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大陸共通暦1768年:ベルネシア王国暦251年:冬。
大陸西方メーヴラント:ベルネシア王国:王都オーステルガム。
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ヴィルミーナが王妹大公屋敷で母と過ごしているところへ、海竜大通りの件の報告が届く。次いで、アリシアとマリサが憲兵に拘束された旨を聞かされ、思わず眉間を押さえた。
「メリーナ。馬車を用意して。憲兵総監部へ行くわ」
こうして、ヴィルミーナは夜中に馬車を走らせて憲兵総監部に出向く。王立憲兵隊のお偉いさんから散々嫌味を言われつつ、事情聴取を終えたアリシアとマリサを引き取った。
「危ない真似はするなと言ったはずよね?」
ヴィルミーナの冬の北洋より冷たい眼差しに晒された二人は、きゅっと首を竦める。
しかし、図太さに定評のあるアリシアはすぐに平常運転へ移行した。
アリシアは『てへぺろ☆』な面持ちと仕草で告げた。
「ヴィーナ様。まずご飯食べに行きません? なんだかんだで晩御飯食べ損なっちゃってお腹ペコペコなんです。小言はその後ってことで」
「おま、お前、勇者かよっ?!」
驚愕するマリサの傍らで、ヴィルミーナは数秒ほど瞑目した。
そして、憲兵総監部の正面玄関ホールで多くの憲兵達が見守る中、アリシアにコブラツイストを掛けた。
深夜営業の店がないわけでもないが、未婚の貴顕令嬢が出向くような深夜営業店は存在しない。というわけで、ヴィルミーナは2人を王妹大公屋敷に連れ帰る。むろん、二人の実家に人をやって無事を伝えることも忘れない。
で、簡単な食事をしつつ、ヴィルミーナはアリシアとマリサから海竜大通りの顛末を聞く。
「シモンの泥傀儡?」
ヴィルミーナが聞き慣れない単語に片眉を上げると、同席していたメリーナが「まぁ」と感嘆をこぼした。
「また懐かしいものを聞きました」
メリーナは説明を求めるヴィルミーナの視線に応じ、ざっくりと『シモンの泥傀儡』について語った。魔導学院を卒業した正規魔導術士でもあるから、この方面に詳しい。
中世期コルヴォラントで活躍した魔導術士シモンは、水を自在に扱う魔導術に長けており、大気中の水分で魚や鳥や蝶を作り出し、室内を自在に舞い踊らせることが出来たという(これは現在でも魔導大道芸として目にすることができる)。
その彼が好んで扱った魔導戦技が『泥傀儡』と呼ばれるもので、自ら配合した特殊な泥を人形のように操った。では『泥傀儡』が如何なるものかというと―――
「泥傀儡は液状粉粒体を操る技なんですよ。低速では液状で、高速あるいは圧を掛けると固体化する。ただの泥だとアレなんで、シモンは水に混ぜる粒体に特別なものを使っていたとか」
ダイラタント流体を操るのか。ヴィルミーナは顎先を撫でながら理解し、メリーナに問う。
「その特別なものって何?」
「詳しくは知りませんけれど、操り易いよう粉粒体は粘性液体で作り、魔晶粉末を加えていたらしいです。ま、欠陥の多いマイナー戦技ですよ」
はん、とメリーナは鼻で笑い、
「要は水分を含んだ泥ですから、封じるのが簡単なんです。ちょっとカチコチに凍らせるか、水分を飛ばして乾かしちゃえば良いだけです。初見の不意打ちくらいにしか通じません」
「やけに慣れた言い草だけど、遣い手と戦ったことが?」
「学院生の頃に戦技大会で。小賢しい真似してきたんで軽く捻ってやりましたよ」
くすくすとサディスティックに微笑む。
