閑話35:変わりゆく世界と去り行く老人
お待たせしました。
説明回です。
第三次東メーヴラント戦争が佳境を迎えた大陸共通暦1786年。
大陸西方ガルムラントを焼き続けた戦火がついに鎮火した。
これは勝者が決まったわけではなく、長期内戦の疲弊から勢力均衡状態に妥協したためだ。
共通暦1774年の暮れから10年以上に渡って続いた内戦により、ガルムラントは三勢力に別たれた。
一つは第三皇子を戴き、帝都を押さえた自称『正統王朝エスパーナ帝国』。
一つはベルネシアとイストリアの紐付き『ガルムラント諸国連合』。
一つは大乱中に逝去した第二皇子の舅軍閥『ルスタニオン大公国』。
大陸西方ガルムラント三国志だ。
この均衡状態へ至った理由は先に述べた通り、彼ら自身が疲弊し尽くしたから。
なお、戦争全体としては和約を以って終結したが、新国境を中心とした競合地域では依然と小競り合いが絶えていないし、群盗山賊の跳梁、飢えた民衆の暴動、局地的モンスター禍などなど平和には程遠い。加えて、三国ともに長く続いた内戦で完璧な経済破綻状態にある。
そして、エスパーナ植民地の分離独立派と王党派の熾烈な抗争にも、決着がつき始めていた。
地球史において、スペイン帝国がナポレオンに痛めつけられている間に、南米植民地が独立闘争を開始。ナポレオン戦争後の1820年代に次々と分離独立した。
エスパーナ帝国の南小大陸植民地も同じだ。
長い大乱で衰弱していく本国の有様に、植民地の野心家達や弾圧に苦しむ現地人達が独立の夢を実現しようと動いていた。
結論から言えば――南小大陸において新たな分離独立国がいくつか誕生した。エスパーナ人権力者達が支配層に君臨する国が。
民族独立の夢は未だ叶わず。先住民の悲劇は未だ終わらず。
○
南小大陸南部――エスパーナ植民地地域が相次いで独立した頃、南小大陸ウリエルス山脈(エスパーナ人命名)以西に立てこもる先住民族諸国群は静かに情勢を窺っている。
イストリア植民地の独立戦争が終結した後、イストリア入植者達は内陸国として正式に独立していた。
国の名はパラディスカ合衆連邦。7つの独立州からなる議会共和制国家だ。
本来なら、イストリア入植地全てを押さえて独立するはずだったが、南小大陸大冥洋沿岸地域――通称:東海岸部は全てイストリアに押さえられており、王党派を中心とするイストリア植民地が維持されている。
同植民地には精強なイストリア陸軍パラディスカ軍団が駐留している。加えて一朝事あらば、協働商業経済圏の同盟国であるベルネシアとクレテアの南小大陸植民地軍が増援を派遣することになっていた。
つまるところ、合衆連邦単独では、イストリア植民地を武力併合することは叶わない。かといって独立した旧エスパーナ植民地国家群は、どいつもこいつも手を組みたい連中ではなかった。
となると、ウリエルス山脈以西の蛮族共を利用するしかないが、連中は散々ぱら白人諸国家に痛めつけられてきたため警戒心が強く、最低限の関わりしか持とうとしない。
幾度か安保同盟や貿易や経済協力などを打診してみても、色好い回答は一つも返ってこなかった。
では、武力でウリエルス山脈以西を制するか?
