30カトレア
「……大丈夫?」
……人の声がする……気がする。
ハッ―――
そうだ私……クモの魔物がいて、誰かに助けてもらったんだ!!
お礼をしようとぱっと目を開け起き上がると、
「「いでっ」」
ハモッた。
おでこぶつけちゃったのかな……?あれ?そういえばなんで寝ていたのだろう?
後ろを振り向くと座っておでこをさする女の子がいた。
「あっ!私を助けてくれた……!ありがとうございます!」
私はあわてて立ち上がり、深く頭を下げる。
「……大丈夫?」
「はい!けがはなさそうです!」
「そっか」
「「……………」」
少し気まずい空気が流れる。
私はそんな空気から逃れるためという理由もあるが自己紹介をしていなかったことを思い出し、名を名乗った。
「私はリューナ・クワソンと申します!よかったらあなたの名前もお聞きしてもよろしいですか?」
よし!決まったわ!私の先生にかなりしごかれて綺麗になったカトラリーがね!
「……ボクはカトレア」
おお!ボクっ娘か!いいね~
「カトレアさん。よろしくお願いいたしますわ」
「……うん」
そうしてまた会話が途切れる。
それにしても可愛いな、カトレアちゃん。くりっとしたエメラルドグリーンの目、今は正直綺麗とは良いがたいが、手入れをすれば綺麗になりそうな長い白髪。それに整った顔立ち、形の良い眉。
思わず見とれていると……
「……君は何でここに?」
カトレアちゃんから質問が来た。
「えーと……―――――」
そして今までのことをカトレアちゃんに話した。
そして私は疑問に思っていたことを口にする。
「そういえば何でおでこがぶつかったんですか?」
「あー。それはボクが膝枕してて君が急に起き上がったから…」
「!?」
よく聞くと、カトレアちゃんがクモの魔物を倒した後、私は倒れたらしい。
そして、綺麗な髪を汚すのは良くないと思ったらしく、膝枕をしてくれていたらしい。
キュン!優しっ!可愛っ!
ありがとうの気持ちを込めてニコニコしていると、
「あ、てゆうか家に帰れないんじゃ……」
「………あ」
大事なこと忘れてたぁ~あはは~どうしよ~
あ、あの鳥、綺麗だな~
とても重要なことから現実逃避していると、
「なら、ボクの家来る?」
「ほんとですか!?」
「うん。さっき魔物いたからもしかしたらまだいるかもしれないし」
「!!ありがとうございます!!」
宿に帰るのは明日考えて、今日は泊めてもらおう!
だいぶ図々しい考えをして、カトレアちゃんの家に向かった。
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