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遅れて申し訳ない。どうも構成に迷って筆が進まず……
大陸共通暦1768年:大陸西方メーヴラント:初夏
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新王アンリ16世は幼妻と愛人と乳繰り合うことしか考えてない好色な小デブに見えるが、その中身は決して鈍くなかった。
「ベルネシア人が我が国を食い散らかしたいというなら、食わせてやろう」
定例会議にて、アンリ16世が開陳した見解に、重臣一同が絶句した。宰相の椅子に残留したマリューの髪がハラハラと散る。
が、アンリ16世は重臣達を気にした様子も見せず、
「父は緊縮財政と増税で国家経済を回復させようとしたが、結局は一度の戦で国庫が空になる程度にしか国庫を満たせなかった。我が国が抱える巨額の負債の前で、緊縮財政や増税などの努力は有効ではない」
小太鼓な腹を掻きつつ、
「市場開放したということは、我々もまたベルネシア市場に打って出ることが出来る。現状、我々はベルネシア市場へ攻める手がほとんどないが、それは追々作り出せばいい」
「し、しかしそれでは国内産業が衰退してしまいますぞっ!?」
「元より競争力のない産業では太刀打ちできん。が、そうだな。ベルネシア人が我が国で事業を行う際は、我が国の民を率先して雇用することを条件としよう。その代わりにベルネシアの進出企業に一定の税制優遇措置を認める。民は金を払う人間が同胞かベルネシア人か気にすまいよ」
淡々と語る。
「それに、だ。ベルネシアの商会や会社が相当数進出すれば、ベルネシアからの投資は簡単に引き上げられんし、迂闊に我が国と事を荒立てられまい。いつ破られるか分からん不可侵条約や講和なんぞより、損得勘定で縛る方が確実だ」
でたらめに聞こえたアンリ16世の提案が、一瞬で深慮な謀略に化けた。重臣達は年若い王の卓見に息を呑む。
「とはいえ、ただ無策にベルネシアの金と人を受け入れては、この国は農業以外取り柄のない様になってしまうだろう。そうならんための条件と策を考えろ。そのうえで、奴らから金を引っ張ってこい」
そう告げてアンリ16世は腰を上げた。どうやら退室するつもりらしい。
マリューが慌てて呼び止めた。
「へ、陛下。お待ちください。まだ会議は――」
「大方針は今言った通りだ。細かいところを考慮し、差配するのはお前達の仕事だろう。余はヨハンナの見舞いに行く。あとは任せたぞ」
こうして、アンリ16世は会議室を後にした。
昨年よりもさらに髪の少なくなった頭を抱え、マリューが唸る。
「まさか陛下がこれほどまでに怜悧な方だったとは……立太子前の頃は想像も出来んかった」
「ベルネシア人に祖国を食い荒らされることに忸怩たる思いがあるが……陛下の言う通り、たとえ相手がベルネシアだろうと、金を引っ張ってきて市井へ流さねば、今年も餓死と凍死が山ほど出る。昨年は何とか耐えたが、今年は間違いなく暴動が起きるぞ」
重臣の一人が慨嘆をこぼし、
「民草なぞ銃剣を向ければ、黙るさ」
強気でうそぶく軍高官へ、マリューは毛虫を見るような眼を向けた。
「ベルネシアに負けたくせに、と民に罵られて冷静さを保てるならやってみろ。一発でも撃てば、大反乱だ。周辺国が喜んで介入するだろうよ。乱の鎮圧が終わった頃にどれだけ国土が減っているか見ものだ」
「何だと、このハゲッ!」
「まあまあ」
アンリ16世の肝入りで重臣入りしたカルボーン大蔵大臣が仲裁に入る。齢わずか35歳。髪がふさふさしていて、体中から活力が溢れていた。
