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転生令嬢ヴィルミーナの場合  作者: 白煙モクスケ
第3部:淑女時代

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263/336

19:6

お待たせ申した。

時計の針をアンジェロ事件前まで戻す。


「なんとかならないのですか」

 咎めるように問われたギイ・ド・マテルリッツは、まったく悪びれることなく投げやりに応じる。

「なんともならないなあ」


 自身が提案したアイデア(閑話23参照)はどう見ても、開戦までに間に合わない。近日中に実現することはムリムリカタツムリ(死語)。


「時間と労力と大金を費やして『やっぱだめでした』じゃ困ります」

 若い聖堂騎士がぎろりとギイを睨みつけた。

 日本のサブカル好きが見たら琴線を刺激されるだろう、実にお洒落な(アニメ的デザインな)ロングコートを着込み、腰に直剣を下げた若い聖堂騎士は遠慮なく続ける。


「本来、異端である貴方が教会の重要文書を閲覧できたのは、ひとえに敬虔な信徒達を大国の暴威から守るため。その善行を為さぬとあらば、話が変わってきます」

 結果を出さにゃただじゃ済まさんぞと脅す若い聖堂騎士。


 しかし、当のギイは恐れることも悪びれることもなく、秘書を務める高級娼婦が淹れた御茶を啜る。

「そんなこと言われても、出来ないもんは出来ないよ。聖典にあるだろう? 奇跡を欲するなかれ、だよ」


「軽々に聖典を持ち出さないでいただきたい」

 若い聖堂騎士が顔を真っ赤にする。この堕落した異端者め。


 ギイは鼻っ柱の強い子供をからかうようにへらへらと笑う。

「ともかくね、この研究は下手をすれば、年単位の時間と巨額の資金が必要になる代物だよ。どれだけ脅されても、仮に拷問されても、無理なものは無理。出来ないものは出来ない。それこそ神の奇跡が起きたって、実現できないね。それくらい難しい」


 聖堂騎士が何かを口にする前に、「だから」とギイは続けた。

「元々高密度の魔力蓄積体を用いて、収斂放出させてはどうかと思うんだ。これまでの大量破壊魔導兵器がただ魔力を放出していたけれど、この魔力を一点に集中収斂して放出するんだ。びゅわーっとね。相応の魔力を用いれば、一般的な魔導防壁くらいは貫ける、はずだ」


「はず、では困ります。だいたい、そのような方法など聞いたこともありませんっ!」

「そりゃ誰も実現できてないんだから、聞いたこともないだろうさ。何を言ってんだい、君は」

 はっはっは、とあっけらかんと笑うギイに、若い聖堂騎士は思わず佩刀に伸びた右手を、左手で抑え込む。切りたい……この異端者を切り捨てたい……っ!


「具体的には、どうなさるおつもりなのです?」

 秘書兼世話係兼愛人の高級娼婦が顔を真っ赤にした聖堂騎士を横目にしつつ、ギイへ問う。


「実のところ、難しい話じゃないんだよ。銃砲なんかはまさに薬室と砲身で無理やり魔力を方向付けし、弾を飛ばしているんだから。要はこの薬室や砲身を魔導術で実現しようって話さ。ま、とりあえずやってみようじゃないか……開戦までに間に合うかどうかは神のみぞ知る、てなもんだけど」

 ギイは他人事のように言い放った。


 聖堂騎士達や各国諜報機関の目が一層きつくなったが、ギイは変わらず仕事を進めながらも高級娼婦に抱き続けた。時には複数人をベッドに連れ込み、荒淫乱交に勤しむ。傍から見れば、まさしく色狂い。


 もっとも、当のギイは至極真面目だ。毎日毎日、娼婦達を抱きながら肉悦と快楽によって脳内物質の分泌を促進し、思考の速度を増やし、思考の密度を上げ、思考の深度を下げていく。