どうやらその魔導戦技大会とやらで相手を相当可愛がったらしい。
「ヴィーナ様、ひょっとしてメリーナさんって怖いんですか?」
「頼りになるわ」
小声で尋ねてきたマリサに、ヴィルミーナは迂遠な表現で応じつつ、問い返す。
「メリーナはマイナーと言ったけれど、マリサはなぜ知っていたの?」
「予備士官課程のレポートで調べ物した時に知りました。現物を目にしたのは初めてです」
マリサはしれっと応じ、
「泥傀儡のサンプルも手に入れましたよ」
不敵に笑って左足の義足を外し、接合部の隙間に突っ込まれていた小さな包みを取り出してテーブルの上に置く。
開かれた包みの中には、黒い泥状の物質が収まっていた。
「水気が無くなっちゃったのかな? 通りで見た時はもっとヌメッとしてたのに」
小首を傾げるアリシア。
ヴィルミーナは泥状物質をしげしげと見つめ、恐る恐る突く。確かにネバっとしている。強く押すと表面が固くなった。うん。ダイラタント流体やな。
「社の研究者や技師に調べて貰いましょ。何か分かるかもしれない」
「良いんですか?」
「犯人捜しのためじゃないわよ。連続殺人鬼が扱うような技術に興味があるだけ」
マリサへ首肯を返し、ヴィルミーナはお茶を口へ運ぶ。熱くて美味しい。
「それで、調査自体は何か掴めた?」
「事件数日前から当日までのカルナちゃんの足取りを辿ってみました」
アリシアはバッグからメモ帳を取り出して読み上げていく。
「詳しく聞いて回ったら、教会近くとかで一頭立ての宅配馬車がしばしば目撃されていました。多分、今日の海竜大通りで犯人が使っていたものだったんです」
「その宅配業者については?」
「まだ調べてません。これからですね」とマリサがヴィルミーナへ答えた。
「宅配業者が目撃された場所を改めて調べれば、何か新たな発見があるかもね」
こんな調子でひとしきり話し合った後、ヴィルミーナは椅子の背もたれに体を預け、大きく息を吐いた。
「今夜はこの辺にしておきましょうか。部屋を用意させるから二人もゆっくり休みなさい」
「えー? せっかく皆でお泊りするんだから、パジャマパーティしましょーよー」
「あんだけ走って魔力ブッパして憲兵に絞られたのに……お前、元気だなあ」
ぶー垂れるアリシアへ呆れ顔を向けるマリサ。
「パジャマパーティは次の機会にしましょ。明日は騒動の後始末で今日以上に大騒ぎだろうからね」
ヴィルミーナは微苦笑と共に告げた。
もっとも、ヴィルミーナの予測は甘かったと言えよう。明朝、教会前に無残な死体が晒されたことで、悪魔崇拝事件はより大きな問題に発展したのだ。
〇
「憲兵隊はスラムを封鎖したのではなかったのかね?」
宰相ペターゼン侯は王国府へ憲兵隊長官を呼び出し、新聞を突く。一面には昨日の海竜通り大追跡と、今朝に発見された無残な死体が大々的に記されていた。
「は、閣下。港湾部スラムは確かに封鎖しました。しかし、緊急展開だったこと、また展開時が夜間だったことを考えますと、封鎖に穴があった可能性も否定できません」
初老の憲兵隊長官はハンカチで汗を拭いながら答えた。宰相執務室の暖房は控えめなものだったが、憲兵隊長官は緊張からか滝のような大汗を掻いている。
年齢で言えば、憲兵隊長官の方が上ながら、立場と爵位は宰相ペターゼンの方がずっと上で、そのペターゼンはこめかみをひくひくさせていた。そりゃ憲兵隊長官だって冷や汗を掻く。
「では、スラムの封鎖は無意味ということか?」
「は、閣下。いいえ。犯人の根城自体は依然スラム内にあると思われます」
