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49精霊の呟き

 リナが眠りについた後、ワタシはリナの体の外に出てリナの頭を撫でた。


「本当に良かったね、今までと言っても最近から始まった付き合いだけれど、あなたの過去(こと)見てきたから自分のことみたいに嬉しい」


 それは紛れもない本心だった。

 ワタシは生まれてから――年がたっていた。その間、ワタシと会いたいと言ってきた人間は何人もいた。

 嘘をついてまでワタシと会いたいと言って。嘘か本当かなんてその人の過去を少し見ればすぐに分かった。

 ワタシはいつからかそんな人間に飽きて、精霊の中でも自分と同格の精霊は数えるほどしかいなくて、尊敬もされていたが、ビクビクもされていたそんな精霊にも飽きて、ワタシは自分の殻に閉じこもっていた。

 そうしているうちにどんどん自我も薄れて、それと同時に、自分の力もまともに使えなくなり消えていった。

 そんな状態だったからあのとき、呼ばれる本能のまま特に何も思わずリナと契約をしたのかもしれないけれど。

 

「ほだされちゃったかなぁ」


 しかし、癪だなんていう感情は全くわいてこない。


「……あなたはリナでリューナでもあるんだから、もっと気楽にいけばいいのに」


 だけど、そんなところも自分は気に入っているのだろう。


「ていうか、ワタシが喋ったとかどうとか言ってたくせにそれ忘れてるし、なんで私が急に出てきたかもわかってないし……まいっか」


 最近は、リナの未来を覗くのをやめた。

 だって未来を見て知るのはつまんないんだもの。そんなことを思ったのは初めてだった。

 前に少しだけリナの未来を見てしまったが、今はかなり後悔している。


「……まぁ、これからもよろしくね」


 最後に、小さくそう呟きワタシはリナの額にキスをして、リナの体の中に戻った。

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