ちなみに、前任大蔵大臣は経済破綻の延焼を食い止められず罷免された。
「しかし、陛下がマリー・ヨハンナ王妃をあれほど慈しむとは思いませんでしたよ。傍目にはおしどり夫婦です」
「確かにな。テレーズ殿下がお生まれになって以降は子煩悩でもあられるし」
幼妻マリー・ヨハンナ王妃は無事に第一子テレーズ王女を出産していた。
とはいえ、弱年齢の出産はそれなりのリスクが付きまとう。出産以降、マリー・ヨハンナは体調を崩しがちだった。まあ、生き死にに関わるようなことはないそうだが、子作りは当分できない。
愛のない政略結婚ではあるものの、アンリ16世は一日一度は必ずマリー・ヨハンナの許へ参じ、生まれたばかりの娘を手ずから抱き抱え、幼妻と共に時間を過ごす。その後、愛人のタイレル男爵夫人を抱く。マリー・ヨハンナの出産以来、ずっとこの生活パターンを続けている。
アンリ16世は全くブレない。
カルボーン大蔵大臣が場の雰囲気が変わったことを確認してから、話を続けた。
「話は変わりますが、そろそろベルネシア人捕虜を解放してはどうです? 連中を食わせる飯代もバカになりませんし、連中にやらせている仕事は民間に回して失業者対策に使いたいです」
重臣の一人が唸る。
「言い分は分かるが、戦犯対象者の返還交渉が全く進んどらんからなあ……不味いことに大貴族の子弟が何人か混じっている。無視すると面倒なことになってしまうぞ」
「大事な作戦の最中に、”遊んで”た馬鹿共なんぞ見捨てちまえ」
軍高官が憎々しげに吐き捨てる。
当初こそクレテア軍は自国捕虜が戦犯にされたことを憤慨していた。が、事実が明らかになるにつれ、クレテア軍内部からも戦犯対象者達に対し『クレテア軍の面汚し』と見做す向きが強くなっていた。
「その意見調整をするためにも、特使を送ってはどうでしょう」
カルボーン大蔵大臣は続けた。
「それに、今はイストリア王太子が訪問中です。上手くやれば、ベルネシアだけでなくイストリアからも金が引っ張れるかもしれません」
「ベルネシアだけでなくイストリアにまで頭を下げるのか……」と一部の重臣達が項垂れる。
「いえ、イストリアには純粋に商売を持ち掛けましょう」
カルボーン大蔵大臣の提案に、マリューが片眉を上げた。
「何か策があるのか?」
「これまで我が国は対イストリア工作として叛徒への協力と援助を計画していましたが、叛徒共を助けたところで一銭も入ってきません。仮に叛徒達の独立が成功しても、その礼に金や資源が届くまで何年も先でしょう。今、イストリアに貸しを作って金と物を儲ける方が良いですよ」
話を聞き終えたマリューはガリガリと頭を掻き、貴重な髪を床に散布した後、決断する。
「……ベルネシアに特使を送ろう。交渉先は王国府とイストリア王太子付きの外交官。それと、例のベルネシア王族の小娘だ。たしかヴィルミーナとか言ったか」
「王妹大公ユーフェリアの一人娘ですね。我が国に大仕手戦を仕掛けてきた黒幕だとか。彼女に接触してどうするんです? まさか巻き上げられた金を返せとでも言うので?」
カルボーン大蔵大臣がどこかからかうように言った。
マリューは禿頭まで真っ赤にしながら、どん、と会議卓を叩く。
「あの小娘の財閥がベルネシアで一番上り調子だからだっ! クソッタレめ」
さて、イストリア王太子夫妻御一行のベルネシア訪問に合わせ、アルグシアも特使を派遣していた。王太子記念・障碍者競技大会を観戦した特使一行はベルネシアの治世に薄ら恐ろしさを覚えつつも、宿でビールを傾けながら大いに盛り上がっていた。
