイムだってある。


やっと攻撃ができると思うとつい頬が緩みそうになる。いつからこんなバトルジャンキーになったんだと内心悲しくなりつつ相手の懐に潜り込み



「紅蓮嵐山」



つい最近習得した現在手持ちの剣技で一番火力の高いものを使用する。


紅蓮嵐山は火属性が剣技に付与された攻撃であり、下から上へと切り上げる攻撃である。

剣技というものは最初から攻撃の軌道がある程度決まっているらしく紅蓮嵐山の場合だと剣を振り上げた状態からだと発動しない。

紅蓮嵐山は追加効果で渦を描くように剣を中心とした火柱が発生する。さらに一定確率で「やけど」という異常状態にもすることができる。



「やけど」は10秒ごとに一定ダメージを与えることができる。

そのダメージは微々たるものだが、防御力を無視できるところが強い。

極端に防御力が高いモンスターはHPが少ない傾向にある。そういうモンスターには有効である。



しかし今回は「やけど」にはならなかったようだ。

まあこいつは防御力、HPともにそこそこ。

その分を攻撃力にまわした完全パワー系である。

そんな奴が「やけど」になったところで?って話なのだが。



相手からの追撃が来る。

「紅蓮嵐山」を使用したばかりで剣を振り上げ、体は完全に伸び切っている。

そこに横のなぎ払いだ。まともに受ければひとたまりもない。



下から上への運動エネルギーの流れに逆らわず、そのまま思いっきり硬い地面を足で蹴り飛ばしジャンプすると同時に短剣を胴体部まで戻し、大剣にそわせるようにして空中で体を無理やり回転させる。

自分の短剣が相手の大剣にあたる。相手のなぎ払いによる強力な横に対する力を短剣上手く流し、回転することでいなす。



足が地面についた。



「バックチェンジ」



相手の背後に回る。



「バッシュ」



右足のアキレス腱を切る。

あいての体制が崩れて、倒れてくる。それに合わせる。



「レイザント」



下から上へ斬る無属性剣技。うなじを深くえぐる。



「グォォォォォォォォォォォォォォォォ」



(くそ!威圧をつかってきやがった。こいつまだやるのかよ!うなじをえぐったんだぞ!)



血がついた短剣を再び構える。

危機迫った表情で最後とも思える突進をしてくる。



横に大きく飛び回避すると同時に毒のついた投げナイフを投げる。




「くそっ!」



皮膚が硬すぎて刺さらない。



だが永遠に続くかと思えた戦いも唐突に終わりを告げる。

モンスターが壁に激突したまま動かなくなった。




「やっと終わったか」



生き物というものは致命傷を与えてからも1、2回ぐらいならぜんぜん攻撃してくるというのがここにきてから学んだことだ。なにかの本で人間も心臓を拳銃で撃ち抜かれたり、刺されたりしてもそこから三秒くらいは動くことができるといった内容の文章を読んだ覚えがある。三秒もあれば相手を道連れにすることができる自信がある。

そんな自信持ちたくはなかったしそんなことにならないことを祈るばかりだが。



ダンジョンの発生に巻き込まれてから約2ヶ月がたった。

体感なのであまり当てにはできない。



人間の生活周期は25時間周期というのを聞いたことがある。そう考えるならば実際にはもう少し月日が経っているだろう。



(早くここを出る方法を見つけないとな…)



そしてまた階段を降りていく



ありがとうございました

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