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図書館

ほら、あそこ…珍しい三人組を森に隠れた影がひっそりと観察していますよ


貴方の手で、驚かせてみては?

村から少し離れた森の中


葉がカサカサと精霊たちの歌う声に音を鳴らす一本道を歩き始めて数十分


大きな館が二人と一匹の前に姿を現した。


「おーい!ルーカス!いるんだろう?」


ドワーフであるニーベルの声が穏やかな森の空気に響いた。


凛としたその声に反応する人はいなく、彼はおかしいなと頭を掻いた。


「いつもはすぐに気づいてきてくれるのに。」


三人で首をかしげどうしたものかと考えている時


「彼も精霊たちの話は届いているし、もしかしたら逃げたのでは?」


と悪びる様子もなく言うシリウスの声に反応するように不機嫌な声が届いた。


「いくらなんでも逃げるなんてことしねぇよ。たかが人間だろ、そいつ。」


音もなく舞い降りてきた姿に声を無くした。


それは感嘆というよりは驚きに近かった。


「あんたが新芽?どうぞよろしく」


呆けているとたいして気にする様子もなく


手を差し出すルーカスに意識を戻し


焦りながら手を握ろうとした瞬間目の前に火花が散った


物の喩えとかではなく、本当に散ったため私は驚き腰を抜かした


一通りの様子を見たルーカスは対照的に腰を落としたが、


驚いている様子ではなく腹を抱えて面白おかしく転がっていた。


要は馬鹿にされたのだ。


「危ないじゃないですか!?ルーカス!ミアプラが怪我したらどうするんです!?」


「君はまたそうやって新芽に嫌がらせをして!!」


残された二人が反論するが、なんとでもいえというようにルーカスは開き直った。


「俺の種族が悪魔だってことは存じ上げているはずだぜ?


そんな怒んなよからかっただけだろ?」殺したわけじゃないと赤目が鈍く光った


とてもじゃないが、厄介であることに違いはなかった。


なるほど、それで誰も寄り付かないのか。


一人納得する私だったが、さすがに初対面で危ないことをされて怒らないわけはなく


「そうね、殺したわけじゃないわ」と一言いい、


目の前に立ちはだかっていた厄介者のぴょんぴょんと無造作にはねた黒髪をつかむや


そのままできる限りの速さで素早く自分の膝へその顔を当てた。


「ぶふっ!!」


ゴンッ!!!!と鈍い音とともに奇声が小さく上がった。


やられた当人は痛みにもがき先ほどとは違った意味で地面を転げまわっていた


「っーーー!!にすんだ!このアマ!!」


と顔を上げた顔、見れば鼻の頭は赤くなり、鼻血がボタボタと流れ目を若干うるんでいた。


誰がどうもてもクリティカルヒットした顔にシリウスとニーベルは笑ってはダメだと肩を震わせた


「私はか弱い人間のアマ。貴方はおつよーい悪魔の男子。


なら、さっきのいたずらに対等な仕返しよね?」


と半ば強制的な正当防衛を主張してみたが、以外にも相手は目を丸くしたと思ったら笑い始めた


打ち所は悪くなかったはずだがと若干の不安を覚えていると


目の前の相手は突如立ち上がりすぐ目の前にいた


さすがに無理があったと思い


あげられた片手に身構えていると予想とは違った反応が返ってきた


「お前面白いな。ここじゃそんな野蛮な考えだす奴なんていないぞ」


と頭を優しくなでられた。


思いもしない悪魔の行動に今度はこちらが目を丸くした。


「名前…ミアプラだっけか。どうせあのジジィがつけたんだろ?


ってことは…お前は自己か。俺は罪だ。そこまでは思い出したが、何をしたのか忘れちまった」


早く思い出せるといいなと離れ間際に頭をぐちゃぐちゃにされた。


「ニーベル、話は大方聞いた。こいつが司書ならかまわねぇよ」


「・・・え?ほんと!?またいじめて追い出したりしない!?」


キラキラと星が見えそうな目で詰め寄るニーベルがどこか煙たそうなルーカスは


「しねぇよ!やったとしてもこいつ返り討ちにしてきそうだしな。


いいから早く書類出せよ、めんどうだからさっさと済ますぞ」


「うん!じゃあ、ミアプラ!彼色々大変かもしれないけど、よろしくね!」


ブンブンと効果音がなりそうなほど激しく手を振るニーベルと


さっさとしろと彼の襟首をズルズル引きずるルーカスは先に館へ姿を消していった


どこかの漫才にでも出てきそうないいコンビだと思った。


というか、ニーベルはよくいろんな人に襟首を引きずられるなぁと苦笑した。


同じことを考えたのか若干苦笑したシリウスが私たちもと


背中に乗るように誘導したので、お言葉に甘えて乗せてもらった。


ここでの暮らしはきっと楽しくなると、心を弾ませながら消えたドワーフと悪魔の後に続いた…。

意地の悪い悪魔を見事返り討ちにしたミアプラ

司書になる手続きも済み、図書館を後にする

次は引っ越し手続きと思っていた彼女の前に現れた人影は?

次話ー重なる一人ー

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