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本編5(完結)

無理やり感がありますが、本編完結です!思ったより長くなりました。難しかった〜!

次の日の朝、丁度お召し物の支度を終えた頃。



『リーゼ、これが何か覚えているな?』



懐から何かを取り出し、ガーランドはリーゼに向けた。


昨日のこともあり、どことなく緊張しながらお世話をしていたリーゼの目の前に差し出されたそれは。



『あっ!姫様の髪飾り…!?』



『そうだ、これのことでお前に伝えなくてはいけないことがある。』



一体何を伝えようと言うのか。

昨日は口付け、今日は姫様の髪飾り?



ガーランド様のお気持ちはまだ姫様にある、ということかしら。



そうゆうことだったら、と口を開く。



『あの、昨日のことでしたら大丈夫です。私、勘違いなどしておりませんから!』


『はっ、?いや、そうではなく…ああクソ!』


やや苛立った様子で黒く美しい髪の毛を掻きむしっている。


あぁ、せっかく御髪を整えたのに…。

でも、、そうじゃないならやはりどうゆうことなのだろう?


『昨日、我が言ったことを覚えているか?』



びくり、とリーゼは肩を動かす。


『…はい。』


『人間界に戻れるのだ。リーゼ、この髪飾りを使えば。』







……………………え?









その後、呆然としたリーゼの耳に届いたガーランドの説明はこうだった。


いわく、人間界と魔界を結ぶ強い思いがこめられた物があれば、それを媒体にして1度きり、その物の持ち主の所へ召喚できるのだそうだ。


方法は簡単。魔力が込められた魔法陣の中に、髪飾りを持ったリーゼが入るだけ。


そう、たったそれだけで、人間界に帰ることができるのだ。



『なんで…』


声が震えて言葉にならない。リーゼの中で感情がぐちゃぐちゃになっていた。怒りなのか悲しみなのか戸惑いなのか、自分でも分からない。


『なんで、か。そう思うのも無理はない。我がこの髪飾りをみつけたのは、もっとずっと前、先月のことだ。しかしお前には黙っていた。どうしてだかわかるか。』


ガーランドはじっとリーゼの瞳を見つめて問う。

こんな時でも美しく、赤い瞳はリーゼを捕らえて離さない。



そんなの、そんなの…


『わかりません!何故ですか!姫様を思い出させる私の存在が憎かったからですか!』


『…っそうではない、』


『では、何故そんな重要なこと黙っていたのですか!』


今まで感じていて目を背けていた不安がどっと溢れて、それと同時に涙もぼろぼろと溢れていた。




『離れたくなかったからだ。リーゼ、お前と。』


『………今なんと?』



驚きで一瞬涙が止まる。



『だがもう良い、帰っても良い。悪いことをしたと思っている、だから…泣かないでくれ。』



そう言っていつの間にかリーゼに近づいていたガーランドは、おそるおそる頬にそっと手を当て、涙を拭く。



『どうして、今になってそんなこと言うのですか、もっとずっと前に言って頂けたら、わたし『もういい、何も言うな。』


聞きたくないとばかりに遮った声を出した張本人は、どこか苦しそうで。


リーゼは依然頬にあった手を突っ込みこむように重ね、ぐっと力をこめた。


『ガーランド様、誰かの涙を拭くのは、私が初めてですか?』



何を突然というように少し驚いた顔をしたガーランドだが、それでもやや間を空けて答えた。



『当たり前だ。魔族で涙を流す者などおらぬ。…姫君はいつも泣いていたが、我が近づいては逆効果であっただろう。』


『では、自分のもとを去っても良いと仰ったのも、私が初めてですか?』


『…あぁ、我は自分のものにすると決めたら手放さぬ。』


だったら、とリーゼはさらに問う。


『私は、手放して良いと思うくらいにしかお役に立てませんでしたか?…無理やりにでも攫ってしまいたい程の魅力はありませんでしたか?』


言いながら再び涙が滲む。

先ほど感じていた感情の正体が、正しく悲しみだったことにリーゼは薄々気付いていた。


『帰るなと仰ってください。もう遅いのです、もうあなたの側にいたい気持ちの方が強くなっ…』



その後に続く言葉はガーランドの唇によって飲み込まれた。


また、続きを言わせて貰えなかった。



昨日よりも荒々しく、それでいてどこか優しい口付けは、徐々に深くなっていく。


『ンッ…』


ちゅっと音がして唇が離れた時には、頭がのぼせ上りそうだった。



『帰す選択肢を与えたのは、また無理やりに繋ぎ止めて、気がついた時に消えているのが怖かったからだ。試すようなことをして悪かった。だが我がここまでするのはお前だけだ、わかってくれ。』



そう言ったガーランドの顔はどこか不安そうで、リーゼは少しだけ可笑しく思ってしまう。魔界の頂点に立つ男のこんな姿、見られるのは自分だけだろう。



しかし同時に愛おしいと感じる。



『ガーランド様、私は消えたりしません。ずっとお側にいさせて下さいませ。』


そう言うとガーランドの手の中にあった髪飾りを取り、窓から放り投げる。


『なっっ!?』


リーゼはいたずらが成功した子供のような顔でガーランドを振り向くと




『ガーランド様、物語の悪役だって、幸せになって良いと思いませんか?』




と言って満面の笑みを浮かべた。



窓の光に照らされたリーゼを見て、ガーランドは眩しそうに目を細めた。

それは紛れもなく、愛おしい者をみつめる瞳であった。



お付き合い頂きありがとうございます!この後2人のラブラブ後日談を書きたいです^_^興味ある方は是非! 姫様とイケメン勇者のおまけって需要あるのでしょうか、?笑

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