「憲兵隊の封鎖を受けて逃亡した可能性はないのかね?」
「それはないかと」憲兵隊長官は汗を拭いながら「犯人は傲慢で我々を侮っております。また、今回の犯行の特性上、拠点を捨てて逃げることはないかと」
「ふむ……」
ペターゼン侯はお茶を口に運び、憲兵隊長官へ告げた。
「陛下は此度の一件を大変に御憂慮されておられる。無残な凶悪事件が続き、先の戦でも戦火を免れたオーステルガムで市街戦紛いの騒動が生じたことにな」
「!? 面目次第もありませんっ!」
憲兵隊長官の顔からさっと血の気が引く。王制国家で王の不快を買うことは自身のキャリアだけでなく、御家の将来まで危うくなる。
「しかし、“今はまだ”卿と憲兵隊に信頼を寄せていらっしゃる」
憲兵隊長官はペターゼン侯の真意を誤らない。
それと、とペターゼン侯は続けた。
「軍から人員を貸与させるから、卿らの“計画”に自由に使って構わないそうだ」
外部の人間を使えと言われても困るのだが、国王の“善意”を謝絶することも難しい。
憲兵隊長官は深々と一礼した。
「は、ははっ! 陛下の御信頼と御期待に必ずやお応えしますっ!!!!」
ローラー作戦が憲兵隊のメンツを賭した大作戦になった瞬間だった。
〇
「市街戦の実地訓練ですか?」
「物騒なこと言うな。スラムに対する一斉捜索作戦だ」
渋面を浮かべる大尉は室内に集められた人員を見回す。集められたのは特殊猟兵出身者だけだ。
将校10名(レーヴレヒトを含めた出世組が4人加わった)と下士官兵約1個小隊。彼らは本国軍で新編された第6機動打撃戦闘団の強行偵察隊、その根幹をなす人員でもある。特にレーヴレヒトを含めた16名から成る選抜隊は強行偵察隊の最精鋭だった。
「憲兵隊が計画中のローラー作戦において、軍は後方支援。スラム封鎖線と上空支援を担当する。指揮統制に海軍のレブルディⅢ型も動員される」
大尉は淡々と説明を続けた。
「もう想像がついてるかもしれんが、我々にはスラム封鎖以外の仕事がある」
「出たよ。特殊猟兵から転属したのに、また無茶振り仕事だ」と伍長がぼやく。
大尉は兵士達の不満顔を気にすることなく、黒板に似顔絵を貼り付けていった。全部で5人だ。全員男で年齢は30代ほどから50代まで。
「スラムを縄張りに姑息な違法商売をしているクズ共だが、本当の姿はカロルレンの潜入工作員だ」
「カロルレン、ですか?」と若い軍曹が片眉を上げ「これまでカロルレンと揉めたことは無かったと思いますけど」
「王国府が掴んだネタによれば、我が国が先の戦争に勝って以来、カロルレンは我が国やアルグシアへ活発に人を忍ばせている。あそこは昔から秘密主義で何を考えているのかさっぱり分からんから、この機会に工作員を攫ってあれこれと聞き出したいそうだ」
大尉の説明に下士官兵達が不満顔を一層強め、口々にぼやく。
「で、手を汚すのは俺達かよ」「いつも他人のクソ掃除だ」「転属してもかわんねーなー」
ぶつぶつと下士官兵達が文句を垂れるが、これもいつものことなので大尉は気にしない。不平不満をこぼしながらきっちりと完璧に仕事をこなす。それが特殊猟兵だ。
「もう逃げてるのでは? 工作員ならローラー作戦の舞台にいつまでも留まるほど馬鹿でもないでしょ」
少尉の質問に大尉は小さく肩を竦めた。
「少なくとも、表口から逃亡は確認されていない。ま、やるだけやってみよう、という話だ。生け捕りが基本だが、抵抗するなら始末しても構わん」
「殺しちまって良いんですか?」と兵士。
