3かん……み……
頭痛がした日の夜、寝る前にメアリーにさりげなーく私の家のことを聞いたら、詳しく教えてくれた。私の家――クワソン家は伯爵家でありながらも王国が出来た時からある由緒正しい家らしい。また、国の政治は伯爵家以上の当主が行うのだが、クワソン家は侯爵家と同じくらいかそれ以上の発言力があるとか。クワソン家の領土は、王都のすぐ近くで、いろいろと便利だとか。他、うちの領土の市場はとてもにぎわっているだとか他……と様々なことを教えてくれた。
でも……でも……今はそれより、
「甘味……甘味のもの……なんでもいいから……食べた……い」
異世界転生して1週間と少し。私は深刻な甘味不足に陥っていた。
症状は、甘味のものの味を思い出し、よだれを垂らしたり、夜にケーキやグミ、アイスなどの甘味のことばかり考えてしまい、寝れなかったりした。
という現状は置いておいて、この1週間、私はかなり頑張った。うん。自分でいうのもあれだけど……。
何をしたかというと、まず、家族がお見舞いにきていた日の次の日体調が良かったために朝から夕暮れまでの約1日かけて、家中の使用人と家族に仕事の邪魔にならないときを見計らって甘味のものがないか聞いて回った。メアリーの言っていたことを信じていないわけではなかったが、前世の私の心の拠り所であった甘味がないという現実を信じたくなかった。
………結果は惨敗。皆口をそろえて甘味なんて知らない。というのだ―――
私はその結果を受け入れたくない一心で家の図書室に向かった。図書館はとても広く、6万冊ほど本が置いてあるとか。しかも私が病気だとわかる前は、1万冊程しかなかったそう。私の病気が発覚した3歳くらいのとき、お父様とお母様が私が退屈することのないよう、図書室を増築し5万冊程の本をいろいろな国から集めたと記憶している。
すごい愛されているんだなぁ。
私はその日の夜に味覚の本や料理の本を探し、メアリーに運んでもらった。
次の日から家中の人全員に聞くため、いつも歩くときは必要最低限しか歩かない私が家中をたくさん歩いた反動が来たのか、あとの6日間、体を少し動かしただけでとても痛くなる筋肉痛と熱に悩まされることとなってしまった。
1日しっかりと休んだ後、私は痛い体を無理やり起こし、ベッドの上で5日間+3カ月ほどかけて借りてきた本約1万冊を読んだのだった!――という無謀なことは出来なかったが、内容は全て理解することができた。なぜなら、まずは表紙を見て探している内容に当てはまってそうなものを厳選し、読もうと9割強くらいは、本の表紙を見ただけで内容が分かってしまうからだ。メアリーにちょっとだけ追加で持ってきてもらった物語や政治、語学などの勉強の本は5割くらいは内容を知っていた。リューナの記憶をたどり、思い出していくと、リューナは本が好きで具合があまり良くなくベッドで休んでいけないときだけでなく、比較的元気な時でもよくメアリー達に本を持ってきてもらい読んで、1人で楽しんだり学んだりしていららしい。
だけど、なぜリューナはこんなに味覚の本や料理の本を読んでいたのだろう。他のジャンルより薄い本が多いが、うーん。とも思ったが、それ以上は考えなかった。
肝心の甘味について書かれてある本は、1冊あった。私が暮らしている王国よりもずっと東にある孤島――エディア島の植物の本だ。その本にはなんとサトウキビと似た植物が書かれているではないですか!
エディア島に行ってこの植物を採りにいきたい……でも、環境が少しでも変わると体調が悪くなるかもしれないし……家族は許可を出してくれないだろうな……。
うーん免疫力を上げれば病気にかかりにくくなるかな?もうそれしかないか。上げて、行ってok出されたら採る!よし
まず、明日は……。
私は明日からのやることを考え、甘味のものはないが美味しい夕飯を私の部屋で家族と食べ、体を拭いてもらい、いつもより早めに眠りについた。
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