アルバイトという言葉
日本語で使用される「アルバイト」という言葉は、ドイツ語に由来する。ドイツ語では、アルバイテン[arbeiten]で「仕事をする」を意味し、はじめの文字を大文字にすれば名詞で「仕事」を意味する。つまり、本来「アルバイト」とは、たんなる「仕事」一般を指す言葉である。
しかし、日本では、このことばの使用には注意を必要とする。友人に、「アルバイトは、続けているの?」聞いたら、強い口調で「アルバイトではなくて、派遣や」と返答された。なぜ口調が強くなったのかその時はわからなかったが、話を聞いてみると、どうやら友人のなかでアルバイトと非正規と正規(正社員)は、明確に異なるようだ。
たしかにその三つの雇用形態が違うことは、僕でも知っている。ただ、彼がいうには、そこには明確な価値の違い、ランクづけがある。つまり、「アルバイトよりも、非正規、非正規よりも正社員が上」だそうだ。だから、非正規よりも下位のアルバイトにみなされたのが、気にさわったらしい。
では、そのランク差は何の違いだろうか。友人いわくランク差があるのは、どうやら任される責任の違いらしい。つまり、アルバイトよりも非正規の方が、非正規よりも正社員のほうが、すくなくとも任される責任が大きくなると。責任が大きいということは、それだけ信頼、信用されているので、上位に位置するらしい。しかし、僕は不思議だなぁと思う。というのは、その責任の差は、結局は給与に差が生まれるだけだからだ。他の要因で給与が変わることもあるだろうが、一般的に責任が大きい立場ほど、与えられる給与も多い。だから、違いが出るのは給与の面であって、人としてのランクの差が生まれるわけではない。
ブランド品のバッグは、ブランドという付加価値が値段を上げる。人々は、目に見えないブランドにお金を払って、わざわざ高価なバッグを買う(もちろん、それが悪いわけではない)。つまり、その価値の有無は評価する人が判断することであって、僕みたいなブランドという付加価値に興味のない人からすれば、ただのバックである。
アルバイト、非正規社員、正規社員も同じように、個人を評価するブランドのようなものとして作用しているのかもしれない。しかし、僕からすれば、すべてたんなる仕事[Arbeiten]にすぎない。




