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最終章:記録の果てに



静寂の夜明け。

黒い雲が裂け、わずかな光が廃墟の街に差し込んだ。

その中心で、二人の「彼」が向かい合う。


一人は“光”。もう一人は“影”。

かつて同じ記憶を持ち、同じ痛みを分け合ったはずの存在。

だが今、その目には違う世界が映っていた。


> 「俺たちは、同じはずだった。どうして…こうなったんだ?」




> 「違う。お前が“守る”を選び、俺が“壊す”を選んだ。ただそれだけのことだ。」




二人の間で、風が唸る。

腰に光るベルト――それはもう“装備”ではなく、身体の一部。

過去の記録と共に融合した“意志ある機構”。

ベルトは静かに輝き、彼に語りかけた。


> 『選択の時が来た。記録を消すか、未来を残すか。』




アタッシュケースが開く。

未使用のガジェットたちが共鳴し、ひとつの“鍵”へと変形する。

その名も――《リブートコード》。


> 「終わらせる。いや、繋げるために。」




二人のコードが衝突した瞬間、世界が反転する。

映像のように過去が再生され、モニター室で監視していた男が呟いた。


> 「やはり……“同一個体”だったか。ベルトは記録者を二つに分け、観測していた――。」




モニターがひび割れ、画面越しに“彼ら”の世界が崩壊していく。

記憶と現実が混ざり合い、すべてのデータが白く溶けていく中――


光の彼が微笑む。


> 「俺たちは、ひとつでいい。もう、誰かを失わない。」




影の彼も静かに頷く。


> 「あぁ……お前の願い、俺が引き継ぐ。」




二人の姿が重なり、ベルトが眩く光を放つ。

世界の記録は再起動され、新たな“コード”が刻まれた。



---


朝の静けさ。

教室の窓から差し込む光。

いつもの席に座る少年の腰には、もうベルトはない。

けれど、その掌には確かに――温もりが残っていた。


> 「……これで、いいんだよな。」




彼の背後の黒板には、見覚えのない文字が浮かんでいた。


> 『記録は続く。次の観測者へ。』




風が吹き抜け、教室のドアが静かに開いた。

そして、新たな影が一歩、足を踏み入れる――。



---


― 完 ―






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