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恋のカタチ  作者: 稚明
6/12

変化2

前に進まなきゃといった彼に期待をしたこともあった。

諦めて、あたらしく進んで欲しかった。


なんの戸惑いもなく、私はそう願った。

そしてそれが私であればいいとどこかで思っていた。


夏休みのデートはその2回で終わった。

花火大会のあと、帰り際に彼が

「なんか、有本さんの前では情けないとこしか見せてない気がする。ごめんね、ありがとう」

いつもの笑顔だった。

「仕方ないと思うよ?そもそもあの時、岸本くんが私の腕を引っ張って彼女に嘘をついて別れを切り出したあの時から始まってるんだよ」

私の岸本くんへの気持ちもきっと、あの時から。

「いいよといってしまったからには、岸本くんが愛奈三より好きだと思える人が現れるまでは、つきあうよ」私も笑顔で返した。

「ほんと、有本さんでよかった」

この言葉だけは私だけのものだと思うと嬉しかった。

「いえいえ。がんばって、岸本くん!また新学期ね」と伝えて、帰ろうとしたら

「有本さん」

「え?」急に腕を掴まれた。

「もし、諦めることができたらさぁ、ちゃんと、つきあって、もらっていいかな?」

「?!」一番動揺した。今までで一番。

「待ってて、ほしい。有本さんに」

「また、連絡するね、んじゃ新学期に」

そういって掴んでいた私の腕をゆっくり離した。

何分ぐらいか、私は岸本くんの後ろ姿をずっと見ながら何を言われたのか何が起きたのかわからなかった。


今思えば、あの時から私は落ちたのかもしれない。


今日の授業がおわって帰る支度をしていたら

LINEが来ていた。岸本くんからだった。


「今日これから時間ある?」

今日1日ずっと、岸本くんのことを考えてたから変にドキドキした。

もうその気持ちは終わらせたはずなのに。

「大丈夫だよ?どこにいればいい?」

と返事をしたらすぐに既読になった。

「みんなが帰った頃にまた教室(ここ)に来て欲しい」

帰りのHRが終わったあと、2時間ほど教室は補習で使われるのでどこで時間を潰そうか考えた。

「わかった」と返事をして、わたしは図書室へ向かった。


高校2年のあの夏に、あんなことがあって

新学期を迎え、体育祭や文化祭ではお互い忙しくて一緒にいる時間がなかった。

元カノさんは、時々岸本くんを探しに私たちのクラスをたずねてきた。

「あ、愛奈さん」

文化祭の時だった。模擬店の店番をしている時に愛奈さんが私のクラスの模擬店へ訪れた。

幸い岸本くんは休憩をとって教室にはいなかった。

「岸本くんは、今外にでてます」

「知ってる。今日ワタシはあなたにあいにきたの。有本さん。あなたは夏樹とほんとに付き合ってるの?」

単刀直入にきいてきた。

「は、はい」

「ワタシ、まだ諦めてないの。ちょっと事情があって、夏樹はきっと勘違いしてるの。」

だいたい話の内容は伏せてても彼から聞いていたのでとりあえず彼女の言うことにあわせた。

「夏樹と離れて、わかったの。ワタシは夏樹がすき」

ズキッと刺さった。

「もし、有本さんが本気で付き合ってないのから、別れてもらえませんか?」

もともと正式には付き合ってないので付き合う別れるというものがないのだが

「それは岸本くんが決めることで、岸本くんがどちらを大切に思うか、その答えがたとえ私にとって最悪な結果になっても私は受け入れます」

「....たしかにそうだけど。」

元カノさんのことを真剣に、女々しくなるほど好きななってしまっている岸本くんを知っている私にとってはそこまで真剣にならなくても大丈夫だと思った。

「愛奈さんこそ、諦めないでください。私も諦めませんから」

そう伝えて作業に戻った。

「侑香、さっきの子だれ?てか、顔が赤いよ?」

希美ちゃんはよく見ている。

「岸本くんの元カノ。最近私と岸本くんが仲良くしてるからやめてっていってきたの」

「別れてるのにそーいうのいう女いるよね~。で、侑香はなんて言ったの?」

「諦めないでくださいっていった。私もあきらめないからって.....あ!」

「へえ~~~~ふぅ~~~ん」

完全にバレた。確定した。

「そっか、侑香は岸本くんが好きなんだね」

今まで隠し通して気づかないように蓋をしていた気持ちを彼女はいとも簡単に言葉でこじ開けた。

「侑香、顔真っ赤」

「希美ちゃんの、バカ」

外の紅葉の赤さと同じぐらいの色に頬が染まっていた。

高校二年の秋だった。

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