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転生令嬢ヴィルミーナの場合  作者: 白煙モクスケ
第3部:淑女時代

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閑話29:彼らの選択。あるいは戦う人々の決断。

お待たせしました。

 エトナ海諸島沖海戦にて深刻な損害を被ってはいたが、ベルモンテ海軍はまだ戦う力を残していた。コルベール大将が死地から連れ帰った戦列艦群が生き残っている。


 もっとも、当のコルベール大将は敗戦の責を問われて罷免されており、自邸に軟禁状態だった。彼は陸に上がって以来、敗戦の処理に加え、世間から敗北への非難や誹謗中傷を一身に引き受けており、精神的に疲弊し切っていた。


 癒しは20以上歳が離れた赤毛の年下妻の大きな乳房に顔を埋め、情欲に浸ることだけだった。

 王太子ピエトロがクーデターを起こした際も、コルベールは年下妻の柔肌に溺れていた。


 大一番に負けたせいか、コルベールはクーデターへ参加を誘われなかったし、事前の根回しの声も掛かってこなかった。まあ、声を掛けられたところで、精神的に疲れ切っていたコルベールは参加などしなかっただろうが。


 全てが終わってから憲兵隊がやってきて、コルベールを宮城へ連行した。

 処刑される可能性に恐怖した一方で、大敗の責を非難され続ける日々から解放される可能性に、安堵も覚えていた。


 なのに―――

「コルベール提督。我が国はコルヴォラント連合を抜け、協商圏側に与する予定だ。しかし、私の不手際から彼らとの交渉が上手くいっていない。場合によっては、一旦彼らに降伏し、父と我が身を差し出さねばならん」


 玉座に座る王太子ピエトロが酷く憔悴した面持ちで語った内容に、コルベールは戦慄した。周囲の諸官が沈鬱な顔で項垂れる中、眩暈を覚えつつ、玉座の王太子へ問う。

「な、何を……何をおっしゃっているのか、御分かりなのですか?」

「ベルモンテを救うためならば、この地からエスロナ家が失われても構わん、ということだ」


「斯様な繰り言は即刻おやめくださいっ!!」

 コルベールは屹立し、諸官を見回して怒鳴る。

「貴卿らは揃いも揃って何をしているっ! 殿下を、玉座を追われたとはいえ、陛下を国家存続の人身御供にするなど臣として恥ずかしくないのかっ!! エスロナ家を戴いてこそのベルモンテ公国だぞっ!!」


「そもそも貴様がエトナ海沖で勝っていれば、こんな様にはならんかったのだっ!」と軍人の一人が怒鳴った。


 が、禿頭が真っ赤に茹で上がったコルベールは一歩も退かない。

「我が無能はいくらでも誹るがいいっ! なんならこの場で我が首を落としても構わんっ!! だがな、我ら臣が主家を敵に差し出すなど、あってはならんのだっ! そのような結末を迎えては、あの海に散っていった者達があまりに不憫ではないかっ!!」


「なればこそ、なればこそなのだ。コルベール提督」

 ピエトロが顔を痛悔に歪めて、

「忠勇なる将兵の犠牲を無駄にせぬため、ベルモンテの民草だけはなんとしても護らねばならぬ。協商圏の銃砲弾のみならず、その圧倒的な経済力の侵略から民草の生活を護らねばならん」

 告解するように語った。

「我が父は謀に頼り過ぎた。私の簒奪は稚拙に過ぎた。今や協商圏や周辺国は一国として我らを信用も信頼もせぬ。彼らは我が国を骨の髄まで食らい、毛の一本までも毟り取り、打ち捨てる気だ。彼らはもはや我が国を征服する気すらない」