それもまた困難だった。ウリエルス山脈は先住民族諸国家群が『民族存亡の盾』として重要塞化していた。仮に山岳要塞を攻略しても、今度は凶悪な難地形が移動や補給を妨げる。何より、先住民達が死に物狂いで抵抗するだろう。
八方塞がり。
今はまだ内需を満たす方向で国を回し続けられる。
しかし、内需拡大の限界を迎えたら外と商売せねばならない。その時、内陸国のままではどうにもならない。海が無ければ。外海へ通じる港が無ければ。
パラディスカ合衆連邦は残り時間を思い、国の進む道を思い、密やかな覚悟を抱く。
もう一度、戦うしかない。
旧宗主国か、クレテアか、ベルネシアか、先住民か、あるいはエスパーナ植民地国家群か。
どこかと戦って海を手に入れなければならない。
神に愛されたパラディスカに相応しい繁栄を得るために。
もっとも、合衆連邦の権力者達は知らない。
ウリエルス山脈から恨みと憎しみで染まった目線が注がれていることを、パラディスカ合衆連邦は知らない。
○
南小大陸で密やかに不穏な気配が漂う中、大陸南方地域では白人達の与り知らない戦いが繰り広げられていた。
大陸南方の南部地域は地球世界で言うところのブラックアフリカのような黒人地域だ。
諸賢も御存じであるように、アフリカ史は白人の侵略を期に激変する。研究分野において白人の侵略以前・以後に分かたれるほどだ。
そして、白人の侵略以前のアフリカは欧州やアジアと同様に激しい勢力争いが繰り広げられていた。
魔導技術文明世界の大陸南方南部地域とて同じこと。沿岸地域に列強の入植地や外洋領土こそあれど、主役はやはり現地人諸国である。
地球史において、インド洋の権益を巡ってオマーン帝国がポルトガルやイギリスと鎬を削っていたように。
東アフリカでエチオピア帝国がスルタン諸国と競っていたように。
西アフリカに存在した無数の都市国家と諸帝国が交易抗争を繰り広げたように。
サブサハラ圏でイスラム勢力と非イスラム勢力が血みどろの戦いを重ねたように。
大陸南方も西方と同じく戦いの歴史を紡いでいる。
歴史的因縁。領土欲的野望。権力欲的野心。政治的事情や経済的都合。
あるいは宗教的情熱。
大陸西方や北方で聖王教が宗教的覇権を掌握しているように、大陸南方や中央域ではクナーハ教や現地土着信仰が普及している。
当然ながら、聖王教国同士が争うようにクナーハ教国同士も相争っているし、異教徒同士も戦っている。
この戦乱に追い打ち駆けるように、大陸南方南部は自然災害に見舞われ、凶作の年が続いていた。
また、自然災害はモンスター達の生態系にも影響を与え、かつてカロルレンで発生した大災禍以上の広域モンスター禍(に伴う疫病流行)が起きていている。
さながら地獄の坩堝のような有様。この惨状から逃れるため、人々の大移動が生じた。難民流入の社会不安がさらに動揺を広げる悪循環を招いていた。
大陸南方の影響は経済の相互関連性に則り、列強の協働商業経済圏にも少なからず影響を与えている。これら諸々に前後し、大冥洋で大型海竜の回遊期を迎えて航路制限が掛かったことも、列強の外洋領土を苦悩させた。
ベルネシア外洋領土:大冥洋群島帯の“女王”たる王女総督クラリーナが、眉目を吊り上げ、本国に吠えている。
『外洋領土の同胞が苦しんでいるのよっ! さっさと支援を寄こしなさいっ!! それとも、本国は“田舎”を見捨てる気なのっ!?』
異民族混血貴族と結婚して10年近く。今や4児の母となったクラリーナは母譲りの美貌に加え、レンデルバッハ家の女らしい艶美な威厳を湛えた権力者となっており、度々本国を困らせる強烈なタフネゴシエーターになっていた。
