表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
願い事  作者: たかまち ゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/10

4. 話が始まらない

「あなたの願い事を一つ叶えてあげましょう」

 僕がそう言うと、その女性はしばらく黙って僕を見つめた後、

「……疲れてるのかしら。妙な幻が見えるわ」

 と言って僕の上に蓋を被せようとした。

「うわぁぁぁ! ちょっと待ってください!」

 僕は必死で叫んだ。

 確かに、ペットボトルの蓋を開けたら中から妖精が出てきたという状況(シチュエーション)は、驚くに値するものだけれど。

 ここで蓋をされてしまうと、僕の立場というものが……。

 ――あ。


     ☆


 僕が顔を見せると、友香はちょっと驚いた顔をした。

「あれ、もしかして、来ちゃいけなかったかな?」

 そう訊くと、友香は首を振り、

「玄関から来ると思っていなかったから……」

 と言った。

「うん。普通に友達らしくしてみようかと思って。それで、どうせなら敬語もやめようかと思ったんだけど、嫌じゃないかな?」

「ううん。大丈夫。じゃあ私も……、いらっしゃい、アル」

「お邪魔します……あれ? するよ、かな? ……まあいいか。お邪魔しまーす」

 友香について家に上がると、今日は居間へ通された。

「紅茶でいい? あ、そもそもアルは、お茶は飲める?」

 ティーカップやポットを準備しながら、友香が言う。

「うん。人間と同じものが大体食べられるし、紅茶は好きだよ」

 僕がそう答えると、友香は嬉しそうにお茶の支度をしてくれた。

 二人分のお茶が揃うと、友香は僕の斜め向かいの席についた。

「それで、今日はどうしたの? アル、少し疲れているみたい」

「うん、実はこの前、願いを叶えたせいでおばあさんが一人亡くなってさ……。ちょっと落ち込んでるんだ。今日は今日で、自己紹介する前に追い返されちゃったし」

「大変なのね……」

「そうしたら、なんだか急に友香のピアノが聴きたくなったんだ」

 僕がそう言うと、友香はちょっと赤くなった。

「だったら、これを飲み終わったら何か弾くね」

 ……その後、友香は約束通りにピアノを弾いてくれた。

 ノリが良くて思わず踊りだしたくなっちゃうような曲だった。

 聴いているうちに僕は元気が出てきて、今日の女性のところへもう一度行ってみようという気になったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