第3話・少年少女、運命と出会う
「どう思う?」
話を切り出したのは、ガイだった。
「どう思うって……どう見ても普通の女の子だよ。着てる服は変だけど」
魔物の討伐に出て発見したのは、なんと女の子だった。銀色の髪で、顔は結構可愛い。けど、着ている服は俺達の物とは全く違う。
女の子は、肌にぴったりとくっついてるような物を身につけていた。
「さて、どうしたものかな」
「どうしたもこうしたもない!こんなとこに置いてけないだろ、村に連れて行こうよ」
「……そうだな。放置はできない。村に連れて行って、目を覚ましたら──。」
ガイが言いかけたところで、ズシンと音が鳴る。
「なんだ!?」
「地震……か?」
何度も、何度も、地面が揺れる。これだけの地震が連続で起きるなんて普通じゃない。それに、段々揺れが激しくなってる気もする。
けど、揺れは突然消えた。何故だろうと辺りを見回すと、さっきまではなかった物を見つける。
不気味なほどに巨大なそれは、俺達を……獲物を見つけて、歩くのをやめたんだ。
「グギャアアアアアアアアア!!!!!」
耳が割れそうなほどの雄叫びを上げる、巨大な魔物。こんなのの討伐を俺達に任せた?冗談だろ!
ソムラ周辺に現れるような魔物じゃない、他の大陸でも滅多に見ないと思う。
「「デ、デカすぎ……」」
あまりの巨大さに、思わず腰を抜かしてしまう。
怖い。怖い。怖い。こんなのがいるなんて聞いてない。ここにいたら、絶対死ぬ。でも、身体が動かない。
そんな俺の身体を、ガイが持ち上げてくれる。
「蒼吾、立てるか!? 逃げるぞ!!」
「あっ……お、おう!……あっ!?」
討伐なんか無理だ、命がいくつあっても足りない。俺達は一目散に逃げ出した。
けど俺は、ある存在をここで思い出す。
「あの女の子は……!」
木陰に横たわっていた女の子だ。俺達が逃げたら、あの女の子はどうなるんだ!
「蒼吾……!? 何やってるバカ、死ぬぞ! 戻れ蒼悟!!」
ガイの必死な声が聞こえてくる。けど、動き出した身体は女の子にまっすぐ向かっていく。
「俺達が逃げたら、この女の子はどうなんだよ!! 魔物如きに負けっかよ……絶対守ってやる!!」
女の子に前に立ち、魔物を睨みつける。
だけどデカい魔物を前にして、足がまた震え出す。今すぐ逃げろって声が、頭の中に響いてる。
────けどそんなの、関係ない。
守るって決めたんだ。今この子を守れるのは俺しかいないんだ。
こんなやつ、木刀で十分だ!
「うわあああっっ!!」
勇気を振り絞って、魔物に向かって走り出す。
木刀で殴りつける。殴る。殴る。
恐怖を隠すように必死に打ち込む。けど……。
「あぐっ!?」
魔物は邪魔な物を跳ね除けるようにして、俺を女の子の近くまで吹き飛ばす。
木刀は折れ、痛みで身体が言うことを聞かない。
そんな俺に、魔物が鋭い爪を突き出す。
この子も守れないで、ガイにいいとこ見せらないで、俺、死ぬのか……?
目の前が、ぼんやりしてくる。
視界の端で、蒼い光がうっすらと見えたような気がした。
迫ってくる魔物の爪を見ながら、俺の意識は薄れていった。