「なんと……そのような……」

 根っからの軍人で経済学に明るくないコルベールは俄かに信じがたい話だったが、内政官達が顔を土気色にしている辺り、事実なのだろうと理解する。


「彼らの恐ろしさはその武のみに非ず。その巨大な経済力と心無き貪欲さこそ、彼らの最も恐ろしいところなのだ。

 我が国のような小国が彼らによって国家経済を蹂躙されたなら、西方最貧国に落ちぶれることになろう。希望無き貧困と貧窮の地獄が生じよう。

 そのような惨劇を防ぐためならば、ベルモンテを統べ、此度の事態を招いたエスロナ家が責を担い、務めを果たすべきなのだ」


 その諦観と達観に満ちたピエトロの顔を前に、コルベールは臣下として己の不甲斐無さに拳を強く握り込む。

「……小官をこの場に呼び出し、何をお求めなのでしょうか」


「コルベール提督。卿は確かに大敗し、多くの非難を浴びている。しかし、卿が戦ったクレテア海軍のドルーノン提督やベルネシア海軍のエヴァーツェン提督は、卿の奮闘を称賛しているのだ。よって、協商圏への使者となって貰いたい」


「それは……」コルベールは困惑する。外交は門外だ。そもそも外務筋の役割だろう。

「残念ながら、我らではもはや彼らの信用を得られない。交渉以前の問題なのだ」

“新任”の外務大臣が項垂れ気味に言った。いや、外務大臣のみならず誰もが項垂れている。


「コルベール提督。我が願いを叶え、ベルモンテを救うために力を貸してほしい」

 どこか透きとおった笑みを湛えるピエトロに、コルベールは無言で涙を流しながら一礼した。


         ○


 ジャコモ・“ドン”・ガットゥーゾはフローレンティア公国人で、その出自は辛苦に満ちている。


 母は海賊海岸の賊徒に凌辱されて身ごもり、穢れた出自の我が子を愛さなかった。それどころか、憎悪と怨恨を込めた虐待を繰り返した。


 その出自ゆえに異教徒の私生児と見做され、聖王教会伝統派の司祭はガットゥーゾに洗礼を許さなかった。洗礼を与えられない――そのことが聖王教会の教えを規範とする社会でどれほど苦しい生を強いられるか、現代日本人には想像も及ばない。


 成長した彼が私掠船の水夫になったのは、生まれ育った社会や祖国に居場所がなかったからだ。自然の猛威とモンスターの脅威を満ちた海にしか、彼の居場所が無かった。


 それでも、ガットゥーゾは自身を愛さなかった母を愛し、自身を認めなかった教会を敬い、自身を冷遇し続けた祖国に忠を尽くした。


 やがて、自ら私掠船を駆り、海賊海岸や大陸南方奴隷商の船を襲い、大勢の囚われた聖王教徒を救い出した。むろん、拿捕した船やその財物で私財を肥やしたが、私掠船の正当な利益といえよう。

 また、ガットゥーゾは異教徒や賊徒であろうと、投降者は決して粗略に扱わなかった。捕虜を虐げず、女子供に優しかった。


“ドン”の敬称は誰かに与えられたものではない。彼自身が掴み取った誉れだ。

 ガットゥーゾは紛れもなく英傑である。


 しかし、未だに彼を見る者達の目には侮りや蔑みがあった。

 異教徒の私生児。祝福無き非洗礼者。下賤な海賊。紳士気取りの卑しい成り上がり者。

牛頭鬼猿(タウロンスロープ)”の二つ名は猛々しき海賊としての勇名であり、同時に『混じり者』という蔑称なのだ。


 ガットゥーゾは母を、教会を、祖国を愛し、尊び、忠を尽くしてきた。これまでも、これからも。

 その愛慕と崇敬と忠誠が決して報われなくとも。


        ○


 フローレンティア公国は発狂寸前だった。あるいは、卒倒寸前だった。


 北部戦線はランドルディア王国内にまで押し込まれており、フローレンティア―タウリグニア国境(アルノン川)にタウリグニア軍が戦力を集め始めている。ベルモンテが寝返り、攻め込む口実が出来たのに、そちらへ回す戦力がない。

 海軍は壊滅し、いつ沿岸にクレテア・ベルネシア共同艦隊が襲ってくるか分からない。

 トドメに金が無い。国庫は既に空っ欠。


 物理的にも経済的にも亡国の秒読みが始まっていた。


 ここで少し、フローレンティアという国について説明しておこう。

 いわゆる教会の腐敗が絶頂を極めた近世。時の法王が我が子に法王国の領土を分け与え、起こされた国。それがフローレンティア公国だった。


 金融や銀行業を隆盛させた教会の特権や特別優遇も、時の法王が自身の一族に利権誘導して与えたものだった。そうしてフローレンティアは教会や貴族の隠し財産を預かったり、裏金をこさえたり、エスパーナ帝国の債権を大量に保有したりして、金満国家へ至った。