「ああいう大会を我が国でも開きたいな。アルグシア諸邦の代表達で優勝を競う。絶対に盛り上がるぞ」
「競技を何にするかだな。やはり蹴球か?」
「蹴球は盛り上がりすぎないか? 下手すると、勝敗を巡って諸邦同士で戦争が起きるかもしれんぞ」
「たかが娯楽の勝ち負けで? そこまでのバカなんていないだろ」
ははは~
アルグシア連邦の特使一行はビールを呷り、わいわいがやがやと楽しむ。
そんな中、アルグシア連邦の外交官シュタードラー子爵と高官リュッヒ伯爵は、別室でビールではなく珈琲を嗜んでいた。
俳優サム・ワーシントン似の美中年シュタードラー子爵は珈琲を味わいながら呟く。
「良い豆を使ってますな。戦後不況に襲われていると聞いたが、物流自体は全く衰えを感じさせない」
「問題はその価格だよ。戦争前に比べて多少値上がりしている。嗜好品は一番増税の煽りを受け易いものだが、許容範囲に収まっている。流石は金満ベルネシアの底力だね」
リュッヒ伯爵は珈琲に氷糖の小粒を一つ加え、ゆっくりと掻き回しながら続ける。
「ヴィルミーナ嬢が行ったという例の大仕手戦。あれがクレテアではなく我々に行われていたと思うと、ゾッとするよ。あんなことされたら、連邦はたちまち分裂してしまう」
「そんな。流石に悲観的過ぎますよ」
「金は恐ろしいんだよ、シュタードラー卿。金はあらゆる暴力の原因になる。山賊群盗は言うに及ばず、遺産を巡って骨肉の争いを繰り広げる人間は貴賤を問わない。国家間の争いにしても、どんな御題目を掲げようと根っこは利権や権益のため、つまりは金だよ。そして、我が国の諸邦間には経済格差が存在する」
珈琲を一口呷り、リュッヒ伯は大きく息を吐いた。
「美味い」
「ヴィルミーナ嬢の財閥と提携をする件……ひょっとしてリュッヒ伯は反対なのですか?」
シュタードラー子爵の問いに、
「いや、賛成だよ。むしろあのお嬢さんと結びつきを強くしておくべきだ。敵に回すには恐ろしすぎる」
「恐ろし“すぎる”ですか。それはまた……随分と買ってますね」
「当然だよ。シュタードラー卿」
リュッヒ伯爵は真面目な顔つきで言った。
「あのお嬢さんは怪物だ」
〇
競技大会が終わって、ひと段落が付き、王太子の親善訪問も終わりが見えてきた頃、ヴィルミーナの許に二筋から面談を希望する連絡が届いた。
一つは大クレテア王国。なにやら深刻な文面で。
一つはアルグシア連邦。こちらは何とも親しげな文面で。
「なんで私のところに来るのよ。王国府へ行きなさいよ、王国府へ」
ヴィルミーナは不満げに唇を尖らせ、執務室に出頭させたマルクへ尋ねる。
「この件で王国府から何も聞かされてないんだけれど、何か聞いている?」
「僕も聞いてません。でも、ヴィルミーナ様はクレテアをイビッているでしょう? その件だと思います」
「人聞きが悪いわね。開放されたクレテア市場で儲けているだけじゃない。企業が利益を求めて活動するのは当然でしょう」
ベルネシア戦役終結の講和条件として開放されたクレテア市場において、ベルネシアが暴威を振るっている。
敗戦と国家財政破綻のダブルパンチで弱体化していたクレテアには、この経済的侵攻に為す術がなかった。クレテア国内の利権や技術、資産が次々と押さえられており、既に100近い商会や会社が倒産し、いくつかの組合や協会が事実上解体されていた。
クレテア経済界や財界は当然反発しているし、失業者も増加中で民間の不満が高まりつつある。去年の冬にクレテアで餓死と凍死が頻発したことも尾を引いていた。