 傍から見れば仕事せずに肉欲へ溺れているようにしか見えず、お目付け役の若い聖堂騎士は同僚に『あいつを切る時は俺がやる。絶対に俺が切る』と息巻いていた。


 周囲の冷たい、あるいは殺気で激アツな目を余所に、ギイは淫行に耽り続け、考え続ける。


 無法図に放散される魔力エネルギーをいかに効率よく集中、収斂し、一点へ向け放出するか。

 銃砲のように薬室や重心で無理やり方向付けする仕組みでは駄目だ。そもそも銃砲の開発になってしまう。魔導ではない。


 魔導防壁を組み上げ、放散を抑え込み、一点へ偏向させてはどうだろう。いや、これは集中にも収斂にならない。膨らませた袋に穴をあけ、空気を吹き出させる行為と大差ない。

 もっとこう、レンズで日光を集中させ、収斂した熱量で紙を焦がすような……


 ――そうだ。

 何も無暗に新しい技術開発することなんて無い。魔導具のように魔力蓄積体から魔力を抽出すれば良い。そのうえで放出する。魔導灯が魔石の魔力を光へ転換するように、莫大な魔力を魔導術理で転換させながら収斂、集中放射させれば良いじゃないか。


 ギイはついに回答を見つけた。




 それからどうした?




 ギイはまず安物の魔晶を使って実験を繰り返す。大量の魔導術理をひたすら書き上げ、修正し、改良し、実験し、より具体化させ、より実用化に近づけていく。


 その間、時は流れて着々と戦争の足音が近づいていた。

 アンジェロ事件が起き、謀略戦が繰り広げられ、プチ・ルイズ号とブルステン・キュルケ号が沈み、いよいよ情勢が怪しくなっていく。


 そんな世情を無視し、ギイはひたすらに作業を進める。寝食の時間も惜しみ、女も抱かず、取り憑かれたように魔導術理を書き続け、実験を繰り返し続ける。

 まるで狂人。いや、まさに狂人の仕事ぶりだった。


 その果てに、ギイは作り出す。

 新型大量破壊魔導兵器の基礎理論モデルとそのための魔導術理を。


 漫画ではないから、ギイが作り出した基礎理論と魔導術理をすぐさま実用化し、新型大量破壊魔導兵器が一晩で開発されるようなことはない。

 ただし、無茶を押し通せる力が聖王教会伝統派の総本山法王庁にはあった。


 長年に渡って世界中の献金皿から掻き集めた金。長年に渡ってあちこちから分捕ったり強奪したりしてきた大量の文物や宝物。長年に渡って教会権威の許に秘匿独占してきた知識や技術。それに豊富な人材。

“彼ら”は金と資源と人を費やし、大急ぎで“現物”を開発していく。


 宣戦布告が交わされ、エリュトラ襲撃が行われ、タウリグニア国境線で戦争の火蓋が切られた。

 もはや猶予はない。


 そうした焦りがあったせいだろう。情報が流出する。

 未だ開発中の新型大量破壊魔導兵器とギイが開発を“終えた”基礎理論モデルと魔導術理の情報がごっちゃになったうえで--新型大量破壊魔導兵器の開発に成功した--という話が流れた。


 ベルネシアやクレテア、聖冠連合に届いた情報もそうした誤認が基になっている。

 そして、事はこの誤認を元に動いていた。

   

   ○


大陸共通暦1781年:夏

大陸西方メーヴラント:ベルネシア王国:王都オーステルガム

――――――――――

「流石にクレテア軍は強いな……」

 報告書に目を通し終え、国王カレル3世は眉間に皺を刻む。


 クラトンリーネ会戦で勝利した後、クレテア東部軍は国境線へ進攻。フローレンティア陸軍とヴィネト・ヴェクシア陸軍を一蹴。モリア=フェデーラ公国に至っては交戦前に撤退したほどだ。


 余勢を駆って逆侵攻――とはせず、クレテア東部軍は国境で補給と再編成。その間に法王国を通さず降伏勧告するらしい。多額の賠償金と『二度とクレテア様に逆らいません(意訳)』という宣言を要求し、これを断れば剣をもって意を通すという。


