―あんなやつ、大っ嫌い
生徒会に昼休みは存在しない。
特に学校行事前になると、私達役員は机にかじりつくことになる。
だというのに、たった一人ここにいない人物がいる。
「副会長……会長がいません」
「分かってる。いいから仕事して」
会計の子が泣きそうな声をあげるけど、私は書類から目を上げずに言った。
そう、ここにいないのは他でもない生徒会会長で私の幼馴染みであるバカ。
この忙しい時に何してんだか。
まぁ、いても役に立つかは別だけど。
「あ、雅〜〜」
雅、とは私の名前。
人の名前を間延びした声で呼ぶバカは一人しかいない。
「死ね」
書類の記入に使っていたペンをヤツに投げ付ける。
チッ、避けやがった。
「雅、だめだよ。女の子がこんなことしちゃ」
へらへらと笑いながらペンを差し出すこの男こそ、私の幼馴染みで会長であるはずの雄大。
「うるさい。仕事しろ」
雄大からペンを奪い返し、また書類を書き始める。
私は小さい頃からこいつのへらへらとした態度が嫌いだった。
前会長がなんでこんなのを推薦したのか全く分からない。
仕事しないでへらへらしまくって、なんなんだか。
だから私はこいつが大っ嫌い。
「副会長、会長と仲良いですよね」
ヤツが資料室に入っていくと同時に、役員の一人がそう言った。
「はぁ?どこが?」
委員のメンバーからあがる声にすっとんきょうな声が出た。
これのどこが仲良いのよ。
「喧嘩するほど仲が良いって」
いや、私達のは違うから。
ていうかいい迷惑。
「私、会長嫌いだから」
本人が奥に引っ込んで行ったのをいいことに私はきっぱりと言った。
けど委員のメンバー達はそろって首を傾げる。
「付き合ってるのでは?」
…ヤメテクダサイ
そんなこと、実際になったらじんましんが出そう。
「そんなわけないでしょ」
「え〜〜?残念だなぁ」
背後で聞こえたのは明らかに今までいなかったヤツの声。
「だから、いっぺん死んでこいっ!」
そう言って振り向きざま、ヤツに物を投げたのは言うまでもない。




