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ドレッドノート  作者: 岩裂根裂
第1章・蒼の紋章
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第8話・敵襲、震えるソムラ

 「な、なんだあれは……!」


 外に出た俺達が見たのは、慌ててるソムラのみんなと、青い髪の、黒いローブを着た男。


 「あいつは一体……さっきの爆発音も、奴が?」


 「なんでソムラが襲われるんだ!?」


 「分からん。とにかく、奴は間違いなく……危険だ。武器を取ってくる。ここは任せたぞ、蒼吾!」


 「ちょ……おい! ガイ、待てって!」


 俺が止めるのも聞かずにガイは走り去ってしまう。全く行動がはえーんだから!

 この場を任された以上、なんとかしてソムラのみんなは守らないと。ムラオサの家の前に突き刺してある《天蒼刀》を引っこ抜いて、黒いローブの男に向かって走っていく。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「皆さま、お聞きください! 私の名はクルギフ! 私の要求はただ一つ! この村に匿われている銀の髪の少女を、今すぐに差し出すこと! 従わない場合、あなた達の身の安全は保障しません!」


 黒いローブの男が、村の人々に言い放つ。

 銀の髪の少女。そんなの、フェイしかいないじゃないか! こいつが、フェイの両親を殺した連中の一人なのか?

 そんなことを考えていると、フェイが一歩前に出る。


 「あなたは……?」


 フェイは恐る恐る男に問いかける。フェイもこの男の事は、初めて見るみたいだ。


 「お初お目にかかります、『蒼の魔女』。私は誇り高き『七眷龍』が一人、青龍・クルギフ! あなたを、お迎えに上がりました」


 よく分からない単語がまたも飛ぶ。紋章や魔女の事だけでも頭がいっぱいなのに、七眷龍なんてのまで出てきた。

 それに、お迎え? こいつはフェイを、連れて行こうとしてるのか?


 「お迎え、とは……? 私はあなたとは、初めて会うはずですが」


 「正確には、あなたがその身に宿す『蒼紋』の力を得るために参りました。我らの主が、その蒼紋を欲しがっていましてね……」


 ニタニタと男……クルギフが笑う。

 それを見た俺は今すぐ飛びかかりたい気持ちだったけど、隣にいるフェイを見て頭が急激に冷える。

 この時のフェイは、怒り心頭って言葉がぴったり合うくらいの、怖い顔をしてたんだ。


 「私が蒼紋の継承権を持っていることを知っている人は、少ししかいません。あなた達の主とは……7年前、私の両親を殺した人達を従えている人ですか?」


 「クク……ええ、まあ。ですが、どうか気に病まないで下さい。両親が死んだおかげで、こうして優しい人間が暮らす場所へとたどり着けたでしょう?運命の巡り合わせに、感謝しなければ……」


 クルギフは相変わらずのニヤケ顔で、そんな事を言う。こいつ、性根が腐ってる。

 フェイを見ると、俯きながら震えていた。当たり前だ。両親の死をあんな風に言われて、怒らない訳ない。

 俺が声をかけようとしたら、目の前を黒い棒のようなものが横切った。


 「ふざけないで!!」


 黒い棒が、クルギフに突進する。

 クルギフはなんなくこれを避け、弾き飛ばす。

 黒い棒がこっちに来る。そして、フェイの周囲を囲むように宙に浮かぶ。


 「はぁ……! はぁ……!」


 物凄い剣幕のフェイは、クルギフを睨みつけたまま、膝をつく。


 「フェイ!?」


 「怒りに任せて魔法を使うから……もっともその程度の魔法、平常心で操っていようが、私には通用しませんがね」


 フェイが顔を上げ、さらに怒りに満ちた表情を作る。けど俺は、フェイが行動を起こす前に止める。


 「蒼吾、さん……?」


 「ちょっと落ち着けってフェイ! 怒ったまんまじゃ、勝てるもんも勝てないぞ? 一人じゃダメだ、俺も一緒に戦う! そのための蒼紋だろ!」


 フェイが少しずつ、荒い息を収めていく。

 フェイも落ち着いたところて、大剣を手にしたガイが戻ってくる。


 「遅いぞガイ!」


 「悪いな。他にも色々とすることがあってな……」


 することってなんだ、危ない奴が襲って来てるってのに!