一方、クラリーナの妹ロザリアは大陸北方のイストリア連合王国へ嫁いでいた。
イストリア連合王国は北洋島嶼国家のイストリアが北洋陸繋島の旧諸王国を征服し、ノーザンラント半島地域を併呑して生まれた国である。
連合王国が発足する際、半島地域の一部旧王家は大公家として存続を許されていた。
ロザリアが嫁いだスウェドリア大公ノールファグレ家も由緒正しい旧王家。
なお、スウェドリア大公家の倅とベルネシア王家の第二王女ロザリアの縁を結んだのは、現イストリア王リチャード1世の妻、王妃メアリーだ。
第一王女クラリーネの結婚騒動ですっかりくたびれ、また次女の結婚に憂いたベルネシア王妃エリザベスは極々個人的な私信で敬愛する義姉メアリーに『変わったところのある次女が良縁を得られるか心配』と嘆いた。これにメアリーが『私の方で良い子がいないか見繕ってあげよう』と善意を発揮し、スウェドリア大公家の倅に白羽の矢が立ったわけだ。
万事にマイペースで順応性が高いロザリアは婚家にするりと馴染み、無事に子供も儲けている。義両親や親族もノールファグレ家の伝統やスウェドリア文化をさらりと受け入れた嫁を気に入った模様。夫婦円満で良き哉良き哉。
大公夫人ロザリアにとり、世はなべてことも無し。
○
スウェドリア大公夫人ロザリアが優雅なマダム暮らしをしている頃。
聖冠連合帝国元宰相サージェスドルフはいよいよ天に召されようとしていた。
もっとも、死の床にあってなお、その体躯はセイウチの如きであり、グフフと笑いながら「棺桶は頑丈に作ってくれよ。葬儀の最中に底が抜けては大騒ぎだ」と宣っている。まったく人を食った爺様であろう。
皇帝にさえ毒舌を吐く傲岸不遜な太っちょ。帝室の誰からも嫌われた老セイウチ。されど、誰よりも聖冠連合帝国と帝室の安寧と繁栄に心を砕いてきた忠義の臣。
ゆえに、であろうか。
サージェスドルフがいよいよ危篤状態に陥った時、聖冠連合帝国皇帝レオポルドは酷く動揺した。
聖冠連合帝国において玉体行幸は簡単なことではない。が、それでもレオポルドは無理を押して、皇妃を伴ってサージェスドルフを自ら見舞った。
「危篤だと聞いたのだが」
帝都のサージェスドルフ邸を訪ねたレオポルドは大きな寝台に横たわる肥満老人をぎろり。
「私にさっさと死んでほしい者達の早合点ですな」
グフフといつものように嗤う老セイウチ。しかし、その笑みはどこか力がない。やはり別れの時が近いことを否応なく察せられる。
「まったく……貴方という人は末期が迫っても変わりませんね」と皇妃ラファエラがぼやく。
「死が迫ったくらいで変節するようでは、帝国宰相は務まりませんでな」
のうのうと宣うサージェスドルフ。
「そこで改心ではなく、変節という辺りが卿らしい」
どこか寂しさを伴う微苦笑をこぼすレオポルドは、小さく息を吐き、まじまじと元宰相を見据えた。
「思えば、卿には子供の頃から多くの献身を受けてきた」
「城内を探検した時のことですかな? それとも、先帝陛下の肖像画に落書きをした時のことですか? いやいや、城をこっそり抜け出して帝都内を冒険しようとしたことでしょうか?」
グフフと笑う老セイウチ。
「たまには真面目に応じろ」
レオポルドは呆れ気味にサージェスドルフを注視し、
「……帝国には忠義の篤い者が大勢いる。しかし、卿ほど帝国の、いや帝室の未来まで安んじ奉らんと全霊を注いだ者はいないだろう。卿がいなければ、奥とて今の在り方はあるまい」
ディビアラント王族出の妻を横目で一瞥してから、問うた。
「なぜだ。なぜそこまで我らに忠を尽くしてくれた? 我らに尽くした献身の十分の一程でも己がために費やしたならば、卿は前ソルニオル公の如く振る舞えたのではないか?」
