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恋のカタチ  作者: 稚明
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心境2

人を好きになるってどういう感情なんだろう。

何を思ってこの人が好きだと思えるのだろう。

わたしはまだそう思える人に出会えていないのかもしれない。

そんな私が岸本くんから元カノとの事情を聞くことになった。

聞いたあと、私はなにもアドバイスできないと思った。聞くことしか出来ない虚しさがあった。

でも、それでも、彼のあの泣きそうな笑顔をみてしまったら聞きたくなった。


彼のことを知りたいと思ったのはその時だった。


愛奈(あいな)は、実は俺の兄貴が好きだったんだ」

「え?」

「俺には三つ上の兄貴がいるんだ。だから兄貴のことも愛奈は知ってる。要は嫉妬だったんだ」

私はすこし混乱した。

「え、じゃあなんで岸本くんから振ったの?愛奈さんのこと振り向かせることができたのに?」

「俺が中学卒業のとき、兄貴に彼女が出来たんだ。めちゃくそ美人で、俺にまで自慢してきた。そん時に俺は、愛奈もこのことしれば諦めて俺のこと好きになってくれると、思ってた」

「馬鹿だよな、そんな真実をつげたあとに俺の気持ち言ったからって受け入れてくれるわけないって。あの時の愛奈の顔は今でも忘れらんない」

切なそうに話す岸本くんに私はどうしてあげたらいいのかわからずじっと聞いていた。

「話それちゃったね。再度告白して愛奈は受け入れてくれたけど、でも、俺は知ったんだ。愛奈は今でも兄貴が好きなんだって。俺とふたりでいても兄貴の話題が頻繁に出るんだ」

「だから、もう、辛くて、振った」

今にも泣きそうだったので私は思わず彼を抱きしめてしまった。

言葉がでなかった。ただ、ただ、愛おしかった。


まわりからざわざわと声が聞こえて我に返った。


「あ!あの、ごめんなさい!ごめんなさい!」

慌てて抱きしめた手を離した。

また顔が熱くなって、頭の中が沸騰していた。

「有本さん、優しいね。ありがとう。」

ふと、彼の顔をみた。

彼もすこし赤くなって笑っていた。


暑い暑い夏だった。



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