エピローグ
「……黒の塔・白の神殿・赤の泉・青の洞窟・緑の丘、五つの神域全てが強い光を放ち、セレスティアを包み込みました。そして、その日を最後に神域は力を失い、セレスティアを包み込んでいた結界は姿を消しました。
それからのセレスティアは様々なものを失いましたが、同時に新たに様々なものを手に入れました。神々と先祖が、苦しみ、築いてきたセレスティアの時代が今、幕を閉じます」
ゆっくりと最後の一行を読み終えた女性がふーーっと大きく息をついてパタンと本を閉じた。
「はい、これにてセレスティアの歴史、『呪われた帝国』の最終巻が終わりです。……何年もかけて聞き続けていたこの話しの感想を、書いてくること。それが、歴史の最後の授業です」
先生の言葉に生徒達が大きく頷いた。九年間毎日、毎日聞かせ続けられてきた、長い長い物語が終わった感動からか、暫く誰も何も言わなかった。
「リアン先生、呪われた帝国って今から数百年前に終わった話なんですよね?続きは無いんですか?」
「ええ。それ以後、レーセと呼ばれた人が姿を消したから、記録として残ってはいません。ですが、様々な人が書いた書物はところどころにありますからね。探してみてください」
「はーーーい」
元気に返事をする子供達の声に女性は嬉しそうに目を細めた。




