diary6
本日、ベル様は魔獣退治に出かけられるそうです。
なんでも、被害にあっている集落では手に負えないそうで、ベル様が直接出向かれることにしたそうです。
お城の兵士に任せてもよろしかったでしょうに、おそらく暴れたくなられたのでしょう。
政務、退屈ですもんね。
当然、私もご一緒したいと申し出致しました。
しかしベル様は却下されます。
しばし攻防が続きましたが、以前のようにベル様は簡単には落ちてくれません。
仕方がないので今回は泣く泣く着いていくことを諦めました。
ベル様はどことなく嬉しそうにされておられます。
悔しいですが、これもご成長の一端だと思えば喜ばしいことです。
ベル様が出発されてから、侍女として城内のお仕事を完璧にこなします。
勿論、下の育成も私の仕事ですので、手抜かりなく指導していきます。
時間も経ち、日が暮れ始めたころに、ベル様がお戻りになられました。
慌ててお出迎えに馳せ参じると、そこにはベル様と美しい翼を持った獅子がおりました。
お2人は、どこか汚れており、何かをしていたようではありませんか。
2人の間には、私なぞ付け入る隙もないほどに、何らかの絆のようなものすら感じられます。
なんということでしょうか。
私がいない間に何があったというのでしょうか。
打ちひしがれている私を、気にした風もなくベル様は手招きされます。
よれれっと近寄ると、「俺の僕のシールだ」と獅子を紹介してくださいました。
シールはベル様に擦り寄り、あろうことか私を威嚇するのです。
獣の分際で私のベル様に@@@@
おっと、おしとやかな私としたことが口が滑りましたわ。
おほほほほ
ベル様は嬉しそうに獣(名前を呼ぶまでもない)を撫でておられます。
私、獣とたわむれる可愛らしいベル様は好ましく思いますが、この獣には好感が持てませんわ。
嫉妬心を剥き出しにしながらその光景をニコニコと見守り、満足したのかベル様が獣と別れて城内へお戻りになられるのを後にならって付いて行きます。
ベル様は道中嬉しそうに獣とのことをお話されています。
いかに死闘を繰り広げたのか、どのように和解し、これほどまでに絆を深めたのか、などなど。
ベル様、私嫉妬していますの。
わかっておられるのかしら…
ベル様は始終ご機嫌でした。
ですので、私意地悪したくなりましたの。
少しは私のことを考えてくださいまし。
お部屋の前までお送りして、別れる間際の一瞬。
呼び止めて、その首筋に顔を埋め強めに吸って差し上げました。
ベル様は、少し呻いて色っぽい声をおだしになりました。
唇を離すと、そこには赤い華が1つ。
私満足ですわ。
獣になんぞ差し上げませんとも。
えぇ。
満足していると、ベル様は涙目で睨んでお部屋に篭ってしまわれました。
お可愛いこと。