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恋のカタチ  作者: 稚明
2/12

関係

最後の席が窓際でよかったと空を見ながら思う。

授業の内容も、センター試験にむけてのものだったので関係のない私には物思いにふける時間になった。


岸本くんとLINE交換をして帰宅した夜は

なかなか寝付けなかった。

男の人と連絡先を交換するという行為は中学卒業の時にしたぐらいで、それから連絡することはなかった。なにか集まりがあれば女友達経由でくるし、そもそも通う高校が地元だったので直にはなせるということもあった。好きな人もいなかったからなのかもしれない。

岸本夏樹くんは、クラスの中でも女子には密かな人気者だった。とても楽しく笑う人で、いつも男女関係なく彼の周りに人がいた。その一部に自分もいたこともある。彼女ができた時もクラスの男子が今にも胴上げする勢いで祝福していた。

そりゃ彼なら可愛い彼女ぐらいすぐ作れるよって思う程度の人だったのだ。


そんな彼とLINE交換をしたのだ。


お風呂から上がって髪の毛を少し乾かしたあと、ベットの上でスマホとにらめっこしていた。友だち追加はしたものの、自分からメッセージを送るべきか、悩んだ。

(有本です。追加ありがとうございます...って他人行儀かな?)と、送る文章を考えていた時、


\ピロン/


岸本くんからスタンプが送られてきた。

「岸本です。よろしく(^^)」と文章を添えて。


「有本です。こちらこそよろしく」

と私は送った。

今日はこんなもんだろうと思ったら

岸本くんから連打のLINEが送られてきた。

「有本さん、今日はありがと」

「とりあえず落ち着くまで」

「おねがいします(^^)」

そしておやすみなさいのスタンプで締めた。


落ち着くまでって何が?という疑問が残ったけど

私もおやすみスタンプを送って床についた。


授業が終わって次の授業の準備をしていたら

「夏樹ー!お前、結局どこの大学いくんだよー?」とクラスの男子の声が聞こえた。


今の関係はなんていったらいいかわからない

状態だ。話はするけど用件だけ。

LINEも用件だけ。

あんなことがなかったら、私たちの関係はもっと違うものになっていたのかもしれないなと思う。


「あれ?いってなかったけ?俺、県外の大学行くんだよ」

「はぁ?!まぢで???きいてねーし!」

「ははは、ごめんごめん」

彼は笑いながらまるで冗談のように言った。


ガタッ


クラスのみんながら私に注目する。

動揺して立ち上がった時、椅子が倒れてしまったのだ。

「侑香、どうしたの??」

「え、あ!なんでもない!なんでもないよ!」

と倒した椅子を直しながら、ふと岸本くんに目がいってしまった。

そして彼と目が合ってしまった。


さらに動揺して、私は顔が赤くなっていることに気づいた。

「と、トイレいってくるね」と友達に告げ

教室から飛び出した。


みられた。岸本くんに。みられた。

だんだん顔が熱くなる。耳まで熱くなる。


人がいないところまで来た時、足を止めた。


「県外に、いくんだ....」

言葉にした途端、

「あ、あれ?あれれ?なんで...」


わたしの頬を一粒の涙が流れた。


気づきたくない気持ちの蓋が

また開こうとしていた。




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