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相手の未来がわかったと思った時点で、間違いだろう

 かつて付き合っていたガールフレンドに、「あなたは生まれた故郷から離れないよ」という主旨のことを言われたことがある。自分ではそう思わなかったから、否定したが、相手は頑固として譲らなかった。自分は、生まれ故郷にすごい愛着があるわけでもないし、必要とあらば離れる心の準備はできていた。


 結局、それから一年後には、生まれ故郷を離れることになった。彼女の言っていたことは、たったの一年で外れたわけである。人間は、自分で自分ことをわからないことはしばしばある。しかし、それと以上に、人間は他者のことがわからない。親しいと思った人でさえ、一年後の将来を予測することができないのである。


 そう考えると、他者のことを理解したと思うのは、おこがましいことなのかもしれない。相手の性格、相手の考え、思想、好みが完全に理解できたと思った時点で、それが間違いだと自覚したほうがいい。なぜなら、人間はたえず変化するものであるからだ。周囲の環境や人々に影響されて変わることもあれば、自ら意識的に変わることもできる。それは、理解したい対象の人だけでなく、自分も変化しうることを意味する。

 それでも、長い時間、一緒にいれば相手のことを理解できると主張するならば、その人は「人間は変わらない」という前提を含んでいなければならない。結局、他者理解は、「人間とは何か?」という人間理解に関わる。

 

 先にすこし触れたが、他者を理解できないように、自分も同じくらい理解できない。だから、「自分なんて存在はたいしたことがない」「自分には才能がない」という断定は、成立し得ない。たしかに、その時点では、実際に才能は無いのかもしれない。しかし、未来はどうなるかわからない。つまり他者と同様に「自分の未来がわかったと思った時点で、間違いだろう」。


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