皇帝レオポルドにしてみれば、サージェスドルフは祖父帝の代は能吏として、父帝の代は政府高官から宰相として、自身の代にも宰相や相談役として、三代に渡って仕えてくれた忠臣だった。しかし、その忠誠心の源を、至誠の理由を聞いたことが無かった。
喉の贅肉を揺らして笑い、元宰相はどこか気恥ずかしげに語り始める。
「私は帝国を愛しています。帝室を尊んでいます。だからこそ、帝国に融和主義を浸透させ、帝室を帝国諸民族の象徴とせねばならなかった。
でなければ、帝国はいずれ東レムスや神聖レムスと同様、国家ではなく諸勢力の寄り合い所帯になってしまうでしょう。帝室は諸民族を支配するアルグス人勢力の頭目に成り果ててしまうでしょう。
その行く末は語るまでもない。誰かが帝国を変えねばならなかった。ですが、出来る者が居なかった。ならば仕方ない。私がやりましょう、とそんな塩梅ですな」
サージェスドルフはちらりとラファエラを窺い、
「私はいろいろと手掛けてきましたが、レオポルド陛下とラファエラ陛下を出合わせた事こそ最も誇るべき事績です。
些か手のかかる皇太子殿下の伴侶に相応しい女性。生まれ変わる帝国の皇妃に相応しい女性。メーヴラント人とディビアラント人を等しく愛する国母に相応しい女性。
それはラファエラ陛下を於いて他に居なかった。貴女ならばメーヴラントとディビアラントの架け橋という重責を担える。貴女ならば東征で屈したディビアラントの民が帝国人として新たな誇りを抱けるよう慰め、慈しみ、導くことができる」
いつもの不敵な笑みを寄こした。
「私の目は確かだったでしょう。これでも女性を見る目には自信があるのです」
レオポルドも細君ラファエラも言葉が無い。目の前の太った老人の深慮遠謀と忠義の篤さに圧倒されていた。
そんな皇帝夫妻に、老宰相は得意げに言った。
「我ながらまあまあ良い仕事をしたと思いますな」
○
王妹大公家のサロンで過ごしていたヴィルミーナの下に、訃報が届く。
元聖冠連合帝国宰相サージェスドルフの逝去。
「巨星墜つ、か」
あのデブジジイは紛れもなく聖冠連合帝国史上最高の知性と実行力を備えた大宰相であり、魔導技術文明世界近代前期を代表する大人物だった。
後世の歴史家達は『このセイウチ染みた男が聖冠連合帝国に生まれたことこそ、帝国最大の幸運であった』と評したが、過大でも過剰でも無く正当な評価だろう。
ヴィルミーナにしてみれば、サージェスドルフは前世記憶等を一切持たぬ現地産の人物でありながら凄まじいまでの先見性を有し、政治に長けた男だった。
サージェスドルフ以前の聖冠連合帝国はメーヴラント系(より正確にはアルグス系)を支配層とする民族階層社会であり、帝国内は民族や地域ごとに隔絶したサラダボウル国家だった。
もしも、この社会体制が続いていたら、聖冠連合帝国はじきにハプスブルク・オーストリアが辿った運命を踏襲したか、チトー率いるセルビアが支配者として君臨したユーゴスラビアの二の舞に至ったかもしれない(チトーの死後、ユーゴスラビア構成国が好機到来とばかりに次々と独立戦争を起こした辺り、ユーゴスラビアの実態が如何様なものだったか察せられよう)。
ところが、サージェスドルフは宰相に就任し、一代で帝国を根幹から作り替えた。
清濁と表裏に通じた巧妙な政治手腕を駆使して派閥形成し、無数の政争と暗闘を重ねながら自身の政策を実現させ、実施してきた。
その末、皇太子レオポルドと東征で下したディビアラント王族の姫を婚姻させ、皇室を民族融和の象徴とした。教育などを通じて貴賤を問わず他民族共存共栄主義を広め、ついには国内主流派に押し上げた。