 地中海経済の急激な変化とエスパーナ大乱により、フローレンティアの経済が破綻するまでは。


 また、フローレンティアはベルモンテやモリア=フェデーラのような公王が指導力を発揮する国ではなかった。時の法王が崩御後、公王家は瞬く間に実権を奪われてお飾りと化した。

 現在、フローレンティア公国は事実上、貴族と教会高官の議会政府によって統治されている。


 亡国が現実のものとして迫る中、フローレンティア政府は瓦解しかけていた。

 議会は既に機能していない。


 議員の教会高官連中が半分以上も法王国へ逃げ出していた。残っている坊主共は国内に実質的荘園――領地持ち修道院や教会の長(領主)という立場から、逃げ出せないだけだ。


 貴族達は貴族達で生き残りに必死だ。どうやってこの亡国を生き延びるか、それしか考えていない。国? 知るかバカ。それより自分の一族と領地だ。


 では公王家はどうしているかといえば、彼らは宮城でのほほんと暮らしていた。たとえ戦争に敗れようとも、崇敬すべき聖人(御先祖である時の法王)の末裔たる自分達が害される訳がない。そう信仰していた。あるいはそう信じる以外になかった。公王家には何の実権も無いのだから。彼らは政府から丁重に扱われる御犬様や御猫様のようなものだった。


 というわけで、フローレンティアの行く末を決める御前会議においても、フローレンティア公王は居ない者として、会議が進められていた。


「国の南北は敵となり、西の海は敵のものとなった。このうえ、東の法王国が戦火に呑まれたなら我が国は八方塞がりになる」

 胃痛を堪えて嘆く議長に、顔に濃い隈を浮かべる軍務卿が慰めるように言った。

「ランドルディアの戦線はまだ持つだろう。タウリグニアもアルノン川を強行渡河はすまい。問題は海とベルモンテだ。海軍が壊滅した以上、海からの攻撃は防ぎようがない。そして、ベルモンテだが……北部戦線とアルノン川、沿岸防衛に兵力を食われ、ベルモンテへ回す頭数がない」


「やっとこさ奴らの正貨を奪う大義名分が得られたというのにっ!」と大蔵卿が机を叩く。


「ベルモンテと交渉しましょう」

 外務卿が生え際の後退が激しい頭を撫でながら述べる。

「仮にも連合の仲間だったのです。窓口を閉ざしはしないでしょうし、奴らも協商圏と外交が上手くいっていません。我らの“降伏”を手土産に出来ると臭わせれば、我々と協商圏の仲立ちのため奔走するはず」


「そうして時間を稼ぎ、どう動く?」と軍務卿。

「北部戦線から兵力を引き揚げましょう。今やベルモンテが敵に回ったのですから、我々が対峙すべきは国境を接するベルモンテであるべきだ。クレテア人はランドルディアに任せればいい」

 外務卿のエグい意見に、議長は胃の辺りを撫でた。

「文句を言ってくるだろうな。猛烈に」


「戦後に国が残っていればこそですよ、我らも彼らも」

「となると、ベルモンテを交渉の卓に着かせることが肝要ですな。奴らに我が国への侵攻を思い止まらせる一手が必要だ」


「ベルモンテには半壊状態の艦隊が残っております。それを叩くが宜しいかと」

 顔色の悪い教会高官が言った。

「丁度、我が国には使い勝手のいい狗がおりますでな」


         ○


「政府の奴ら、俺達に海戦へ参加を許さなかったくせ、今更、オヤジを死地に送り込む気だ」

 フローレンティア公国のとある酒場に、私掠船を駆るフローレンティア海賊達が勢揃いしていた。


“牛頭鬼猿”ガットゥーゾはいち私掠船乗りではない。自身の駆る“復讐の聖母号”に加え、三隻の私掠船を率いる、船団の頭領でもある。


 ガットゥーゾの部下達はその多くがガットゥーゾ同様に家族からも愛されず、教会から祝福を許されず、社会に居場所のなかった者達だ。それだけに自身を受け入れ、育ててくれたガットゥーゾを『オヤジ』と慕う。その在り方は犯罪結社的疑似家族といっても良い。


