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Hand In Hand  作者: 和希
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彼の隣りに堂々と座ることができない自分が、堪らなく恥ずかしかった。









───ガラッ



そんな風に思っていると私のすぐ側にある教室のドアが開かれて、私は俯いてた顔をそっと上げた。


私の視線の先、ドアを開いたのは、私が今一番会いたくなかった彼、




(─…遼、)



少し夏バテ気味でダルそうにした遼だった。





私は無意識の内に手のひらをギュッと握り締める。

その手は少し汗ばんでいて、自分がどれだけ緊張しているのか嫌という程分かった。



遼の足が一歩、また一歩と座席に向かって進んでいく。


私はそれが怖くて、

遼が彼女達の居るあの特等席に行くのが、

私の前を通り過ぎて行くのが怖くて、


目を瞑り、彼から視線を逸らすように俯いた。


現実を受け入れることさえできない自分が、心底嫌になる。


どうして私は、こんなに臆病になってしまったんだろう。

















「─…なぁ、なんでそんな俯いてんの?」





──その声は 紛れもない、遼のものだった。




私は予想外のことに驚いて、俯いていた顔を慌てて上げる。


開けた視界の先、私の隣りに座っているのは

間違いなく遼で、


(─…なんで、)


私はそう思わずにはいられなかった。


クーラーの当たらないこの席に、遼が座る理由なんてどこにもないのに、


どうして遼はここに腰掛けたんだろうか。


他にたくさん席が空いている中、どうしてこの席に、


私の隣りに。



「なっ、遼君、どうして今日はこっちに座らないの…?」



そう思ったのは私だけではなく、彼女達も同じだったようで驚いた様子でその言葉を口にした。



「んなの、あんたらには関係ねぇじゃん」



けれど遼は、そんな彼女達の様子を欠片も気にすることなく、そう一掃した。


そんな遼を見て、何故だか胸の奥が温かくなる。


別に遼が私の隣りがいいからと言ったわけでもないのに、遼のその一言で私の心は随分と軽くなった。


だってそれは、少なくとも彼女達ではなく、私を選んでくれたってことでしょう?




なんて、そんな自惚れた優越感にも似た感情が私の中を駆け巡る。


けれど、そんな私のささやかな優越感でさえ


「じゃあ、私達がそっち行くから、退いてくれる?新堂さん」


彼女達のたった一言で粉々にされてしまうんだ。


(─…なん、で?)


先にここに座っていたのは私なのに、せっかく遼がここに座ってくれたのに、どうしてそんな勝手なことを言われなくちゃいけないんだろうか。


私が彼女達より大人しくて、地味だからってどうしてそんなことを言われなくちゃいけない?


確かに彼女達の外見は人より優れているのかもしれない。でも、外見が優れているからって、内面までもが優っていると決まってはいない。


それなのに、どうして彼女達は



「地味な新堂さんは、遼君の隣りには役不足だよ」



人を傷付ける言葉を、平気で言えるんだろうか。




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