8メナードさん
―――私がリューナとなるまでいた〝リューナ〟はどこにいったのだろう。私が〝リューナ〟を殺してしまったのでは。―――
頭の中にもやもやが広がっていく。
私はなんで―――
頭を抱えて考えていると、
「リュリュ―入るわよ」
という言葉と共にメナードさんが入ってきた。
入ってすぐ私が頭を抱えているのに気づいて、驚きの表情を浮かべたメナードさんはソファーに座っていた私の横に腰を掛けると、声をかけたりするわけでもなく、ただ頭をなでてきた。
「……メナード…母様。なにも聞かないのですか」
数分後、ずっと私は頭をなでてくるメナードさんに問いかけた。
「うーん。だって、リュリュの方から何も言わないってことは私に知られたくない悩み事じゃないのかしら。それを強引に聞くのは良くないかなって思ってね」
「……いつか……いつかメナード母様やフェルナンド…父様や兄上たちにも話せるときが来ると思います。だけど……今は……いまは――」
「大丈夫。大丈夫よ」
メナードさんはそういって私のことを軽く抱きしめ、私が寝落ちしてしまうまで、泣いていたことに深くふれずにただ優しく頭をなでていてくれた。
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