 だからこそ、部下達は気に入らない。

 フローレンティア公国海軍はエトナ海諸島沖海戦に参加を許さなかった。海賊如きの手は借りぬ、と。洗礼も受けていないゴロツキ共が祖国防衛の戦いに加わるなど烏滸がましい、とさえ言い放った。


 ここまで虚仮にされて、ここまで侮辱にされて、なんで今更、公国のために決死の戦いへ臨まねばならないのか。

 それも、エトナ海を制したクレテア・ベルネシア海軍相手ではなく、寝返ったベルモンテを攻めるために。


「こんなもん、従う道理なんざありゃあしませんぜっ!」「そうだよ、オヤジッ! いくらなんでもこれはねェ、これはねェよっ!」「もううんざりだ、こんな国捨てて逃げようっ!」

 船団の幹部達――“息子達”がガットゥーゾへ涙ながらに詰め寄る。彼らは悔しくて悔して仕方なかった。


 自分を敬愛するオヤジをここまで虚仮にする国や軍、教会に対して、悔しくてしかたない。

 出自。その一点のみでオヤジが積み重ねてきた努力や成果を何一つ評価しない国や教会。それをおかしいと考えもしない公国の社会や民。

 そんな奴らのために、なぜ俺達が、俺達のオヤジが命を懸けねばならないのだ。


“息子”達の真摯な敬慕と敬愛の言葉を聞きながら、ガットゥーゾは卓に置かれた一枚の上等な紙――公王勅令状を見つめ、静かに言った。

「陛下の勅命だ。御国のお召しだ。無下には、出来ん」


 息子の一人が叫ぶ。

「それだっておかしいだろうがっ! 公王がオヤジへ命令を下すってんなら、宮城に招いて叙爵するなり、叙任するなりして臣下に迎えてからだろうっ!? オヤジも俺達も公王の臣下じゃねえんだっ! それを木っ端役人に紙切れ一枚持たせて、ベルモンテを攻めろだぁ!? こんなバカな話があるかよっ! こんな無礼な話があるかよっ!!」


「どうしてだ、オヤジ。なんでここまでされて、奴らに従うんだっ!?」

 別の息子が涙を拭いながら問う。他の息子達もオヤジを見つめる。涙に濡れ、怒りで充血した眼を向けてくる。


 ガットゥーゾはワインを呷ってから、

「それはな、俺が怒ってるからだ。憎んでるからだ。恨んでるからだ」

 静かに、だが、はっきりと言った。


「俺を愛さなかったお袋を、俺を蔑み続けた教会を、俺を嘲笑い続けたこの国を、俺は心の底から憎んでる。恨んでる。俺の家族を貶めたこのちっぽけな土地の全てが、俺は許せない」

 唖然とする息子達へ、ガットゥーゾは心の内を語り続ける。

「だからこそ、だからこそ。俺はお袋を愛さなきゃあならない。教会を敬い、国に忠を尽くさなきゃあならない。そうしなければ、奴らは必ずこう言うからだ」


 憤怒に顔を染めながら、

「それみたことか、と。したり顔でな」

 吐き捨てる。己の心を焼き続ける炎熱を少しでも冷ますように。


「それだけは我慢できん。それだけは堪えられん。それだけは、絶対に許容できん。奴らに愛されなくても、蔑まれても、嘲笑われても、貶められても、俺は耐えられる。だがな、奴らに”納得されること”だけは、決して我慢できんのだ」


