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結局、桜からは何も聞き出せないままお昼休みになってしまった。
生徒会室に行くのは億劫だったけど、桜に教室から追い出されてしまい、行くしかない。
「……こんにちは」
恐る恐るドアを開けると、中にいたのはたったの一人。
しかも、今一番会いたくなかった人物だった。
「雅!朝いなかったから心配したよ」
「ご、ごめん……寝坊してさ」
駆け寄ってきた雄大と何となく目を合わせられなくて、軽くごまかしながら席に座る。
「へぇ?靴あったのに?」
……バレてるし
「えっと、その……」
もう完全にしどろもどろ。
慌てる私の前まで来た雄大は、机に手をつき、私の顔を覗き込んできた。
「……っ」
「なぁ。俺のこと避けてる?」
顔、近っ……
目の前にある雄大の顔にまた頬が熱くなってくる。
だから何なのよ、これは
「雅?熱が……?」
「さ、触らないで!!」
額に触れようと伸びてきた手を咄嗟に払う。
それと同時に立ち上がり、後ろに逃げたことで倒れた椅子が大きな音を立てた。
訪れたのは気まずい空気と沈黙。
私の心臓はうるさいくらいにバクバク言ってるけど。
「「ごめん」」
謝ったのは同時だった。
でも何で雄大が謝るの?
首を傾げた私に、自嘲気味に笑った雄大。
「触られるのも嫌なほど、俺、嫌われてたんだな」
「あ……あの……」
何て言えばいいかなんて分からない。
雄大を嫌いなのはホントだもの。
……ホントのはずなのに、胸が痛むのは何で?
「もう話しかけたりしないから。……帰りも今日から別々にしよ」
「ゆう……」
視線を反らした雄大に手を伸ばしかけた時、次の授業の予鈴が鳴った。
「放課後の委員会、今日は来なくていいよ。……じゃ」
するりと私の前から去っていく雄大。
私は彼を呼び止めることができなかった。