しかも、派閥領袖たる自身が欠けても、融和主義派が国内主流派を維持できる組織と利権を築き上げている。
まさに敏腕。辣腕。剛腕。
サージェスドルフを忌み嫌う者達が歯噛みしながら認めざるを得ないほどに。
現代地球人知識というインチキを持つヴィルミーナから見た場合、サージェスドルフは来たる民主主義が普及した時代において、帝国に立憲君主制の選択肢――皇室存続の策を遺したに等しい。
まさしく100年先を見据えた国家的大計であり、遠慮深謀の粋であり、サージェスドルフの皇室に対する忠誠と尊崇の発露。
“本物”。
紛れもなく本物の大英傑。疑いようもない本物の大賢人。
ヴィルミーナはサージェスドルフの存在に畏敬と畏怖を抱き、同時に確信した。
やはり、“居る”のだと。
世界や時代は異なれど、地球世界同様に魔導技術文明世界においても、常人からすれば『ありえねえ!』と叫びたくなるような、規格外れの大英傑が、確実に存在するのだと。
市民革命の狂熱からナポレオンの如き怪物が登場するだろう。
激動の時流がビスマルク&モルトケのような大英雄を育成するだろう。
国民主権の到来は西方中に諸国民の春みたいな流血の混乱をもたらすだろう。
魔導技術文明世界において未だ市民革命は発生していないが……パラディスカ合衆連邦やエスパーナ植民地の独立など王侯貴顕の政権交代ではなく、民衆による建国が起きている。
未熟ながらも民主主義国家が生まれた事実は、少なからず王政国家群に影響を及ぼしていくだろう。
アメリカ建国がフランスの啓蒙主義者達に大きな勇気をもたらしたように。
「やはり、生じるとしたら東メーヴラントか。カロルレンもアルグシアも今次戦争の決着の仕方と後始末で火を噴いてもおかしくない。限界という点ではエスパーナも危ういけれど、ガルムラントは啓蒙主義の広まりが薄い。まだ芽吹かない」
ヴィルミーナは椅子の背もたれに体を預け、こめかみを撫でながら呟く。
「問題は革命だけじゃないか」
フランス革命政権は当初こそ革命を潰そうとする周辺国との防衛戦争に終始していたが、この戦いに勝ち続けたことで、やがて財政赤字を解消するため賠償金や利権目当ての戦争を始めるようになった。
東メーヴラントで市民革命が起きたなら、似たような方向へ進むだろう。
聖冠連合方面に進むか、西の協働商業経済圏へ挑むか。いずれにせよ、三度の戦争と革命の財政赤字を立て直すには外から金を引っ張るしかない。たとえ強奪という手段でも。
ヴィルミーナが剣呑な想像を巡らせていると、ジゼルが愛犬ガブと姿を見せた。
今年、ジゼルはヒューゴと共に王立学園幼等部へ入学しており、持ち前の勝ち気さと行動力で早くも派閥を形成している。母に似て女王蜂気質の持ち主らしい。
ジゼルはガブと共にヴィルミーナの隣に腰を下ろし、侍女へ自身とガブに飲み物を持ってくるよう告げる。
「屋敷周りの散歩に行ったんじゃなかったの?」と母が娘に尋ねれば。
「ガブが疲れちゃったみたいだから切り上げてきたの」と娘は老犬の頭を撫でる。
ヴィルミーナは自身と娘の傍らに身を伏せているシェーファーワーグを窺う。ガブを王妹大公家に迎えて15年以上経つ。犬の平均寿命から考えて長寿だ。
体躯こそジゼルより大きいが、ガブからかつての精強さは感じられない。むしろ、その大きな体躯が億劫そうだった。
いろいろと世話になっているゴセック元大主教も近頃臥せっている日が増えたと伝え聞く。
愛おしい者達との別れが迫っている。
内心に生じた寂寥感と悲哀から目を背けるように、ヴィルミーナは能う限りの慈愛を込めてガブの頭を撫でた。
 