 ちょっと納得いかないけど、武器を構える。

 フェイをこんなに悲しませたこいつは、許しておけない。


 「ガイ、俺ちょっとムカついてるんだ。全開でやるぜ」


 「……いいだろう。村を襲ったこいつは、俺も許せん。やるか」


 「援護します、二人とも! 『ガンビット』!」


 先ほどの黒い棒が、俺達の周りを取り囲む。ガンビット、っていうのか……。

 とにかくこれで戦える。クルギフをぶっ倒してやるんだ!


 「弱い者はいくら集まっても、弱い!」


 「黙れクソ野郎!!」


 一気に走り出す。俺は天蒼刀を構え、ガイは大剣を振りかざし、フェイのガンビットが光を放つ。一斉攻撃だ!


 「フン……!」


 クルギフが後ろへ飛び、何かを唱える。

 次の瞬間、水の球が俺とガイ目がけて飛んでくる。


 「やべっ!」


 多分あれは、魔法だ。食らったら何が起きるか分からない。

 俺達は盾なんか持ってない。防ぐ手段がないんだ。かなりヤバイ!

 けど水の球は、フェイの魔法によって打ち消される。


 「させません! 『シェルビット』!」


 俺達の周りを飛んでいたガンビットが形を変え盾になり、水の球から俺達を守ってくれた。やっぱフェイの魔法はすげえ!


 「なに!?」


 これにはクルギフも焦りを隠せないみたいだ。フェイのシェルビットがガンビットに変形し、すかさず攻撃を加える。体勢が崩れた今ならやれる!


 「今だ! ガイ、一気にいくぞ!」


 「おう!」


 「チッ……!」


 クルギフはさらに多くの水球を作り出す。でもそれはさっき見たんだ!


 「もうビビるもんか!!」


 水球を斬りながら前へ進む。進む。進む。左の刀が弾き飛ばされてしまうが、もう止まらない。クルギフに必殺の一撃をぶつけてやるんだ!


 「クッ……! 真正面から突っ込むしか能のない子供などに!」


 「その子供に負けるんだ、あんたは! フェイに言った事……絶対許さない!!」


 ほとんどゼロ距離。必殺の一撃、叩き込んでやる!


 「うおおぉぉぉーーー!!」


 俺の意志に応えて、天蒼刀の刀身が輝きを増す。クルギフをぶっ飛ばせるくらいの、最大の力を込めて刀を振る!


 「決まりだぁぁぁ!!」


 「くっ!! おおぉぉぉぉ!?」


 確かな手ごたえ。クルギフの身体に刀がぶつかる感覚が伝わってくる。物凄い速さで村の壁まで吹き飛ぶクルギフ。

 この勝負、俺の勝ちだ!


 「ぐっ……ここまで、蒼紋が適合しているとは……怒りによる、意志の力か……?」


 何かをぶつぶつと言っているクルギフ。そんなクルギフを、村人たちが取り囲む。


 「よくもソムラを襲ってくれたなぁ、ん!?」


 「不良みたいな髪の色しよってからに!」


 「とっとと出て行け!!」


 「フン……こんな田舎の村など、言われなくともすぐに出て行きますよ」


 勢いよくクルギフが立ち上がる。戦いで傷ついたローブを脱ぎ捨て、俺の方に向き直り……。


 「蒼紋の力、見せてもらいました。またいずれ会うことになるでしょう。その時には蒼の魔女……今度こそあなたを、主の元に連れて行きますよ」


 「ぜっっったい渡さねえよ」


 「絶対について行きません」


 「フッ、嫌われたものですね……さらば!」


 クルギフの背中から翼が生える。いきなり宙に浮き始めて驚いたけど、そういえば自分のこと青龍とかなんとか言ってたな、と思い出す。


 青空へと飛び去っていくクルギフ。

 天蒼刀の強い光も薄れていき、戦いが終わったんだと実感する。

 すると、魔物を倒した時と同じような疲労感に包まれた。


 「また寝ちゃう……かな……」


 俺の意志とは関係なしに、身体が倒れていく。

 それを見たフェイとガイ、村のみんなが駆け寄ってくる。

 また、膝枕してもらえるかな。なんてことを考えていると。

 俺の目の前は、真っ暗になった。

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