しかし、クレテアの利権を抑えたベルネシア側から払われる税金やロイヤリティ、パテントなどは貴重な高額収入のため、クレテア政府は動くに動けない。
銃弾を使わぬ侵略。
この侵略にはヴィルミーナの白獅子も加わっており、大暴れしていた。
ヴィルミーナは大規模仕手戦でクレテアの背骨をへし折った。そしてなお、その背骨が治癒しないように、あるいは、回復が遅れるよう痛めつけている。
「……先の戦争では、僕もワーヴルベークで知人友人を失った。だから、ヴィルミーナ様が復讐を望む気持ちは分かります」
マルクが沈んだ面持ちでそう告げるも、
「不愉快な誤解だな。私は姉妹達の死を口実になどしない」
ヴィルミーナは忌々しげに吐き捨てた。事実だ。これは側近衆を殺された私怨でも復讐でもない。
「マルク。我が国はクレテア将兵を20万人も死傷させたし、街一つを吹き飛ばしたし、村をいくつも焼き払った。彼らがその恨みと憎しみを忘れることは決してない。既に次の戦争の種は植えられているのよ。我々はその危機に備えなければならない」
ヴィルミーナは純粋にクレテアという“敵国”を危険視している。
先の戦はクレテアが国家破綻で戦争継続を断念したから勝てた。
もしもクレテアが太平洋戦争の大日本帝国みたいに財政破綻も何もかも無視し、全軍投入に踏み切っていたら……今頃は末期のナチス・ドイツのように絶望的な本土決戦をしていただろう。
「奴らを徹底的に弱らせる。連中の主要産業を我が国で制圧し、クレテアの経済と産業に首輪をつけるまで。奴らがこちらをどれほど恨んでいても問題にならないようにね」
冷厳に言い放ち、ヴィルミーナは続けた。
「それに、そもそもこの件は王国府が黙認しているじゃない」
この経済侵攻にベルネシア経済界や財界も数多く参加していた。先の戦争で多くの不利益と損益を被った彼らは容赦なくクレテアを食い散らかしている。
王国府も賠償金を要求しなかったことを考慮し、こうした民間企業の報復劇を看過していた。彼らもまた、クレテアが弱体化するに越したことがないからだ。
「分かりました。誤解していたことは認めます。そのうえで、もう一度言います。クレテアが貴女に近づいたのは、貴女が彼らをイビッているからです」
マルクの見解にヴィルミーナは不機嫌面を強くし、問う。
「連中が私に連絡してきたのは、私がイビッているから。その通りだとして、なぜ私に近づいてくる? 王国府に話をつけて、王国府から私に勧告なり警告なりさせるのが常道でしょ」
「推測だけれど、王国府がヴィルミーナ様と話を付けるよう斡旋したと思います」
「……つまり、面倒事を私に押し付けた?」
苛立ちを募らせたヴィルミーナへ、マルクは小さく頭を振った。
「ヴィルミーナ様の意向を無視して反発を買いたくなかった、というのもあるでしょう。事前連絡を回してこない辺りは、まあ、貴女に反感を持っている連中が少なくないんです」
「そんなに恨みを買っていたとは知らなかったわね」
「あの仕手戦で警戒心と反感を抱いたところへ、婚約が仕上げをしたんでしょうね」
「婚約? 恋愛婚ってことで貴族連中に反感を買ったのは知ってるけど」
マルクは眼鏡の位置を修正し、訝るヴィルミーナへ告げる。
「ヴィルミーナ様。我が国では貴族と官僚は同義ですよ」
「あ」
ベルネシア貴族は大多数が役人や軍人であり、俸禄と利権で暮らしている。つまり、ベルネシア官界=ベルネシア貴族界でもある。平民や元貴族の役人もそれなりにいるから忘れがちだが。
「なるほどね……」
ヴィルミーナは前髪を乱暴に掻き上げ、大きく息を吐く。
「アルグシアの方は?」
「連中は貴女のことを高く評価していますから。関係をより深めたいんでしょうね」