「相手の肩書はスラムの犯罪者だ。逮捕に抵抗して射殺されるなんて珍しくもない。ネズミを送り込むなら真っ当な出入り口からにしろ、というメッセージにもなる。最悪連中の持っている資料だけでも回収できれば充分だ」
この辺りの割り切りが命の価格が安い時代の怖さだろう。
レーヴレヒトは顎先を撫でながら大尉へ問うた。
「我々が例の連続殺人鬼に出くわしたら、どうします? 可能性としては低いですが、ありえます」
「その時は仕方ない。王国の治安と秩序に貢献しよう」
大尉は皮肉をたっぷり込めて言った。
「正義の味方みたいにな」
全員が笑った。どこか自虐的に。
〇
チープな音色と共に、ステージ上で美しい女達が淫靡な踊りをしながら薄絹を脱いでいく。あるいは、最初から裸同然の格好で現れて挑発的に舞う。ステージ周りに詰めている男達は今にも涎を垂らしそうな顔で女達を凝視していた。
「こういう店の存在は知っていたが、僕が訪れることはないと思っていたよ」
お堅いマルク・デア・ペターゼンは呆れ気味に嘆息を吐く。
「そして、来るべきではなかったと確信できた。退廃的すぎる。あまりにふしだらだ」
「俺はここにいることが嫁の耳に入った時を思うと恐ろしい」
熱血系イケメンのユルゲン・ヴァン・ノーヴェンダイクがげんなり顔でぼやく。
リザンヌ嬢と正式に結婚して以来、ユルゲンは親友達との距離は開き気味だった。毎夜子作りに搾られ、休日は茶会や夜会に連れ出される(リザンヌ嬢はユルゲンをトロフィー・ワイフの如く方々へ連れ回し、自身の勝ち組振りを“アッピル”していた)。その都合上、彼は仲間内でギイの件を知ったのは最後だった。
「こういう店にも良いところはある。なんせ客が周りに一切の興味を持たねェ」
2人をストリップ小屋へ連れ込んだカイ・デア・ロイテールは、麦酒が注がれた陶製ジョッキを呷る。
マルクが仰々しく鼻息をつき、ステージに目を向けた。釣られてユルゲンも眼を向けた。
美しいダンサーが露出した大きな乳房を揺らしながら踊っている。ユルゲンは思う。嫁の方がデカいな……
「それで、ギイの件なんだがな」
カイが本題を切り出し、マルクとユルゲンはステージから意識を引き戻す。
そして―――
「ギイの奴は本当にスラムに居るのかっ!?」
ユルゲンは親友ギイの現況を聞かされて驚愕した。
あまりにあんまりな内容にユルゲンが驚愕して大きな吃驚を上げた。
それでも、周りは誰一人としてユルゲンに興味を示さない。それほどにダンサーの裸体が素晴らしいのか、それほどに男が馬鹿なのか。
「ここ数日の内偵で間違いねェ。問題はギイの居る辺りがちょうど憲兵隊の一斉捜索対象地域ってことだ。放っておいたら逮捕されちまう」
カイが告げると、ユルゲンの精悍な顔が曇る。
「連続殺人事件の容疑者として、か」
「実際にギイが犯人かどうかは分からねェ。だが、条件が合うんだ。ヤクでラリッてて、スラムでポン引きやってて、魔導術の手練れ。ぶっちゃけギイが犯人でも驚かねェよ」
「か~……マジかよ」ユルゲンは頭を掻き「それで、どう動く?」
「殿下はギイの確保をお望みだが、こうなると無理だ。容疑が晴れない状況でギイを確保したら、殿下が殺人犯を匿ったような印象を与えかねねェ」
カイが淡々と告げる。
「だな。それが一番不味い」とマルクも頷く「殿下の御立場をお守りすることが最優先だ」
「じゃあ、ギイを見殺しにするのか? 親友だぞ!」ユルゲンは承服できぬと吠えた。
「声がでかい。いくら回りが注意を向けないにしろ、加減しろ」
カイは疎ましげにユルゲンを見据え、ビールを呷る。
「ただ、ギイが犯人じゃない可能性もある」
「というと?」
