表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/15

第11話 記憶衝突 ― Zの覚醒 ―


夜の街を切り裂く閃光。

その中心に立つのは、もう一人の“悠真”。

黒いコートの裾を翻し、まるで闇そのものをまとうように。


「……お前が、Zか。」


> 「違う。“お前の中の俺”だよ、Y。」




冷たい笑みとともに、Zは右腕を掲げた。

空気が歪み、見えない力が押し寄せる。

悠真の背後の電柱が、まるで握り潰されたかのように爆ぜた。


> 『警戒しろ、Y。Zのエネルギー値はお前と同等――いや、それ以上だ。』




「そんなこと、わかってる!」


悠真は腰のベルトに手を当てる。

無意識に、心の奥から声がこぼれた。


「変身――!」


光が走る。

装甲が展開し、再び“記録の戦士レコーダー”が姿を現す。

その瞬間、Zもまた右手をかざし、黒いベルトが腰に形成された。


> 「おかしいな……本当はお前だけが“ベルトを継承する器”だったはずなのに。

どうやら、記憶も力も、完璧に“二分”されていたようだ。」




二人の声が重なり合い、

その場の空気が震える。


> 『Y、聞こえるか。Zは“怒りと憎しみ”だけを基盤に形成された記憶体。

感情が暴走すれば、世界そのものに干渉する危険がある!』




「だから止める! 俺は――もう一人の俺を!」


二人の拳が激突。

衝撃波が街を吹き飛ばし、建物の壁が粉砕される。

光と闇、二つのエネルギーが交差し、まるで空間が裂けていくようだった。


Zは微笑みながら囁いた。


> 「Y、わかってるんだろ? お前が存在する限り、俺は不完全だ。

そして――お前が消えれば、俺が“本当の悠真”になる。」




「違う! お前は俺の中の痛みだ!

 けど、それを否定したら……俺はもう俺じゃなくなる!」


その言葉にZの表情が一瞬だけ揺らぐ。

ほんの一瞬――だが確かに、“涙”のような何かが光った。


> 『感情の干渉を確認。Zの内部プログラムが揺らいでいる。

今だ、Y――記憶を同期させろ!』




「……っ、うあああああ!」


悠真はベルトのコア部分に手をかざす。

両者のベルトが共鳴し、眩い光が辺りを包み込んだ。


――静寂。

風の音だけが残る。


Zの姿は消え、悠真の胸には焦げた痕が残っていた。

しかし、その奥で何かが囁く。


> 『まだ終わっていない……次に“完全な記憶”が現れる。』




悠真は空を見上げた。

夜明け前の光が、灰色の雲の隙間から差し込む。


「俺は――もう逃げない。」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