「……私、交易交渉で連中からかなり毟ったと思うんだけれど」
「だが、取引自体は公正だったし、彼らの面目を決して潰さなかったでしょう? アルグシアにとって、自分達の面目を立ててくれるベルネシア王族なんてヴィルミーナ様くらいです」
マルクはどこか苦笑い気味に続けた。
「それと、連中は国交正常化とかじゃなくて、白獅子との取引を望んでる。貴女と結びつきを強くして、我が国と事を荒立てた時の保険、交渉の窓口にしたいんでしょう」
「勝手な言い分ね。アルグシアと戦争する事態になったら、私は御上の方針に従うし、そもそも、私は王族とはいえ、国家政策に携わる立場にないわ」
ふん、と不愉快そうに鼻を鳴らすヴィルミーナへ、マルクは呆れ顔を浮かべる。
「さんざん陛下や宰相に意見具申してきておいて、よく言いますね。ああ、これも王国府が前々から苦々しく思っていたことでしょうね」
「念押しすんな」
ヴィルミーナは椅子の背もたれに身体を預けた。
どうもかなり御上の反感を買っているようだ。しかし、ビジネス方面で嫌がらせの類を受けたことはない。クレーユベーレ開発に関しては王国府から後押しも受けている。どうもちぐはぐな印象を拭えない。
「ちなみに、王国府内で私に対して友好的なところと、そうでないところってわかる?」
「通商産業絡みは貴女の味方です。身内が君の財閥にいる官僚が少なくないから」
家督相続で貴族籍を抜かれ、平民になった次子以降の子女達がヴィルミーナの財閥に数多く雇われている。これはこの時代の知識階層や高等教育を受けた者が貴族中心のためだ。
「国家方針や対外政策関係筋は貴女を嫌っている人間が多いかな。君は彼らを無視して陛下や宰相に直言するから。あと、貴女と敵対している財界人筋も含まれますね」
「比率で言えば?」
「6対4くらいで好意的な方が有利ですね。今のところは」
「油断ならない数字ね」ヴィルミーナは考え込み「クレテアに関しても、アルグシアに関しても何も言ってこないところは、どう考える? 私個人の好きにしていいのか。あるいは、後で突く気なのか」
「ほとんどは前者だと思いますが、後者の可能性は否定できないですね。官僚の人品の悪さは説明不要でしょう?」
どこか自嘲的なマルクに、ヴィルミーナは小さく肩を竦めた。そして、密やかに嘆息をこぼす。
イストリア王太子親善訪問の終わりが見えて一息つけると思ったら。御上がこうして敵意を向けてくるとなると、“会合”の連中もまたぞろ鬱陶しいこと考えるかもしれへんな。こっちに付いてる連中も油断ならんし……しばらくは無茶を避けて真っ当に仕事するか。
商経済の世界は『金の切れ目が縁の切れ目』を地で行く。打算と利害のバランスがマイナスに傾こうものなら、親友面していた連中が次の日には赤の他人になる。
前世で派閥闘争に負けて海外送りが決まった時、蜘蛛の子を散らすように周りから人が居なくなったものだ。いやあ、懐かしいなぁ。思い出す度、人間ってもんに対する信頼が無くなるわ。
ヴィルミーナは下唇を弄りながら、少し考え込み、そして、マルクへ言った。
「王国府にクレテアとアルグシアから接触があったことを報告して。痛くもない腹を探られても困るもの」
「それは構いませんが、どう対処するか伺っても?」
「単なる商談なら、利益が見込めれば受けるし、そうでないなら丁重にお断りよ。政治絡みなら隠さず王国府へ報告するわ。現段階で敵国と裏取引なんて全く必要ないからね」
「必要ならやる、と聞こえますけど」
ぼやきを重ねるマルクに、ヴィルミーナは笑顔を返すだけだった。