「馬車だ」カイはユルゲンへ答え「犯人は馬車を持っていたが、ギイは馬車を持ってねェ」
「そんなもの、いくらでも調達できる」とマルクが突き放すように指摘した。
「普通ならな。だが、ギイが居るのはスラムだぞ。馬車なんかそうそう調達できねーよ」
「……じゃあ、ギイは犯人じゃないのか?」と表情を明るくするユルゲン。
「そう断定するには弱い。馬車以外は全部当てはまるからな」
ともかく、とカイは続けた。
「俺達はギイが犯人じゃない前提で動こう。ギイは多分、一斉捜索でとっ捕まる。その時に確保する。2人にもその協力をして欲しい」
「分かった」「了解だ」
マルクとユルゲンが渋面ながら即座に了承した。
「助かるよ」
カイはホッと安堵の息を吐き、にやりと思わせぶりに微笑んだ。
「少々銭を出せばダンサーと”遊べる”が……遊んでいくか?」
「遠慮する」と手を横に振るマルク。
「そんな恐ろしいことが出来るかっ!! お前、なんだ!? 俺を殺す気かっ!?」
唐突にブチギレるユルゲン。
顔を見合わせるマルクとカイ。
それから、2人はゲラゲラと笑った。ユルゲンも笑いに加わる。幼馴染で親友の彼らは昔と変わらぬ笑顔を浮かべた。
ただ、そこにギイがいない。
〇
憲兵隊の計画したスラムの一斉捜索作戦は三日後に実施される。
もっとも、下準備は既に始まっていた。スラムの封鎖線は軍の協力を得て、厚く強固なものに変わっている。スラムに通じる主要道路は全て封鎖され、裏道も塞がれていた。
スラムの住人は街区外へ出られない。
一部のはねっ返りが検問の警備に食って掛かったが、筒形マフラーで目元まで隠した陸軍の兵士達は憲兵ほど優しくなかった。憲兵なら警棒で小突くだけだが、陸軍の兵士は容赦なく銃床でぶん殴る。顎を割られたり、肋骨をへし折られたりする事例が各所で生じた。
これはまだマシだ。少なくとも、家へ逃げ帰ることができる。
この時期、
間違っても憲兵に捕まるわけにはいかないワケアリ連中が、ローラー作戦開始までに何とかスラムを離れようと、”抜け道”――下水道や水路を使って海やスラム外への脱出を試みていた。
が、そういう場所にこそ本当に怖い者達が展開し、手ぐすねを引いて待ち構えていた。つまるところ、封鎖線や検問は勢子役。本命の狩人は別にいたのだ。
また、こういう“抜け道”は世間一般の目が届かないわけで、そんな場所でとっ捕まれば、当然世間一般に知られぬまま連れ去られ、家には帰れない。決して。
軍と憲兵隊は“抜け道”で拘束した者達を針金で両手を縛り、目隠しし、港湾部の一般立ち入り禁止区域――海軍施設の倉庫へ連行した(もちろん、連れ去られた者達はそこが海軍施設とは分からない)。
創作物の主人公なら敵に捕まっても殴る蹴るを受けるだけで済むが、実際に拷問する側はそこまで優しくない(だいたい殴る蹴るは非効率的すぎる)。現代地球で“流行り”の水責めにしても、怪我をさせて後々面倒事にならないように、という苦肉の策だ。
人権意識の薄いこの時代、そんな配慮は存在しない。
初級コースは足の裏に焼いたレンガを押し当てられたり、ニードルで脛骨や尺骨を削られたり。初級でコレだ。中級以上は――。対象が家族連れなら、家族を嬲り殺しにすると脅し、本当に実行した例も生じた。本気になった権力はかくも恐ろしい。
言っておくと、これは犯罪捜査ではなく、治安維持の公安警備活動だ。キネ憲兵大尉が指摘したように、憲兵隊も軍も王国府もこのローラー作戦を最大限に利用している。
ローラー作戦の開始は三日後。
まだ始まってもいない。