 コルヴォラント諸国に金が無いと知ったうえで、仲裁や講和仲介の斡旋を宣言していた法王国を無視。つまりは、和解の手を差し伸べたというポーズ作り。その先にある目的は……

「領土的野心が疼いたか?」とカレル3世が鼻を鳴らした。


「軍はクレテア東部軍の戦い振りを気にしています」

 宰相ペターゼン侯が言った。

「クレテア軍がクラトンリーネや国境線で行った戦術は我が軍の機動野戦ドクトリンのそれだったと。しかも、技量、練度は共に我が軍に劣らぬ水準だったそうで」


「こちらの手の内をかなり学ばれた、と見るべきか」

「先の戦役の敗北がよほど堪えたのでしょう。敵に学べ、は道理ですから」

 ペターゼンはそれ以上話題を広げず、報告を続けた。

「我が国の海軍が地中海に到着。トゥローヌ軍港で補給と休養を受けています。詳細は後程海軍から行われます」


「いよいよ地中海で海戦か……陸戦同様に海戦も上手くいくと思うか?」

「門外漢なのでなんとも。ただ、海軍の士気が高まっています」


 民間軍事会社『デ・ズワルト・アイギス』によるカーパキエ王国王都エリュトラ襲撃は、ベルネシア海軍に強い嫉妬を抱かせていた。傭兵如きに手柄を取られた、と感じているらしい。


「それに新鋭艦プリンツ・ステファンがどれほど使えるか、試したくて仕方ないようです」

 ベルネシア独立戦争で勇名を馳せ、悲劇的な最期を遂げた英雄王子の名を持つベルネシア海軍新鋭艦は、完全汽走砲艦だ。


 イストリアもクレテアも、ベルネシア海軍自身も完全汽走砲艦が実戦でどの程度使い物になるか知りたい。その結果次第で、今後の軍船建艦にも大きな影響が生じるから。

「張り切り過ぎて要らぬ損害を出してほしくないんだがなぁ……」とカレル3世は何とも言えない面持ちを湛える。


「最後に……陛下。情報統括局より報告があります」

 ペターゼンは苦々しい顔つきで言葉を選びながら、報告した。

「法王国にて強力な大量破壊魔導兵器が開発されたと。詳細は依然調査中なれど、間違いなく連合へ供与可能性大。留意されたし、とのことです。派遣艦隊には既に警告を出してあります」


「マテルリッツの放蕩息子が関わっていた件だな。本当に作っちゃったのか」

 あちゃーと言いたげな顔のカレル3世。


「これ以上は放置できません。即刻連れ戻すか……“対処”しなければ。それに、大量破壊魔導兵器の処分も」

「特殊猟兵で対応可能か?」

 政府の非公式で非公然で非合法な秘密作戦こそ特殊猟兵の務め。カレル3世がカードとして選ぶことは正しい。が、そのカードが使えるかどうかは別問題。


「派遣そのものは可能です。ただし、我が国の武力工作が露見すれば、強硬派がここぞとばかりに煽るでしょうから、政治問題だけでなく宗教問題にも発展する可能性が高いです」