 それはガットゥーゾの矜持。誰からも愛されずに育った男の子の誇り。自分を取り巻く全てが敵だった中で生き抜いてきた漢の尊厳だった。


「俺は俺の尊厳と矜持と誇りを守るために、糞溜めに突っ込んで死なねばならん」

 ガットゥーゾは息子達へ優しい笑みを浮かべた。

「お前らを連れていく気はないぞ。これぁジジイの遠足だからな。お前らガキ共にゃあ早い。参加するのは、俺の兄弟達だけだ」


 なっ、と目を剥く“息子”達を余所に、

「おいおい、ジャコモ。俺達は強制参加か?」

 ガットゥーゾの同世代――老海賊達が嬉しそうに笑う。


「そうだ。退屈な陸でくたばるしかなかったお前らに、最高の死に場を用意してやる」

 諧謔を披露するガットゥーゾへ、兄弟達が大いに笑う。


「まったく気の利く兄貴分だぜ」「おいおい。俺ぁ幸せな老後を楽しんでるんだぜ?」「よぉ言うわ、博奕と酒で棺桶に片足を突っ込んでる癖によぉ」「そりゃオメエもだろ」

 ははは~


「心残りは生意気な竜狩りの小娘と決着を付けられなかったことだな」

 ガットゥーゾはにやりと口端を歪めた。

「まあ、女を殺すような真似は好かんから、丁度良かったか」


「そいつぁどうかな、兄弟。俺としちゃあ冥府へ行くなら、ベルモンテのクソ野郎共より別嬪さんに殺される方が良いぜ」「女なんぞに殺されたら名折れだろ」「竜狩りを成し遂げた女なら話は別だろう? 別嬪なら特に」「どうせなら撃たれるより腹上死の方が良いやな」「オメェの萎びたナニがまだ勃つのか?」「勃つかどうか見せてやるっ!!」「やめろ、汚ェもん出すなっ!!」

 ははは~


「お前らもしみったれた顔をするな。さあ、飲んで騒げ」

 ガットゥーゾは“息子達”に笑いかけ、グラスを高々と掲げ、甲板に立った時と同じ大声を張る。

「乾杯っ!!」

 酒場の全員が雄叫びのように吠えた。

『乾杯っ!!』


         ○


 カイとギイと生き残りの傭兵達が法王国の追跡の裏を掻き、ランドルディア王国からクレテア軍へ合流を目指すという大冒険を行っている頃。


 ベルモンテ公国はクレテアへ特使コルベールを送り出すべく、艦隊残存戦力を急ピッチで整備し、特使座乗艦と護衛艦の用意を進める。


 一方、フローレンティア公国はベルモンテの艦隊整備情報を掴み、『協商圏に与して我が国の沿岸攻撃を図っている』と認識。ガットゥーゾへ攻撃を早めるよう命令を出した。


 そして……

「ランドルディアに駐留中の派遣艦隊と合流しろ、ね」

 隻眼の美人船長アイリス・ヴァン・ローは連絡書を卓に放り、鼻息をつく。

「西地中海は制圧したんだろう? 今更、あたしらを呼び出してどうしようってんだい?」


「簡単な話ですよ、叔母様」

 副長の姪ティネッケ・ラ・グシオンが連絡書を拾い上げる。

「派遣艦隊はもそっと手柄が欲しいんです。だからチェレストラ海へ赴く前に叔母様から情報を得たいんです。それと、聖冠連合帝国へのつなぎもお願いする気ですね」


「なんであたしに」

「それは叔母様がクリスティーナ女大公閣下とコネを持ったからです。聖冠連合帝国屈指の要人とコネがあれば、当然利用されますよ」


「ああ……面倒臭ェ」

 アイリスは仏頂面を浮かべ、眉尻を掻きながらぼやいた。

「仕方ない。給与と報酬分の仕事をするか」

 こうして『空飛ぶ魔狼号』と竜狩りアイリスは西地中海へ向かう。



 かくて小さな嵐が吹く。

 小さな、だが、後の世に少なからず影響を与えた、小さな嵐が。

先頃、R18ルールに引っかかりました(二年振り二度目)。

ギイの描写でやり過ぎたらしい。

不快な思いをした方、ごめんなさい。



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― 新着の感想 ―
[良い点] ギイを引き連れての逃避行。娼婦を求めてギイが単独行動やりそうだな。 [気になる点] 偶然が重なってアイリスvsガットゥーゾがみられるか?ガットゥーゾってカスパーに似た所有るから嫌いなキャラ…
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