放課後。ようやく帰る目処がついたのは、辺りが暗くなってきた頃だった。
「よし、終わった」
綺麗に揃えた書類の束をホッチキスでとめて、私は大きく背伸びをした。
そして視線をある一点に向ける。
(このやろ……仕事もしないで……)
机に突っ伏し、死んだように動かないのは他でもないあのバカ。
他の役員はすでに帰っていて、生徒会室には私とこいつしかいない。
「起きろ、バカ。帰るよ」
持ってた書類で頭を叩くとむっくりと雄大は起き上がった。
「おわった?」
「うん。ほら、帰ろ」
家が近所だから帰る方向も同じ。
だからなのか、一緒に帰るのが当たり前になってしまっている現状。
(これじゃ勘違いもされるか)
思い当たってやっと納得。
でももう習慣になってるから、今さら別々に帰るのも変な感じだし。
「雅?」
「……っ!!」
気が付くと、目の前に雄大の顔があって。
私は心臓が飛び出るんじゃないかと思うほど、驚いてしまった。
「ちょ……近っ」
払いのけようとして伸ばした手を掴まれた。
そしてだんだんと近付いてくる雄大の顔。
なんでか直視できなくなって、私は目をギュッと瞑った。
「はい、とれた」
「……?」
恐る恐る目を開けると、いつものへらへらと笑う雄大がいた。
距離もいつも通り。
そして掴まれていた手も放された。
「髪にゴミついてたんだ」
そう言ってへらへら笑った雄大は私から離れて二人分の鞄を手に取った。
「置いてっちゃうよ」
そう言い残し、雄大は先に歩き出してしまった。
なのに私はそこからすぐには動けなかった。
なぜなら、自分でもびっくりするほど、顔が火照っていたから。