 ペターゼンは難問に挑む学者みたいな顔つきになった。

「単純に……マテルリッツの放蕩息子を暗殺する、という“だけ”ならそれほどリスクはありません。が、ベルネシアの魔導術士が開発した大量破壊兵器、その現物が残ります」


「……奴らは本当に使うか?」と主君が問う。

 ペターゼンは口元に手を当てて少し考え込んでから、自身の見解を開陳。

「熱烈な愛郷主義者のコルヴォラント人が故郷や自国を吹き飛ばしはしないでしょう。政治的にも連合が瓦解しかねませんから。使用するなら海戦になるかと。

 この場合、非常に面倒な外交問題が生じるかもしれません」


 カレル3世は幼い日の長男を思い出し、その傍らにいたマテルリッツ家の可愛らしい末息子を脳裏に描く。あの可愛い坊主がどうしてこうなった。

 父親の顔で深々と溜息を吐き、カレル3世は呻くように言った。

「エドワードを呼んでくれ。この件はあいつの覚悟を問う」


「……御意」とペターゼンも辛い顔で頷く。マテルリッツの末息子は自身の長男の親友でもあるのだから。

 2人の父親が苦い顔を浮かべる。そして、カレル3世はすっかりぬるくなったお茶を口に運んだ。


「しかし……法王国の連中はきちんと理解しているのか?」

 白磁のカップを置き、カレル3世は首を傾げる。

「義勇兵と資金援助ならまだ許容できるが、大量破壊魔導兵器の提供、その被害が甚大となれば、もはや中立宣言など誰も取り合わん。クレテアも聖冠連合も宣戦布告に踏み切るぞ。法王国の連中はそこまで理解しているのか?」


 ペターゼンは首肯したうえで、怜悧な宰相らしい鋭い目つきで応じた。

「一線を越えるなら、連合諸国同様に扱えばよいでしょう。むしろ、法王国がやらかしてくれた方が良いかもしれません。法王国はコルヴォラント最大の金満国家であり、コルヴォラント諸国の債権国ですから。多額の賠償金と権益が狙えます。クレテアや聖冠連合としても、都合が良いかもしれません。挙句、大量破壊魔導兵器の件で我が国に“貸し”が作れますので」


「やれやれ……」

 何もかも疎ましくなり、ベルネシア王は豪奢な椅子の背もたれに体を預けた。


      ○


「少なくともクレテア警察局対外工作部は暗殺者の派遣を検討しますし、聖冠連合帝国保安庁も積極的武力工作を準備しています」

 王太子近侍にしてベルネシアのOO7カイ・デア・ロイテールが言った。三十路を過ぎてチャラ男から伊達男にクラスアップした彼の顔は、どこか憂いに満ちている。


 それは報告を受けている王太子エドワードも同様だった。

「法王国相手に、か? 両国は政治問題を恐れていないと?」


「両国はエリュトラの轍を踏むくらいなら、という考えです。エリュトラの件で報復の大義名分がありますし、コルヴォラント側が第一次東メーヴラント戦争のカロルレンと同様、一線を超える可能性を否定できませんので」

