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恋のカタチ  作者: 稚明
9/12

後悔

そろそろ待ち合わせの時間になると思い、教室へ戻るのとにした。

今日は1日岸本くんのことを考えていた。


「私も、前に進まなきゃ」


教室へ戻ると岸本くんと友達が話をしていた。

「あ、有本さん。」その友達が私に気づいて、「あ、あーー、おれ、もう帰るわ、じゃーな、夏樹」

空気を読んだかのように教室から出ていった。

「早かった、かな?」

「いやいや、全然」

岸本くんは変わらずの笑顔だった。と思う。

正直真正面から彼の顔は見れなかった。


「で、話ってなに?」

早く終わらせて帰りたかった。

「俺、県外の大学に行くんだ」

「うん、聞いてた」

「....有本さんは、寂しくない?」

「え?」

「俺、遠くにいっちゃうんだよ?」

「そう言われたら、寂しいけど....」

「俺は寂しいよ。だって、こっちに帰ってくることがないかもしれない。忘れ物をしても取りに帰れないかもしれない。」

「だったら、地元の大学にすれば、いいじゃん?」

彼が何を伝えたいのかわからなかった。

「....俺、兄貴と愛奈のいない世界にいきたいんだ。そこで、新しい人生を歩みたい。もう、あの2人に縛られたくないんだ」

「それだけの為で県外の大学にいくの?」

「もちろん、勉強したい学科が地元になかったという理由もあるけど。一番の理由はそれ」

「そうなんだ」

「俺、この1年、有本さんには感謝してた。ずっと。あんなこと、なければ、本当は有本さんと、付き合えたのかな?って思う」

でも、いまさらだよ。

「謝らなきゃとも思ってたよ」

ほんと、いまさらだよ。

最初から最後まで、自分勝手だ。

でも、そんな彼でも....

「私からもいいかな?」

「なに?」

「今、岸本くんにとって、愛奈さんは何?ただの幼馴染み?それとも、まだ好き?」

「....わからない。でも、もう、昔みたいに独占したいとか他の男に取られたくないとか、嫉妬みたいなものは感じない」

「そうなんだ」

一呼吸おいて

「じゃ、私は?今の岸本くんにとって、何?」

あの夏に私に言ってくれたこと、あれは嘘だったのか、私はそれだけ、聞きたかった。


____「もし、諦めることができたらさぁ、ちゃんと、つきあって、もらっていいかな?」_____


一年前、2年の冬に、

愛奈さんが岸本くんに想いを伝えた時から、私は岸本くんを避けていた。私は必要ではないと思ったからだ。

私は偽物で本物ではなくて。

岸本くんの愛奈さんへの気持ちと愛奈さんの岸本くんへの気持ちは本物で。

2人のお互いの気持ちに私は勝てないと思って、諦めたのだ。

諦めたはずだったのに。


「俺にとって、有本さんは大切な人」

泣きそうになった。

求めていた応えではなかった。

「いつも折れそうになったとき、そばにいてくれた、それが嬉しかった」

ダメ、それ以上言ったら私は.....

「そっか、うん、そーだね、わたし少しは役に立ててたんだね」微笑みながら伝えたつもりだった。

私の頬を1粒の涙がこぼれた。

「俺、離れてわかったことがあるよ」

彼は私に近づいて、涙を拭ってくれた。

「有本さんと話せなくて寂しかったよ」


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