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「俺、楓ちゃんの生きる目的になりたい…」
「…え、」
「楓ちゃんが死ぬまでずっと、楓ちゃんの側で笑っていたい」
声が掠れる。息が荒くなる。これじゃあ、言いたいことの半分も言えずに終わってしまいそうだ。
でも、俺は言葉にできる精一杯の感情を楓ちゃんに伝えるしかない。
「好きなんだ…楓ちゃん」
笑わなくなった君を見て、泣いて助けてと言った君を見て、胸が張り裂けそうな程切なくなった。
この小さな体に、一体どれだけの悲しみやツラさが渦巻いているのだろうと考えると、堪らなかった。
変わってあげられる手段があるのなら、どこまででも探しに行っただろう。
でも、そんな魔法この世界にはないから、せめてもの救いになればいいと思う。
俺のちっぽけな、だけど精一杯の言葉が気持ちが
「…もう、」
楓ちゃんの胸に、心に、
「幸せになって、いいんだよ…─」
少しでも届きますように。
そう、祈るよ。
「─…っ、」
暗闇に吸い込まれていく視界に、最後に映ったのは、
涙を流して俺を呼ぶ、楓ちゃんの姿だった。
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好きだよ。楓ちゃん。
離れようって、近寄っちゃいけないって、思ったけど、
俺 基本バカだからさ?
何回考えても同じ答えに行き着くんだ。
楓ちゃんが好きだって、楓ちゃんに幸せになってもらいたいって。
死んだ彼氏さんより俺の方が楓ちゃんへの好きが大きいだとか、俺の方が幸せにしてやれるとか、そんなカッコいいこと言えないけど、負けたくないって思ってる。
楓ちゃんが安心できる一番の相手でいたいって思ってる。
楓ちゃんはさ、もう誰も好きにならないって言ったけど、それってもったいないよ。
だって楓ちゃんは知ってるだろ?
大切な人と一緒に居る幸せを、それがどんなに嬉しいことなのかも。
失うことを恐れるななんて言わない。
彼氏さんのことを忘れろなんて言わない。
でも、ちゃんと生きよう?
ただ呼吸をして生活するんじゃなく、楓ちゃんの幸せへと繋がる道を探そうよ。
大丈夫。誰も薄情だなんて、裏切りだなんて思ったりしない。
思い出をちゃんと過去にして、痛みを隠すんじゃなくちゃんと吐き出して、
そうやって生きようよ。
ゆっくりでいいから。
少しずつでいいから。
そうして進んだ先には必ず、
楓ちゃんが想像しているよりずっと、暖かい世界が広がっている筈だから。