 苦い顔で語るカイ。

「それにギイが帰国すれば、我が国も新型大量破壊魔導兵器の開発能力を持ちます。その意味でも、ギイを抹殺したいと考えているのかもしれません」


 言い換えるなら、とカイは言葉を続ける。金貨の隠し場所を見つけたような顔で。

「殿下。ギイの奪還と資料及び現物の奪取は“我が国の国益に適います”」


 エドワードも落とした給料袋を見つけたような顔色になった。

「ギイを救える、か」


「はい。ただ……先述べた奪還と奪取が困難と判断した場合、処分に切り替えられる可能性があります。むしろそちらを優先されるかもしれません」

 カイは厳しい現実も隠さずに伝えた。

 そう、ベルネシアとしてはギイを連れ帰るより始末してしまう方がずっと楽なのだ。


「ありえるな……」エドワードは眉間に皺を刻み「父上もその決断で俺を試す向きがありそうだ」

 友か、国か。エドワードは父に決断を求められるに違いない。


 傍から見れば……薬中でアル中で色狂いで、分別無く敵国で危険な兵器開発に従事するアホなんぞ見限っちまえ。となるだろう。

 しかし、友情や愛情は損得勘定や合理性に基づかない。愚かな家族や恋人、友人のために地獄道へ足を運ぶ例などいくらでもある。


 エドワードにとってギイ・ド・マテルリッツは幼い頃からの“友人”なのだ。貴族制身分階級社会で王子として生を受けたエドワードにとり、友と呼べる者は本当に限られた。

 その友を殺す決断を前に、エドワードは強く苦悩する。

 王としては二流かもしれない。その優しさや仁愛は愚かさと同質かもしれない。


 だからこそ、とカイは思う。だからこそ忠誠を捧げる価値がある。拳を握りしめ、告げた。

「エドワード。あのバカを救うチャンスをくれませんか」


「……どうする気だ」

 訝るエドワードへ、カイは言った。

「俺が動きます。前にも言った通り伝手はあります……やらせてください」


「分かってるのか? お前も命を落としかねないんだぞ。俺に親友を二人も失うリスクを冒せと?」

「いいえ。”俺達”でバカな親友を助ける挑戦をしよう、と提案しています」


「……」エドワードは少し考え込み「ヴィーナとマルクを呼び出してある。2人を交えて協議して決めよう。場合によっては……危険へ挑んでもらうぞ」

「お任せください、殿下」

 カイは騎士のように深々と一礼した。


       ○


「ナプレ王国海軍は領海防衛と艦隊保全に注力しています。カーパキエ王国海軍の残余が一度襲撃を仕掛けてきましたが、つつがなく撃退しています。チェレストラ海は聖冠連合海軍がヴィネト・ヴェクシアとモリア=フェデーラを牽制しており、今のところ被害は出ておりません」

 

 白獅子財閥の王都社屋会議室。定期ミーティング。

 エステルがやや眉尻を下げて言葉を続ける。

「問題はエトナ海です。今のところは被害が出ておりませんが、エトナ諸島独立政府群の私掠船による妨害が繰り返されております。船舶や積荷に損害は出ていないものの、人員の心身疲弊が問題になっています」


「エトナ海諸島はクレテア海軍が担当でしょう。彼らは何をしてるの?」

 眉間に皺を寄せるヴィルミーナ。


「アストリードからの連絡によれば、小型砲艦の小規模戦隊による牽制と偵察に終始しています。曰く、まだ戦機が整っていないとか。本音はベルネシア海軍の出撃待ちです。大方、新鋭艦がどれだけやれるか知りたいのでしょう」

 パウラがヴィルミーナを宥めるように語り掛ける。

「プリンツ・ステファンの実戦性能は私達としても知りたいところです。建艦に深く関わっているのですから」


「まあ……そうね」ヴィルミーナは唇を尖らせつつも「実際、どの程度戦えると思う?」

「“正しく”運用される限り、従来の戦列艦なんぞ相手ではありません。が、アルトゥール殿下が座乗されていらっしゃいますし、無茶はしないでしょう」


 第二王子アルトゥールは武官として新鋭艦プリンツ・ステファンに乗船していた。

 世代的にベルネシア戦役へ参加できなかったアルトゥールは、ずっと戦場(冒険)へ赴く機会を求めていた。

 アルトゥールと似た年頃のベルネシア人は皆、そうした気質がある。戦争に従軍できず、父兄が戦場で死傷した者達の子弟は特に。武勲を挙げた者だけでなくエドワード・メダルやグウェンドリン・メダル――純粋に国家貢献を称える褒章を得た者達の子弟も、父母兄姉を羨んでいた。


「なんであれ、両陣営の本格海戦が起きないことには話は進まない、か。主導権を握られているようで気に入らないけれど、仕方ないわね」

 腕組みして唸り、ヴィルミーナは会議室内の全員を見回した。

「他に議題はある? 私は午後、外回りに出るから連絡事項があれば、この場で済ませてね」


「あれ? そんな予定入ってましたっけ?」ニーナがいそいそと手帳を取り出す。

「今朝方、屋敷の方に王太子殿下から参内の命が届いたの」ヴィルミーナは気だるげに「用向きは『我らの古馴染みについて』だそうよ」


『あー……』

 側近衆の全員が察した。

11/16)一部表現の削除と修正。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ドランもギィもいい感じで使い方があるように進んでくれてますね。 横からは完全に破綻しているように見えてその実裏切らない元身内なんて謀略の釣り餌にピッタリですよ。外部勢力は「枷を壊さないか…
[気になる点] ギィを無事に連れて帰れるかミッション! そもそも素直についてきてくるかなぁ…(´・ω・`)
[良い点] ギィがアレスタークロウリーを連想させる。(もっともこの世界では魔術は[有り]なのですが)監視役の騎士さんの胃に穴が空く前に事態が動くかな?  大量破壊兵器をイラクが開発した←アメリカは噂…
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