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ぼくらの島  作者: ねむるこ
少女の閃き
24/72

24.可愛い相棒と裏活動(4)

「なんだーお前ら?仕事の邪魔すんなよ」

 あくびをしながら帽子を引き上げたのは帯刀だった。

「邪魔って。どうせ寝てたんでしょ」

 瑠璃の鋭い指摘に大きなため息を吐く。

「お前はほんと可愛くねーな」

「正義さん!こんにちはー!」

 良の元気な挨拶に帯刀は耳を塞ぐ。

「良は相変わらず元気だな……。ほら、用がねえならとっとと帰んな」

「用ならありますよ。この子を見れば分かるでしょう?」

 佳史が真見を帯刀の前に誘導する。真見を見た帯刀が目を丸くするのが分かった。

「お前……。また余計なことに首突っ込みやがったな」

「驚かない。ということは……神野さんは帯刀駐在員に話していたんだね。これは話が早くていい」

 真見を見ただけで状況を把握する帯刀と帯刀を見ただけで状況を把握する佳史。二人のレベルの高さに真見は口を噤んだ。心なしか二人の間に火花が散っているように見える。

「良かった。神野さん、正義さんに話してたんだね!」

「あ……うん。話した方がいいかなと思って……直感で」

 無邪気に喜ぶ良に真見は小声で答えた。

「帯刀駐在員は事件の調査についても協力してもらってるんだ。安心してもらっていいよ」

「協力した覚えなんてねえよ!ったく。面倒なことが次から次へと……」

 帯刀が冷たく言い放つ。真見はその様子を不思議そうに眺めていた。

「この島に殺人犯が姿を現したんですよ。だから神野さんの護衛をお願いしにきたんです」

 佳史が真見の背を押して帯刀の正面に誘導した。真見の困惑した姿を見て帯刀は深いため息を吐く。

「この島に殺人犯なんていねえよ」

 帯刀が不貞腐れたように答えた。

「えー?正義さん、最近まで僕達と一緒で事件かもしれないって言ってたじゃん。ノリノリで僕らの話聞いてたくせに」

「……暇だからね」

 良と瑠璃がニヤつきながら顔を合わせる。

「暇じゃねえし!お前らがそう言うから独自で調べたんだよ。その結果、改めて事故だってことが分かった」

 帯刀はタブレット端末を弄り続ける。瑠璃は黙り込み、良がブーイングを飛ばした。

「もしかして正義さん。何かご存じなんですか?犯人について……」

 佳史が真見の肩を掴んだまま追求する。

「知らねえよ。ほら、分かったら帰って勉強しろ!佳史も下らねえことに首を突っ込むな」

「……」

 凄みを利かせた帯刀に押された佳史は黙り込む。目の前で怯える真見に気が付くと帯刀が温かい笑みを浮かべた。

「これだけは言える。お前さんが狙われることはない。何かあったら俺が何とかする」

「あの……はい。ありがとうございます……」

(どうしたんだろう……帯刀さん)

 真見は帯刀の不自然さに口を噤んだ。

 駐在所からの帰り道。佳史は顎の下に手をやりながら考え込んでいた。

「これからどうすんのー?僕らだけで犯人を捜す?」

 良が不満そうな声を上げる。

「どういうことですか万野先輩。帯刀さん、殺人犯なんていないって言ってましたよ」

 腕組をした瑠璃が冷たい声色で言った。

「帯刀駐在員が嘘を言ってることは分かった。神野さんも分かってたよね」

 佳史はちらりと真見を見た。真見は弱々しい笑顔を浮かべる。

「えっと……。少し様子が可笑しいなとは思いました。でも直感ですよ……」

「神野さんの言う直感というのは論理に基づいたものだと僕は思う」

「え?」

 真見は佳史の言葉に耳を疑った。直感と論理。それらは対極にある存在だと思っていたからだ。

「僕が駐在員を可笑しいと思ったのは急に態度を一変させたことだ。当初は僕らの調査に友好的だったのに、今日は僕達を振り払った。

 それと、神野さんが「狙われることはない」という発言……。まるで犯人の意図を知っているようだった」

「万野さんは凄いですね……。私はそこまで分かりませんでしたよ」

 真見の言葉に佳史が首を振った。

「いや。凄いのは神野さんの方だよ」

 佳史の優しい笑顔に真見は思わず顔を赤らめる。

「神野さんは無意識に物事を瞬時に判断してるんだ。ちゃんと順序立てていけば立派な推理になるんだよ。そう言う点では僕の推理よりも遙かに早い時間で結論に辿り着くことができる……。僕の推理と神野さんの直感は遠く離れてるようで近しいものなんだと思う。だから改めて問おう……。

 君が船から落ちたことと島で複数回起きた溺死事故。何者かが引き起こした事件だと思わないか?」

 力強い佳史の瞳に魅入られて、真見は自然と頷いていた。いつものように自分の考えを疑うようなことはしない。

「私の知らない所で何かが動いてる……そんな気がします」

「うん、やっぱり。神野さんこそ探偵に相応しい」

 爽やかな笑顔のまま真見の両肩を正面から掴んで揺らす。佳史の熱量の高さに真見は固まった。

(何の話だろう……)

「僕が神野さんの直感を推理にしてみせる。だから事件解決に協力して欲しい。勿論、貴重な証言者だからでもあるけど!」

「万野先輩……何言ってるの?」

「神野さん探偵になるのー?」

 良と瑠璃は予想しない展開に首を傾げる。

「今後の方針は決まった!護衛……というか登下校はなるべく僕らが側にいよう。それと……神野さんには僕と謎を解いてもらう。探偵になってもらうんだ!」

「え?えー?」

 真見は思わず声を上げた。

(探偵なんてなれないよ。シャーロック・ホームズってことだよね?無理だって。そんなの……)

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